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ダンスとか。

『THE JUON/呪怨』('04、清水崇監督)

2005-02-19 | ダンスとか
池袋シネマサンシャイン。
いろんな国の映画のアメリカ資本によるリメイクはずっと流行っているし、監督がオリジナル版と同一というのも先例があるが、キャストだけアメリカ人を連れてきて日本で撮るというこの企画自体が何より痛快だと思う。例えばアメリカ人が墨田区か江東区あたりで飛び降り自殺する画はインパクトがある。外国で自殺というのはこうして見ると実にしんどいことに思えるし、何かイヤな感じがする。ジェニファーがスーパーで何買ったらいいかわからなくて困ってるシーンにも通じる何か。「土地」とのディープな摩擦。アメリカ人がパリとか中国とかでまごまごするのはよく映画に出てくるが、これを日本人(現地人)が撮っているところが面白い。もっとも、この映画は「怖さ」という点からすると大したことなくて、何だかんだいって一番怖いのは旦那が妻子を殺す(割とフツーな)シーンと、あとは下顎が取れたヨーコの舌が喉の辺りでヒクついているシーン、ベッドの中で千切れた携帯ストラップを発見する瞬間ぐらいのものだったりする。どうして怖くないのかはよく調べてみないとわからないが、まずショックシーンでの効果音とか細かいジャンプカットとか顔の表情とかが全体にクドくなっている気がするのと、あとはエピソード自体がほとんど全部過去4作からのもので、しかもそれが細切れではなく全体に滑らかにつながれている点があげられるだろう。全体の流れの中でどうこうというより、細切れになってその都度リセットがかかった方が清水崇の遊戯性は受け取りやすくなる。そもそも清水の味は単なる「怖さ」よりそれを突き抜けた「ヘンさ」、つまり怖いんだか馬鹿馬鹿しいんだかはたまた「前衛的」なんだかわからないニッチな攻めにあるのに、それがこのように滑らかなストーリーテリングになると妙な辻褄合わせばかり増えてデタラメ感が殺がれる。最低なのは伽耶子が殺されるに至る背景のくだりと、階段を這って降りてくる動きが何を反復しているかの説明があるところ。ガイジンが日本にいる、というシチュエーションを描写するためにエキストラがたくさん映ったり道行く人の会話が入ったりするのも映画の密度を低下させていると思う。印象に残るのは三ヶ所で、まずヨーコが天井裏に引っ張り込まれてバタバタバタ~となったら引きの画面に変わってすかさず下に Directed by Takashi Shimizu と出るところ。映画監督が腕前を自慢してしまうという露骨な内輪っぽいノリ。あとカレンが初めてまっくろくろすけみたいなのを見た時のショック顔のアップで右目から涙が一滴タラーッと行くところ。ギャグスレスレでありながら絶叫なんかよりはるかにリアルであるという事実に感銘を受ける。そしてエレヴェーターの窓に俊雄が出るお約束シーン。一回目の窓ですぐに現われ、かと思うとすぐ次の階でも同じポジションに出て、そして次の階ではもっと手前にかぶりつきで出る。しかし本当に凄いのは、その次の階でさらにまた同じ場所にいるというところだ。A、A、B、アンドB。デタラメのしつこいダメ押しな感じ、たまらなく寒い空虚な感じがどうしてこんなに愉快な気分にさせるのだろう。
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