dm_on_web/日記(ダ)

ダンスとか。

ニブロール 『風か水やがらんとした空か』

2024-05-18 | ダンスとか
市原/チバニアンビジターセンター周辺。
振付・出演/矢内原美邦、ジョー・ロイド、黒田杏菜、音楽・出演/スカンク/SKANK、デイビット・カークパトリック、美術・出演/高橋啓祐
77万年前の海底堆積層が露出している谷を舞台にしたパフォーマンス。十人ほどのグループ三つに分かれつつ一列になり、スカンク・高橋・カークパトリックそれぞれの先導で坂を下っていく。この列に並走する形で、ダンサー三人が不規則なステップで行きつ戻りつしながら進んでいく冒頭が面白かった。追い越したり、追い越されたりする体感の面白さというものがあり、これは実際に体感する以外にうまく言語化したり表象したりできないものだと思う。演者が黒い服を脱ぎ去りながら移動していき、林に囲まれた小さな広場に出て、そこで三人がじんわりと空間をまさぐるようなパフォーマンスになる。地面は非常に細かな砂地で、その感触や空気と演者の動きの質感が共鳴しているように感じた。ロイドと黒田はたくさんトゲの生えた甲羅のようなものを背負っていて、トゲはよく見ると、黒い甲羅では戦車や兵士など、白い甲羅では恐竜や動物などだった。矢内原は草や花でできた物体を肩から掛けている。ニブロール初期から変わらないテイストで少し懐かしく思った。遠くから間欠的にラッパの音が聞こえてくる。このパートが終わると案内があって河原に降りる。スカンク・高橋・カークパトリックがそれぞれ川の中でラッパを吹いていて(間欠的に一音を出すと谷底に響く)、上流にゆっくりハケて、矢内原・ロイド・黒田が川の中で動きを見せる。物理的に引っ張り合ったり、声を響かせるなど、確かにニブロールはこうだったと思う部分もあるが、水の抵抗で自由には動けないのが新味といえば新味か。全体に自然のロケーションが素晴らしすぎて、何かを付け加える必然性を観客が感じるにはもっと長時間の滞在が必要だったと思う。
コメント    この記事についてブログを書く
« 川崎ロック座・5中 | トップ | 池袋ミカド劇場・5結 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ダンスとか」カテゴリの最新記事