感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

関節リウマチを予防する

2018-09-13 | リウマチ
関節リウマチ前段階(pre-RA)は、臨床的に明らかなリウマチの発症に先行する前段階の状態と思われます。当科外来でもあまり症状のない方で、リウマトイド因子陽性や抗CCP抗体陽性のため紹介をいただくこともあります。RAと発症診断される前の方々はどのように考えると良いのでしょか。最近の知見をよくまとめた文献がありましたので紹介いたします。   ・pre-RAの段階は、自己免疫性の組織傷害 . . . 本文を読む

関節リウマチ薬と授乳

2017-03-02 | リウマチ
以前このブログで「関節リウマチと妊娠」として主に関節リウマチの薬と妊娠についてまとめました。 若い女性もかかる疾患ですので、リウマチ治療を続けながら無事出産され育児をされることもあります。たいていはすぐに断乳され人工ミルクで育てながらMTX内服等を再開することも多いのですが、最近、授乳を続けながらRA治療も続けたいとの希望がありました。現在はステロイドのみですが、どのようにしていけばいいのでしょ . . . 本文を読む

リウマチ患者教育 -どのような教育方法が良いのか‐

2016-06-22 | リウマチ
前回の続きで、リウマチ患者の教育について。では具体的な教育方法はどうなのか? 欧州リウマチ学会(EULAR)が2015年に炎症性関節炎を持つ人々のための教育のための勧告をだしていて参考になる。引用文献より学際的教育プログラムの具体例をみると、当院でもまだまだ複合的に教育できていないことがわかる。今後の課題として、感情的な問題についての議論を含める あたりが大切か。     . . . 本文を読む

リウマチ患者教育 -患者側ニードについて-

2016-06-01 | リウマチ
前回に続きまして、RA患者の教育についてです。当科でもいままで患者・市民向けの講座・勉強会を開催してきましたが、ほとんどの通院患者さんは参加されないこと、講座でお話していることと、日ごろの患者さんからの疑問などの観点は違うだろうことがなんとなく実感されます。“教育”という言葉も上から目線で医療者側が必要と思うものをしっかり理解してくださいといった姿勢ですが、それで良いのでし . . . 本文を読む

リウマチ患者教育 -患者の薬剤知識について-

2016-05-27 | リウマチ
先日、この地方でのリウマチ診療に携わる各医療従事者のための定期的勉強会で、リウマチ看護とケアについてのお話をしました。看護とケアといっても膨大な文献があり、さまざまな角度もあって、なかなか講演スライドがまとまりませんでした。その文献的なまとめを今回から少しずつ書いていきます。今回は、患者教育- 患者の薬剤知識について です。当科でも定期的にリウマチ市民講座を行っておりアンケートもとっていますが、要 . . . 本文を読む

抗リウマチ薬と間質性肺疾患

2015-01-16 | リウマチ
前回に続きまして、関節リウマチと間質性肺疾患に関して。今回は、抗リウマチ薬と間質性肺疾患の関連についてです。ずっと以前からMTXによる肺毒性の発生、そして最近TNF阻害剤使用と間質性肺疾患発生の報告があります。とりわけ既存の肺疾患保有は薬剤性肺毒性のリスク因子ともいわれておりとくにMTXを避ける傾向になりやすいのですがはたしてどうなのでしょうか。ここ2-3年の文献を見ますと、そのあたり微妙なところ . . . 本文を読む

関節リウマチと 間質性肺炎

2015-01-08 | リウマチ
関節リウマチ患者では関節のみを見ていけばよいのではなく、関節外合併症にも目を配る必要があります。とりわけ肺合併症はRA関連にも出てきたり、薬剤治療に伴ったり、感染症併発に伴ったりします。悪化すれば死亡にもつながります。既知の肺疾患をもってRAを発症された場合、治療薬選択にも気を使うことになります。複雑な医学的考察が必要で、呼吸器科医との連携も大切ですね。リウマチ関連の肺病変とくに間質性肺炎に関して . . . 本文を読む

関節リウマチと妊娠

2014-11-11 | リウマチ
関節リウマチは高齢者の疾患のイメージがあるかもしれませんが、結構、若い人でも発症します。女性の方が多いので、妊娠出産計画があるかどうか把握しておくのは大事なことで、それによって治療計画も変わり得ます。当科外来に通院中の方で、もともと生物学的製剤+MTXでコントロール中だったかたが妊娠を希望されました。最初の出産は、MTX中止→計画的妊娠→妊娠判明時に生物学的製剤中止、少量ステロ . . . 本文を読む

