感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

選択的IgM免疫不全?

2013-02-27 | 免疫

前回の続き。反復性肺炎球菌髄膜炎例の検討中。以前の腹部エコーでは脾臓は正常サイズで存在。血清の免疫グロブリンはIgGやIgAは正常範囲だがIgMが25mg/dlと低値であった。ただし過去の比較データはない。頭部CT検査では副鼻腔と交通しそうな異常なさそう。背部に皮膚洞などの異常所見なし。 以後、機能的無脾症の検討をすることと、IgM欠損症について調べてみた。 


要約

・原発性低ガンマグロブリン血症は、再発性感染症の発生を特徴とする
・最も一般的なものはBruton無ガンマグロブリン血症、新生児一過性低ガンマグロブリン血症、選択的免疫グロブリン欠損症、variable common immunodeficiency

・非常にまれな疾患である (文献に記載されている症例は300未満)
・低IgM値で定義されている、 小児で20mg / dl未満、 成人で対応値に対して2SD標準偏差未満。

・皮膚炎、下痢症、髄膜炎、呼吸器感染症、敗血症 や死亡、などのような再発性感染症を引き起こす
・治療では免疫グロブリン投与など考慮(特にIgG低値もある場合)

 J Med Life. 2010 February 15; 3(1): 60–63.




・SIgMIDの49報告された症例は、 呼吸器感染症(77.6%)、胃腸疾患(16.3%)、皮膚病(12.2%)、髄膜炎(8.2%)、が表示された
・選択的IgM免疫不全(SIgMID)は、血清IgMの低値によって特徴付けられる。通常、乳児や小児では ・まれな原発性免疫不全であり市中研究ではを完全欠損IgM患者の有病率は約0.03%と報告。
・Heterogeneousのリンパ球異常がSIgMID患者(主に成人)で報告されている。 IgM免疫グロブリン分泌細胞へのB細胞分化欠陥、抗原増殖のIgM応答の低下、など。
・小児および成人の集団でSIgMIDに細菌やウイルス感染症の様々なリンクがされている。 小児において病原体はPneumocystis carinii、Giardia、Staphylococcus、Salmonella、Listeria monocytogenes、meningococcus、Pseudomonas、 molluscum contagiosum、cytomegalovirus、and varicella。
・二次性のIgMIDとは別の原因から推定されるもので、SLEなどの自己免疫疾患や悪性腫瘍が関連する。 小児ではセリアック病や自己免疫性溶血性貧血が報告。 原発性IgMID診断前にはこれら疾患の続発性を除外すべき。
・自己免疫性疾患はいくつかの免疫グロブリン欠損症で関連、SLE、関節リウマチ、甲状腺炎、自己免疫性溶血性貧血はSIgAIDやCVIDで報告。

 Clin Dev Immunol. 2008;2008:624850. doi: 10.1155/2008/624850. Epub 2008 Nov 24




・生命を脅かす肺炎球菌敗血症性ショックおよび侵襲性アスペルギルスフミガタス感染が提示可能な一次選択的IgMの欠乏の成人患者例の報告。 自然免疫と獲得免疫の広範な免疫学的分析を行った。
・患者は、自己免疫疾患や悪性新生物の証拠はなかった。血清IgG、IgA、およびIgE値は正常。しかし、全ての14の肺炎球菌多糖血清型に対する血清IgMレベルと特定の抗体価は一貫して低値。 補体CH50、C3、C4、および好中球の食作用および酸化的バーストoxidative burstは正常であった。単球上のToll様受容体の発現も正常であった。

・原発性選択的免疫グロブリン(Ig)M欠乏症は通常、莢膜を有する菌(encapsulated)およびグラム陰性菌による再発性または重症感染症を幼少時で示す。
・成人の原発選択的IgM抗体の欠乏はまれであり、通常、自己免疫疾患や悪性腫瘍に関連付けられている。

 J Investig Allergol Clin Immunol. 2008;18(3):214-8.




・22q11.2欠失症候群は、非常に多様な表現型の発現と免疫学的欠陥を持つ一般的な染色体異常である。
体液性免疫はほとんど影響はないが、選択的IgA欠損症は患者の13%にまで発生する。
・染色体22q11.2欠失のための蛍光in situハイブリダイゼーション分析は、選択的IgM型欠損症患者において考慮されるべき。 同時に慢性中耳炎、発達遅滞、咽腔閉鎖不全、または異形の機能は存在している場合は特に。

 Ann Allergy Asthma Immunol. 2007 Jul;99(1):87-92.


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