感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

胆嚢炎で発症した多発血管炎性好酸球性肉芽腫性

2014-03-31 | 免疫
先日、急性胆嚢炎で消化器科に入院している方で、抗生剤不応、手足のしびれ出現、好酸球数が増加していたため当科へ相談があった。以前にブログに書いたように好酸球増多症の鑑別をすすめることにした。2年前に喘息発作を発症し診断されており、診察では右足や左上肢など複数個所で筋力低下あり。多発血管炎性好酸球性肉芽腫性(EGPA)(以前、Churg-Strauss症候群と呼ばれた)が疑われた。心臓エコーや血清トロ . . . 本文を読む

住血吸虫と虫垂炎

2014-03-27 | 感染症
当院外科より切除した虫垂の病理診断で住血吸虫症の診断があったため当科へ相談があった。 組織学的に急性炎症細胞浸潤と、貫壁性の壊死、石灰化した住血吸虫卵による血管塞栓が散在性に観察とのこと。 昔は日本でも地域風土的に住血吸虫症があったが、いまは1976年以来新規感染の報告はないという。一部の高齢者で慢性住血吸虫肉芽腫性炎症として病理学的所見として顔を出すということか。 まとめ ・住血吸虫症は . . . 本文を読む

麻疹(はしか)は渡航感染症として注意(輸入麻疹)

2014-03-22 | 感染症
以前のブログでも書きましたが、当院受診者でベトナム帰りの全身発疹性発熱例が麻疹でした。 浜松保健所に迅速な検査と外来の接触者調査で多大なご指導をいただきました。臨床医側としては、海外帰りの発疹性発熱例でデング熱などまず念頭にあり、麻疹かもしれないと予防的な感染対策が遅れたことが反省です。 国立感染症研究所によりますと、日本での麻疹の報告数は2013年12月以降増加傾向が続いているとのことです。 . . . 本文を読む

感謝!!訪者数10万人! -ブログの効用-

2014-03-20 | 日記
当ブログの訪問者がおかげさまで 「10万人」 となりました。これも閲覧してくださる皆様のおかげです。すごく励みになります。開設から約1年半でした。専門科を立ち上げて1年たったときにブログ開始を思いつきました。今回初めてブログを運用してみて、気づいたこと、良かったことを整理してみました。 特定分野の最新情報を得る 当科は感染症内科とリウマチ内科というマイナーな内科分野なのであまり教科書や参考 . . . 本文を読む

ステロイド治療において注意すべきこと

2014-03-19 | 一般向け
前回のブログでリウマチとステロイドと心血管イベントのお話をしました。このリスクのためにもステロイド使用はなるべく短期間、少量のほうが良いことになります。今回は 一般向け記事の第二弾として、ステロイド治療の副作用について一般に知っておきたいことを書きます。 薬剤の副作用に関しては、普段の診療上もよく質問も受け、またよく説明しておかなければならないことです。 特にステロイド剤は、炎症を軽減して症状を良 . . . 本文を読む

関節リウマチとステロイドと心血管イベント

2014-03-17 | リウマチ
以前のこのブログでも取り上げましたが、関節リウマチ治療のための欧州リウマチ学会勧告2013 でリウマチ治療でのステロイドに関しては、 ステロイドは低用量(プレドニゾン7.5mg/日以下)で最大6ヶ月までの使用は、初期治療戦略の一部として考慮されるべき としています。ただし他のDMARDsとの組み合わせに追加して使用するのみで、ステロイド単独療法は推奨していません。単独使用は、他のすべてのDMARD . . . 本文を読む

デング熱と駆血帯テスト

2014-03-12 | 感染症
ベトナムに2週間ほど滞在し帰国後数日で発熱、全身性発疹が出現し当院受診されました。蚊にさされた覚えはないとのこと。顔面からした全身の麻疹様発疹で、比較的徐脈(BT38.0、HR90)、Hb/Ht高く、Pltやや低いため、デング熱を考えました。さっそく駆血帯を用いたターニケットテスト(tourniquet test、以下TT)を行いましたところどうやら陽性のようです。日本では残念ながら抗体価検査は容 . . . 本文を読む

爪郭毛細血管の所見

2014-03-11 | 免疫
前々回でレイノー現象の診療について書きましたが強皮症の診断に欠かせないのが 爪郭毛細血管を観察する道具(nailfold capillaroscopy)で、ゴールドスタンダード法がビデオcapillaroscopyとのことですが当科ではまだ残念ながらDermlite(発光型ルーペ)を使っています。 昨年11月にACRとEULARが新しい強皮症の分類基準を出しており(記事)、爪郭の毛細血管異常も項目 . . . 本文を読む

レイノー現象の診療

2014-03-06 | 免疫
当科外来は初診としていろいろな症状で受診されますが、特に寒い日の続くこの時期、指先が冷えて白くなる(いわゆるレイノー)ため精査受診されることがあります。まず科の性格上、強皮症などを思い浮かべながらみていくわけですが、本来は幅広い鑑別疾患があります。諸文献からまとめてみました。 まとめ ・レイノー現象(Raynaud’s phenomenon;以下RP)は、最初に1860年代に現象を説明したM . . . 本文を読む

薬剤性筋障害について、特にスタチン

2014-03-05 | 免疫
2週間前からの全身の痛み、四肢筋力低下、血清CK値7700と上昇あり、多発性筋炎など膠原病疑いにて当科紹介あり入院されました。しかし膠原病を示唆する他の所見に乏しく、近医から胃腸薬、NSAIDs、Ca拮抗薬とスタチン(プラバスタチン)が処方されており、薬剤性筋障害について調べてみました。 スタチンは大規模に使用されている薬ですので筋障害の頻度は高くないと思われますが注意は必要です。 処方開始前のC . . . 本文を読む

妊婦と咳

2014-03-03 | 感染症
妊娠初期で半月以上つづく咳のため受診されました、前医呼吸器科では吸入ステロイドが処方されましたがあまりきかなかったとのこと。妊婦と咳嗽について諸文献をしらべました。やはり妊娠中喘息は結構あるようです。気管支拡張薬への応答性をみるのが大事。 必要性があれば胸部XP検査はためらわない。 あと下のまとめには触れませんでしたが、百日咳や結核の検討も重要ですね。 まとめ ・妊娠中の呼吸困難は、生理的で . . . 本文を読む