リウマチ治療薬とインフルエンザワクチン

2014-11-06 | リウマチ
当院では通院患者さんに、毎年10-11月頃にインフルエンザを推奨し、接種しています。当科はリウマチ性疾患の患者さんが多く、免疫抑制治療を行っていますので、ワクチンをうっていいのか、うてばどのような効果があるのかよく聞かれます。意外と、リウマチ薬とインフルエンザワクチンに関する研究は多くなく、それでも近年報告されるようになりました。 ポイントは、RA患者はインフルエンザワクチンが推奨されること、リ . . . 本文を読む

関節リウマチとタクロリムス

2014-10-17 | リウマチ
タクロリムスなどの免疫抑制剤はRA治療の主役ではないが、前回取り上げましたミゾリビンのように、他の抗リウマチ薬や生物学的製剤が使用できない状況、間質性肺炎、腎障害、などで選択肢となりうる。  タクロリムス(プログラフR)と有害事象とくに感染症について主に文献からまとめてみました。 有害事象は移植患者などでの高用量でTAC濃度≥10 ng/ mlあたりなら増加するが、RAで使用されるような . . . 本文を読む

関節リウマチとミゾリビン

2014-10-16 | リウマチ
ミゾリビン(ブレディニンR)はリンパ球系の増殖を抑制する免疫抑制剤で1984年に腎移植の拒絶反応抑制、1990年ループス腎炎、1992年関節リウマチ、1995年原発性ネフローゼ症候群の適応を追加されています。 免疫抑制効果も弱いのですが、副作用が非常に少ないとされ、高齢者や合併症の多い患者で他の薬の使いづらい例での選択肢の一つといえます。 MZRには禁忌(白血球数3,000/㎜3以下等)が少な . . . 本文を読む

関節リウマチとステロイドと心血管イベント

2014-03-17 | リウマチ
以前のこのブログでも取り上げましたが、関節リウマチ治療のための欧州リウマチ学会勧告2013 でリウマチ治療でのステロイドに関しては、 ステロイドは低用量(プレドニゾン7.5mg/日以下)で最大6ヶ月までの使用は、初期治療戦略の一部として考慮されるべき としています。ただし他のDMARDsとの組み合わせに追加して使用するのみで、ステロイド単独療法は推奨していません。単独使用は、他のすべてのDMARD . . . 本文を読む

関節リウマチと感染症リスク

2014-02-17 | リウマチ
前回の続きで、リウマチとくに生物学的製剤使用者と感染症リスクに関してです。(以前の当ブログ記事も参照を;リウマチ治療薬・生物学的製剤と感染症リスク、生物学的製剤と結核リスク)RA自体でも一般感染症のリスクは非RAよりは増える。ステロイドは用量依存的にリスクが増大する。生物学的製剤も感染症が増える、とくに使い始め数ヶ月。結核、MACだけでなくリステリアや真菌など細胞内微生物リスクも増えるかも。感染症 . . . 本文を読む

生物学的製剤使用者にルーチンでST合剤を予防投与すべきか

2014-02-13 | リウマチ
 このブログの更新はかなり滞ってしまいました。来週に浜松市の内科医会で「免疫不全患者の感染症」と途方もなく大きなタイトルを話すことになったため、予想以上に大量の文献の読み込みを要し時間がかかってしまいました。(よろしければお近くのかたは、19日午後7時半から浜松医療センターで行いますので、お越しください)  その中で印象的だった文献を紹介いたします。 ・生物製剤での感染症予防のための現行のガイ . . . 本文を読む

関節リウマチ治療のための欧州リウマチ学会勧告2013 ・その2

2013-11-26 | リウマチ
前回に引き続いて、欧州リウマチ学会EULARから、関節リウマチの治療に対しての抗リウマチ薬の勧告について。今回は、リコメンデーション 項目8から14。 最初のDMARDsが効果不十分なときで予後不良因子が存在する場合は生物学的製剤(Bio)を。MTXや他のcDMARDs(を試みてから)で不十分ならBioを開始する。どのBioがより好まれるかの記載はない。また話題の新薬のトファシチニブはBioが失敗 . . . 本文を読む