感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

ペニシリンによる高カリウム血症

2013-02-13 | 感染症
昨日はペニシリンの日だったそうで(1941年2月12日に、イギリスのオックスフォード大学附属病院が、世界で初めてペニシリンの臨床実験に成功したことに由来 ;ウィキペディア)、当院でも一応、ペニシリンG注射液は採用されているので、その高K血症の潜在的リスクは注意である(100万単位あたりカリウムを1.7mEq含有)。 
といってもあからさまな高Cre例など腎障害が分かる例は、避けたり注意して使用したりするが、コントロール不良の糖尿病例では……?


Am J Med. 2008 Aug;121(8):e1-2.
Hyperkalemia caused by penicillin.
Thiele A, Rehman HU.


症例:44歳男性、もともとコントロール不良の糖尿病歴16年、主訴陰嚢潰瘍、泌尿器でフルニエ壊疽と診断、潰瘍の培養で溶連菌検出。ゲンタマイシン、ペニシリンGカリウム300万U×6回投与、その10日目に皮膚移植術、術後ペニシリンV内服600mg×4回 へ切り替え(14日間)。術後7日目に血清K濃度が6.0mmol/Lまで上昇(術前は3.8) (文献にCre値の記載はなし)


Discussion

・高カリウム血症は、糖尿病では一般的です。その有病率は、糖尿病患者の15%であると推定
・DMにおける慢性的高K血症は、ほとんどの場合、糖尿病性腎症によって引き起こされる低レニン性低アルドステロン症と慢性腎機能障害に起因する
・影響を受けやすい患者で、尿路閉塞、体液量減少、薬物(例えば、非ステロイド性抗炎症剤及びヘパリン)などは高Kをひき起こす
・アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体遮断薬、カリウム保持性利尿薬の同時投与でリスクが高い
・無症候性で血清KとCre値が正常で、基礎となる腎不全または低レニン性低アルドステロン症が認識されないとき、高K血症が急性期病態や投薬により促進される可能性がある。
・4つの以前の症例報告文献にて、ペニシリン誘発高K血症による心停止例がある。

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