感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

免疫不全患者でのノロウイルス胃腸炎

2014-01-21 | 感染症
前回に続きましてノロウイルスに関して。今回のアウトグレイク事件で、当院通院中の方からも万が一感染した場合どうなるか、の質問を受けました。リウマチなどで免疫抑制治療中の方は、この感染にかかった場合どんな特徴になるのか。文献からまとめてみました。 免疫不全者でのこの感染症は慢性下痢症となり冬季にかぎらず発生しうるということなので、非流行期でも念頭におくべき疾患であることになります。 まとめ ・ノ . . . 本文を読む

食品と食品取扱者によるノロウイルス汚染のシナリオ

2014-01-20 | 感染症
先週より浜松市内の小学校で多数の嘔吐下痢患者が発生し、一部からノロウイルスGⅡが検出されたと報道されています。複数同時の学校からの発生で給食が疑われ、症状の出ていない小学校とのメニューの比較などから、食パンが原因として同定されました。当院は市の北部なのであまり患者数増加はなかったようですが、市中の医院の先生方は大変だったかと思われます。ノロウイルスといいますと貝の生食とか施設内などのヒトヒト感染伝 . . . 本文を読む

周辺部潰瘍性角膜炎のアップデート

2014-01-17 | 免疫
右目の角膜の急性の潰瘍性炎症の症例で、リウマチ性疾患のチェックのため近医眼科より当科へ紹介受診されました。問診と診察上からは関節リウマチや膠原病は考えにくそうでした。PUKは全身性疾患に先行しうるのでなんともいえませんが。初期の眼痛もひどかったとのことで、モーレン潰瘍なのでしょうか。 まとめ ・周辺部潰瘍性角膜炎(PUK)は、片側性の三日月形の角膜支質炎症の一形態である。それは近傍角膜輪部j . . . 本文を読む

結核性リンパ節炎

2014-01-16 | 感染症
総合内科に不明熱とリンパ節腫脹で精査入院中だったベトナムの方が生検で乾酪性肉芽腫の病理所見と結核菌PCR陽性だったため当科に紹介されました。その診断と治療について文献からまとめました。治療開始後の逆説的アップグレード反応に注意ということです。 まとめ ・2008年の米国における結核症例の8.5%をリンパ節炎が占める ・ピーク年齢は30~40歳の範囲、外国の出生、特に東アジア ・糖尿病、過剰なア . . . 本文を読む

エルシニアYersinia enterocoliticaについて(臨床)

2014-01-10 | 感染症
前回に引き続きましてエルシニアについて。今回は臨床です、鉄過剰症とリスク、輸血関連感染症、模倣虫垂炎、反応性関節炎、β-ラクタマーゼ産生、など興味深いところが多々ありますね。 リスク因子 ・Y.enterocolitica敗血症は、鉄過剰症患者でより頻繁 (Boelaertら,1987; Prenticeら,1991)  そしてときに輸血と関連し得る (Prentice,1992; Kueh . . . 本文を読む

エルシニアYersinia enterocoliticaについて(基礎)

2014-01-09 | 感染症
新年あけましておめでとう御座います 今年も本ブログよろしくお願いします 今度の臨床微生物学会で、ワークショップの感染症症例ツアーをお手伝いすることになりました。細菌検査提出までの臨床の流れと、培地でのコロニー所見など微生物所見、技師より臨床側への情報提供、抗菌薬選択、といった流れについて議論していくものです。私の担当はエルシニアということで文献を調べました。 今回は微生物学的なことについて、次回 . . . 本文を読む