感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

シェーグレンと中枢神経系障害

2018-01-25 | 免疫
前回に引き続き、シェーグレン症候群と神経系障害について、今回は中枢神経障害です。当院でも無菌性髄膜炎例でステロイド投与が著効したことから当科に相談ありいろいろ原因を調べてシェーグレン症候群と診断できた例もありました。自己免疫性としてはSLEや血管炎、橋本病とともに重要な鑑別疾患となります。    まとめ ・シェーグレン症候群(SjS)に関連する中枢神経系(CNS)症状としては、焦点中心病変、 . . . 本文を読む

シェーグレンと末梢神経障害

2018-01-22 | 免疫
前回に引き続き、シェーグレン症候群と神経系障害について、今回は末梢神経障害です。深部覚障害を起こすもの、四肢遠位の痛みを伴うものなどがある。   まとめ ・シェーグレン症候群(SjS)関連の末梢神経系については、軸索ニューロパチー、 神経節神経障害、運動神経障害、小繊維神経障害、多発性単神経炎、および脳神経ニューロパチー、が 報告されている。 ・末梢ニューロパチーの50~60%は感覚性であ . . . 本文を読む

シェーグレン症候群と神経系障害

2018-01-18 | 免疫
 今回はシェーグレン症候群における神経障害についてです。当科でもこの疾患にて通院例は増えておりますが、手足の疼痛の訴えも多く、関節炎症状でない場合、神経の症状ではないかと考える必要があり、その特徴を捉えておくことは大変重要です。末梢神経障害および中枢神経障害それぞれについては次回以降にまとめます。   まとめ   ・原発性シェーグレン症候群(以下SjS)は、抗核抗体、特にRo/SSAおよび . . . 本文を読む

HLA-B27陰性脊椎関節炎

2018-01-10 | 免疫
前回の続きで脊椎関節炎につきまして。過去の当科診断例をみていきますと、典型的なHLA-B27陽性例も見受けられますが、そうでない例も多々あります。特にHLA-B39はよくみられているようです。脊椎関節炎(SpA)とHLA検査との関係につきいくつか文献がありましたのでまとめています。特に日本人ではB27陽性率自体が低く、B39は診断の一助になるのかもしれません。 過去ブログ「HLA検査と免疫疾患」 . . . 本文を読む

遅発性の脊椎関節炎

2018-01-04 | 免疫
明けましておめでとうございます。今年も本ブログをよろしくお願いします。 もともと当院の診療圏から都市部の病院とくらべると比較的高齢の方が多い印象です。関節を含めあちこちが痛いと受診や紹介される方が多い当科ですが、皮膚科や眼科からの症例から比較的高齢の方の脊椎関節炎(強直性脊椎炎など多疾患の総称)の診断例が増えてきているようです。それら症例をまとめて発表する機会があり文献をいろいろあたっていました . . . 本文を読む

直接クームスで抗IgG陰性の温式自己免疫性溶血性貧血

2017-01-26 | 免疫
前回の続きです。寒冷凝集素の検査結果は4倍(正常256倍未満)と増加なく寒冷凝集素症はなさそうで、Donath-Landsteinerテストも院内で行いましたが結果は陰性で発作性寒冷血色素尿症も考えにくいようです。症例は直接クームステスト(DAT)では抗C3およびポリ特異的試薬で陽性、抗IgGで陰性でしたが、温式AIHAといえるのでしょうか。 自己免疫性溶血性貧血 診療の参照ガイド(H26年度改 . . . 本文を読む

寒冷凝集素症について

2017-01-24 | 免疫
前回の続きです。症例では過去に報告されたような溶血性貧血をきたしうる薬剤使用歴はなく、また直接クームステスト(DAT)が陽性の結果であり自己免疫性溶血性貧血が疑われました。さらに、抗C3およびポリ特異的試薬を用いたDAT陽性で、抗IgGを用いた試験では陰性で温式よりは冷式AIHAが疑われました。これには、CAS (寒冷赤血球凝集素症)と発作性寒冷血色素尿症(PCH)があります。PCHはほとんど小児 . . . 本文を読む

薬物誘発性溶血性貧血

2017-01-17 | 免疫
発熱や血尿などをきたし近医で感染症として治療されていた方が重度の貧血をきたし当院救急に紹介されました。消化管出血はなさそうであり、ビリルビン、LDH、ハプトグロビン値などから溶血性貧血が疑われました。原因の鑑別は、感染症、自己免疫疾患、血液疾患、薬剤と多岐にわたるため当科に相談されました。近医から胃腸薬や抗菌薬の処方歴もあり、溶血性貧血の鑑別診断を始めるにあたり諸文献から薬剤性の溶血性貧血について . . . 本文を読む

