感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

ステロイド治療に難治性の特発性炎症性筋疾患 その2

2014-10-30 | 免疫
前回に続きまして、特発性炎症性筋疾患(IIM)のステロイド難治症例の治療に関してです。難治性である場合、二次治療は静注免疫グロブリン(IVIg)の使用とされてます。 エビデンスは免疫抑制療法では非制御の臨床研究から主に導出されているものの、IVIg治療は、1つの対照試験において利益が証明された合理的な短期的な治療法です。あと重症難治例にIVIgにミコフェノール酸モフェチルを追加して効果があるかもし . . . 本文を読む

ステロイド治療に難治性の特発性炎症性筋疾患 その1

2014-10-29 | 免疫
当科通院の皮膚筋炎の方で、ステロイド+メトトレキサーと治療でも改善が悪く再燃を繰り返している方がおられます。 特発性炎症性筋疾患(idiopathic inflammatory myopathies;以下IIM)は、皮膚筋炎(DM)、多発性筋炎(PM)、壊死性筋疾患(NM)および封入体筋炎(IBM)の4つの異なるサブタイプの総称です。これらは珍しい疾患ですのでこれまでほとんど無 . . . 本文を読む

リウマトイド血管炎について

2014-10-24 | 免疫
もともと関節リウマチで長年、近医通院されていた方がリンパ腫精査にて当院血液内科に入院中で、MTXは中断となっています。下肢の浅い潰瘍性病変は皮膚科で生検検査され血管炎変化を認め、最近四肢関節痛が出てきたため当科に相談されました。リウマトイド血管炎に関して文献をまとめてみました。 血管炎の組織診断で、常に皮膚や神経生検ができるわけでなく、骨格筋、直腸、口唇唾液腺などのよりアクセスしやすい組織の検査  . . . 本文を読む

ジャクー関節症について

2014-10-22 | 免疫
当科で2年間後期研修として頑張ってくれました医師が聖隷の他の病院に異動となり外来患者を引き継いでいます。もともと20年近く前にSLEや高リン脂質抗体症候群と診断された人で、ステロイドは漸減中止できていましたが、その後、手指関節疼痛とスワンネック変形やMP関節の掌側亜脱臼など関節変形ありRAの診断にて通院されています。 SLEの背景に関節変形というと、ジャクー関節症という病態概念があります。この方 . . . 本文を読む

関節リウマチとタクロリムス

2014-10-17 | リウマチ
タクロリムスなどの免疫抑制剤はRA治療の主役ではないが、前回取り上げましたミゾリビンのように、他の抗リウマチ薬や生物学的製剤が使用できない状況、間質性肺炎、腎障害、などで選択肢となりうる。  タクロリムス(プログラフR)と有害事象とくに感染症について主に文献からまとめてみました。 有害事象は移植患者などでの高用量でTAC濃度≥10 ng/ mlあたりなら増加するが、RAで使用されるような . . . 本文を読む

関節リウマチとミゾリビン

2014-10-16 | リウマチ
ミゾリビン(ブレディニンR)はリンパ球系の増殖を抑制する免疫抑制剤で1984年に腎移植の拒絶反応抑制、1990年ループス腎炎、1992年関節リウマチ、1995年原発性ネフローゼ症候群の適応を追加されています。 免疫抑制効果も弱いのですが、副作用が非常に少ないとされ、高齢者や合併症の多い患者で他の薬の使いづらい例での選択肢の一つといえます。 MZRには禁忌(白血球数3,000/㎜3以下等)が少な . . . 本文を読む

≥65歳の成人への肺炎球菌結合型ワクチン 予防接種実施諮問委員会の勧告 2014

2014-10-13 | 感染症
以前のブログ(→ 成人に対する肺炎球菌結合型ワクチン)で、最近の肺炎球菌ワクチンの成人向けの使用につきましてまとめましたが、やはりオランダでの高齢者での臨床研究が反映されて、予防接種実施諮問委員会(ACIP)の新しい勧告が9月に出てました。 高齢者へは免疫不全など基礎状態がなくてもPCV13(プレベナー)とPPSV23(ニューモバックス)の両方がルーチンで使用が勧められることになりました . . . 本文を読む

薬剤性顆粒球減少 とくにST

2014-10-08 | 感染症
悪性リンパ腫で経過みている方で、Pneumocystis肺炎を起こしST合剤で治療(バクタ9錠/日)されていた途中、強度の顆粒球減少、軽度の貧血、血小板減少を起こしST合剤による薬剤性血球障害が疑われ当科に治療につき相談がありました。幸い肺炎のほうは改善してきておりatovaquone(サムチレール)による治療継続をお勧めしました。臨床経過中の急な血算異常はときに経験します。とくに無顆粒球症はある . . . 本文を読む

急性巣状細菌性腎炎について

2014-10-06 | 感染症
慢性C型肝炎と糖尿病のある高齢男性で、2週間以上の不明熱が続くため当科相談ありました。血液培養からはグラム陰性菌が生えつつあるとの報告でした。著明な悪寒あり、若干の膿尿(10/HPF)はありますが腎叩打痛なく排尿時症状もありません。腹部CT検査(非造影)では左腎の肥大と腎周囲の脂肪層の乱れあり腎盂腎炎も疑われました。泌尿器科に相談しエコーされましたところ、焦点性腫瘤が認められ急性巣状細菌性腎炎(A . . . 本文を読む

ESBL産生菌とPIPC/TAZ(ゾシン)治療について

2014-10-03 | 感染症
当科では血液培養陽性例の確認とチェックをしていますが、ときおり広域スペクトルβ-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌がみられピペラシリン·タゾバクタム(PTZ)で治療している例も見受けられます。臨床経過を追いながら随時カルバペネムを推奨していますが、実際のところ効くのでしょうか? サンフォードガイドみますと表5AのEBL産生菌のコメント欄に 「感受性はあってもPIPC/TAZは . . . 本文を読む