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ダンスとか。

ダンスの発明 vol.8/加藤奈緒子+Jacki JOB 『VS/VS』

2005-04-23 | ダンスとか
西落合・枇杷系スタジオ。
斜めに椅子を置き、二人が向かい合って交互にソロを踊る。加藤が踊る時の音楽はノイズ、ジョブの時はクラシックの音楽(有名な曲なのだが思い出せない)、と決まっていて、これがストイックに繰り返される。出だし、加藤がジョブにガンを飛ばしながら踊るところが面白かったが、結局は二人とも不発のまま最後まで行ってしまった。両者は格闘している対象がそれぞれ違う。加藤は体そのものから抜け出そうともがき、ジョブは体に染み付いた踊りの言語を振りほどこうとしているように見えた。ジョブはバレエや、フラメンコのようなものも出て、何をやってもどう動いても何かの抽斗を開けることになってしまう。自分の体に関心を向けずに、動きの形式を外へ外へ求めているからだと思う。他方の加藤は、片腕を鉤型にしたり人形振りのような動き(笠井叡~山田せつ子的な)をしつつ、とにかくリズミカルな反復を徹底的に排除する。動きを繰り返せば体は容易に走り出すのだろうが、それをしないで、何か別の回路を通って体の殻を壊そうとする。そう思ってみれば「VS/VS」というタイトルは要するにこの「格闘」が二個並んでいるシチュエーションを指していることになるが、しかし「踊り」ではなく「踊りへ至る過程」としての格闘を見せるということが観客にとって意味をもつとしたら、それは相当な高水準のダンサーの場合に限られるのではないか、とも素朴に思う。
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