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ダンスとか。

劇団解体社 『わたしの舞台--わたしは見ているのではなく信じているのだ』

2009-10-03 | ダンスとか
湯島・カンバス。
「舞踏的」とも「だらしない身体」ともつかない茫洋とした佇まいの男が、ゆるく握ったペンの先で紙の上をなぞり続ける長い冒頭は「演劇」として素晴らしいと思った。身体のありようの提示が、それだけでそのまま意味表現になり得ていて、こういうことができるのはやはり解体社なんだと思った。けれども全体を通して見ると、ここまで率直に体が何かを語るということは以後なかなか起きなくて、他方では遠いトピック同志が力づくで関係づけられようとしているような面が多く、どう受け取ればいいのか困惑した。このところの解体社では、大文字の歴史を大文字で語るのではなくて、日常の生活世界の中に定位しつつ大きなテーマを語ろうとしているようなのだけれども、どこか「被害者」的な観点からする「悲惨さ」、いいかえればドラマ的な演出がドミナントになってしまっている印象を受ける。いわば大上段に構えたテーマ設定の作品では、もっと対象を突き放しつつ、思考の補助線を錯綜させて観客に問いかけるような面があったのに比べると、あまりに内在的(ベタ)な描写に終始していないかという気がする。もちろん「日常」派に反発した結果「虚構としての演劇の力を信じる」みたいなことを平気でのたまってしまう反動アングラ保守主義とは一線を画した、道なき道を行っていることは確かなのだけれども。
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