無菌性髄膜炎をきたす疾患

2016-11-02 | 免疫
総合内科入院の方で意識レベル低下、髄液細胞数増加あり検索中、基礎疾患に長年の関節リウマチがあったため当科に相談がありました。髄液は単核球優位で、グラム染色や培養で菌検出なく、無菌性髄膜炎疑いです。どんな鑑別リストになるのでしょうか。ごく稀なようですが‘リウマチ性髄膜炎‘というのもあるようです。   まとめ   ・用語「無菌性髄膜炎」とは脳脊髄液( . . . 本文を読む

ANCA関連血管炎の管理のためのEULAR / ERA-EDTAリコメンデーション2016

2016-10-27 | 免疫
当科でも、ANCA関連血管炎すなわち、多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎や好酸球性多発血管炎性肉芽腫症をみる機会が増えてきました。これまでにもANCA関連血管炎についていろいろブログに取り上げてきました。 「ANCA関連血管炎への診断的アプローチ」では生検による病理診断を重視すること、「不明熱精査中にANCA検査陽性をみたとき」ではANCA検査の適正使用について、「ANCA値を血管炎の活動 . . . 本文を読む

キャッスルマン病とその周辺

2016-10-20 | 免疫
不明熱の診療をやっておりますと、ごくまれにキャッスルマン病にあたることがあります。原因不明の発熱・炎症の状態で、局所の腫脹リンパ節を生検して診断がついたり、またPOEMS症候群など臨床的に疑ったうえでリンパ節生検をしたりすることがパターンかと思います。今回は不明熱例で、肝脾腫、肝腎障害、血小板減少症、腹水、などからTAFRO症候群を疑い、リンパ節生検と骨髄生検を施行後診断確定にいたった例がありまし . . . 本文を読む

自己免疫疾患関連血球貪食症候群

2016-10-13 | 免疫
久々にブログの更新です。その間もいろいろ臨床的な疑問と興味深い知見はあったのですが、なかなかブログ記事が書けませんでした。家族に重大な病気が見つかり時間的にも心身的にも大変でした。また久しぶりの学会発表もあり準備にも追われました。 今回は自己免疫疾患関連血球貪食症候群についてまとめました。不明熱例の一部に血球減少や血清フェリチン値上昇などから血球貪食症候群を疑い骨髄穿刺検査をすることがあります。 . . . 本文を読む

好酸球性膀胱炎の症例

2016-07-11 | 免疫
膀胱内腫瘤形成あり当院泌尿器科に通院検査中の方が、生検の病理で悪性所見なくなんらかの感染か炎症性疾患による反応ではないかと、当科に相談がありました。抗酸菌検査やANCA検査なども陰性のようです。よくみると末梢血白血球分画で好酸球の割合が増加していました。SRLでの抗寄生虫スクリーニング検査は陰性で、病理に再度組織の見直しをお願いし、膀胱壁に浸潤している炎症細胞は好酸球が主体であることが分かりました . . . 本文を読む

ループス腸間膜血管炎(いわゆるループス腸炎)について

2016-03-28 | 免疫
全身性エリテマトーデス(SLE)にてずっと通院中の方でこのところ断続的に嘔吐下痢腹痛を起こすようになり検査中です。それぞれ数日くらいで自然軽快し冬場でもありウイルス感染なども考えていたのですが、3エピソード目となりループス腸炎も考え、腹部CT検査を行いました。SLEにおける急性腹症はまず鑑別が必要で、急性胃腸炎、消化性潰瘍、急性膵炎、腹膜炎など他の原因は除外されるべきです。また免疫抑制療法の強化は . . . 本文を読む

リウマチ性多発筋痛症の治療管理のためのACR/EULAR勧告2015

2016-01-28 | 免疫
これまでもこのブログでなんども取り上げてきましたリウマチ性多発筋痛症(PMR)ですが、昨年10月にこの疾患の治療管理のための勧告がでていました。この疾患に対して国際的な治療ガイドラインの形でまとめられたのはこれが初めてのようです。 流れは、模倣疾患を除外した慎重な診断、ステロイド関連副作用のリスクになりそうな因子を列挙、再発因子、専門家への紹介の条件、ステロイド治療の具体的な方法、筋注メチルプレ . . . 本文を読む