感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

好酸球性血管浮腫(間欠的なものと非間欠的なもの)

2014-06-27 | 免疫
以前このブログで好酸球増多症に対する診療アプローチについてまとめました。このブログの読者で他院で好酸球増多症にて通院されておられる方が、関節痛が続くのと好酸球増多の診断検査の相談のため来院されました。一般の方にもこのブログが影響を与えているようで、病気のことを積極的にいろいろ調べらておられる姿勢に頭が下がります。若い女性、病初期に非圧痕性の浮腫を下腿から足部にきたしていた(靴が合わず履けなくなった . . . 本文を読む

関節可動域制限と祈りの手サイン(Prayer sign)

2014-06-25 | 免疫
先日近医より手のこわばり感のためリウマチ疑いにて受診されました方は、手指関節自体に疼痛や圧痛なく、腫脹はありませんでした。訴えは各指が伸ばしきったり曲げきったりができないということで、両手をあわせてもらうと、手掌間に隙間がありました。これを祈りの手サインといいます。近医で耐糖能異常指摘はあったのと、手指皮膚が分厚い感じもあり、関節可動制限症候群(LJM)も考慮し、鑑別など文献を調べてみました。 . . . 本文を読む

培養陰性心内膜炎

2014-06-19 | 感染症
先週は、三重大学医学部附属病院の田辺正樹先生のご講演「耐性菌時代の感染性心内膜炎の診断と治療」を聞きに行きました。 心臓超音波検査などで疣贅がみつかるけれども血液培養が陰性で菌が分からない症例をいくつかご紹介されていました。PCRを用いた起炎菌同定で、レジオネラの心内膜炎例もあったとのことで、興味深いご講演でした。当科も心内膜炎は初期の内科治療はよく担当します。心内膜炎は血液培養陽性が診断基準に入 . . . 本文を読む

結節性多発動脈炎と腹部造影CT所見

2014-06-12 | 免疫
神経内科よりDropFoot症状の精査にて腓骨神経の単神経炎を疑われ血管炎の精査依頼にて当科に紹介がありました。血清ANCA検査は陰性、尿検査で異常所見は乏しく、足に凍瘡様病変はあったのですが、生検では異常が出ず診断に困っていました。しかし、造影CT検査で、腎臓や肝臓に微小動脈瘤所見がみられ、濃厚に結節性多発動脈炎(PN)が疑われました。もとよりPNは診断のしにくい疾患の一つです。PANの診断と画 . . . 本文を読む

手の皮膚所見“Mechanic's hands(機械工の手)”について

2014-06-09 | 免疫
前回の続きで、手の皮膚所見“Mechanic's hands(機械工の手)”についてです。これは、膠原病の一種、皮膚筋炎などの特発性炎症性筋疾患、とくに抗シンセターゼ症候群の診断にて重要な所見ですが、一見手湿疹にも似て軽微な所見であり、見逃しやすいものです。でも間質性肺炎とも関連するので重要です。この身体所見についてまとめてみました。まとめ・抗ARS症候群では常に筋炎の証拠 . . . 本文を読む

アミノアシルtRNA合成酵素抗体と抗シンセターゼ症候群について

2014-06-05 | 免疫
当院呼吸器内科へ間質性肺炎の評価のため他院から紹介されますと、当科にも膠原病精査のため相談されます。もともとは抗Jo-1抗体くらいしかなかった多発性筋炎・皮膚筋炎の診断ですが、診断補助のための抗アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)テストが最近保険収載されましたため、この検査の解釈をしないといけない症例も最近でてきました。近年、抗ARS 抗体を有する患者において間質性肺炎など独特な臨床的特徴組み合 . . . 本文を読む

パルボウイルスB19と関節炎

2014-06-02 | 感染症
多関節炎、リウマチ疑いにて近医から紹介いただき受診された方。5月の中旬以降から急激に全身の関節の痛み、腫れ、発赤もあり動けないくらいでした、しかし5月下旬に当科外来にきたときはほぼ症状は消失し触診でも関節炎所見は認めませんでした。“孫の世話をして疲れがでたのかしら”といわれたため、お孫さんの最近の病歴を尋ねましたところ“5月の連休ころ、熱をだして小児科にいってお . . . 本文を読む