dm_on_web/日記(ダ)

ダンスとか。

Shen Wei Dance Arts

2005-12-09 | ダンスとか
NY, Concert Hall, The Performing Arts Center, Purchase College, State University of New York.
The Rite of Spring
シェン・ウェイは2003年にアメリカン・ダンス・フェスティヴァルで『春の祭典』初演と『Behind Resonance』を見たのが最初で、その後の新作がどんな風になっているのかが知りたかったのだが、ここでもまた『春の祭典』だった。久しぶりに見て、あれっと思ったのは、ダンスが音楽に対して非常にリテラルに付いていること。前回見た時は音楽の構造ではなくて、あくまでも響きの質感のレヴェルで共鳴しつつ並行関係を保っているように見えたのだが、今回はまるで楽譜の視覚化で、単音のメロディを律儀になぞるソロのダンサーがいたり、音楽とダンスのスピードが一致させられていたりして、少々深みを欠いていた(後で聞いた話では、この作品でダンサーが音楽から距離を保つには意識的な努力が必要で、上演を多く繰り返していく上でそこが課題になるのだという)。しかし改めて見ても凄いムーヴメントだと思う。四肢や胴を様々な螺旋形で展開する動きはもちろんだが(カンフーに由来するとのこと)、主要なパートを踊る中国系の女性ダンサーの、フロアでの動きが圧巻だった。どういうわけか前回見た時の記憶には残っていないのだが、人形振りのように関節を硬直させて色んな方向へリズミカルに折り畳む、その線の多様さ、複雑さには、体の動きという有限な既知の素材から未知のものが生まれてくるという芸術の不思議を強烈に感じさせられた。ちなみにこの日は開始後15分くらいのウェイのソロの部分で火災報知器が鳴り、上演が一時中断されてしまった。観客は全員建物の外に出され、しばらくしてから戻ったのだが、冒頭からではなく途中から再開された。
Folding
ウェイの中国時代の作品で、広東モダン・ダンス・カンパニーによって2000年に初演された。背景にウェイ自身の手になる巨大な絵画がかけられ、ポツンポツンと魚が泳いでいる。ダンサーは赤いスカート状の衣装と、後頭部が膨らんだ奇妙な肌色のかつらを付けている。動きは終始遅く、身をくねらせながら列をなして舞台上を移動する。これは背景画の魚を模倣しているらしく、腰を曲げて前屈みになったダンサーと直立したダンサーが結合しているのは、魚を対で描く中国絵画の慣習に基づくとのこと。音楽は前半がチベット仏教の声明で、煌びやかにしてグロテスク、後半はタヴナーの何ともいえずチープな、それでいて威圧的な曲。『Behind Resonance』と同じくインスタレーション的な性質の強い作品のようで、視聴覚的にはともかく、ダンスとしてはあまり見るところがないように思う。
コメント    この記事についてブログを書く
« Sasha Waltz & Guests | トップ | Pascal Rambert / Side One P... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ダンスとか」カテゴリの最新記事