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ダンスとか。

Dance Triennale Tokyo 2009

2009-09-26 | ダンスとか
青山円形劇場。
「トライアル×4」
▼木野彩子 『IchI』
縦方向に隙間のある黒い木の板塀で囲まれた空間を中心とした男女デュオ。舞台下手ではヴァイオリン、チェロ、パーカッションの演奏がある。塀の感じが何となく「江戸」ないし「京都」を連想させたがそういう要素は別にない。男がメインで、隠れたところから女にいじられる。
▼今津雅晴 『still life』
裸足で、両手にダンスシューズをはめ、たくさんの靴に囲まれた畳の上でバレエっぽい足の動きの稽古をするところなど、足をめぐる「異文化」性のようなテーマが見えた。こういうのは緻密にリサーチしたら絶対面白いと思う。
▼キム・ジェドク 『Darkness PoomBa』
Kim Jae-duk, Darkness PoomBa
先月ソウルに行った時に非公開のショーイングで見た彼の『Joker's Blues』がやたらと面白かったため、今回密かに期待していた。明らかに今までの韓国のダンスとは違う。ダンサーは男5、女2で、語彙は基本的にアカデミックなのだが振付はあくまで泥臭くてワイルド。男も女も無頼な雰囲気を漂わせ高い身体能力を発揮しつつ全力で踊りまくる。さらに客席内に立てられたスタンドマイクでパンソリが歌われ、途中から舞台上でギター、ベース、ドラムスの演奏が始まるとパンソリとロックが融合し、ジェドク自身も客席で歌い、ハーモニカを吹き、兵隊か囚人のようなカーキの衣装の男二人組が金属の食器を持って客席通路で踊り倒す。全方位的に盛り上がるハングリーでアウトローな空気が文句なく格好いい。「プムバ」とは乞食(放浪芸人?)のことをいうようだが、韓国の伝統文化の表層を借りてくるのではなく精神というかニュアンスをすくい取ってそこに現代的なリアリティに通じるものを見出している。ちなみにジェドクはLDP(Laboratory Dance Project)という男だけのグループのメンバー。他の振付家の作品も面白いのだが、アカデミックなダンスとポピュラー文化を軽快につないでしまう発想の自由さには彼独特のものがあるように思う。
▼浜口彩子 『15秒』
7人のグループ作品。15秒とは限らないが、「追憶」「To the sky」といったような小テーマの超短編作品が連続する。舞台下手の額縁(寄席の「めくり」のような)とアナウンスで、その都度最初にテーマが宣言されるため、どうしても見る側の姿勢が「絵解き」みたいになってしまうのは明らかに損をしていると思った。「絵解き」をする時の人の目の焦点深度は恐ろしく浅い。記号性ばかり求めて、ディテールを見ない。すると短い時間の中にテーマが「圧縮」されているというより単に持続性というものが放棄されているようにしか感じられなくなってしまう。
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