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ダンスとか。

月下氷身~世阿弥<融>のヴァリエーション

2011-08-26 | ダンスとか
渋谷・セルリアンタワー能楽堂。
▼袴能 『融』(シテ/塩津哲生、ワキ/宝生閑)
▼勅使川原三郎 『水銀の月』
能は「袴能」という、踊りだと「素踊り」にあたる形式で、勅使川原三郎の方は能舞台で地歌。しかもホテルの地下にある能舞台なんていう、何から何まで奇抜な公演だった。袴能っていうのは知らなかったけど、面も衣装も付けないことの特殊さは、観客よりむしろ演者の方に影響が大きいんじゃないかと思った。とにかくシテもワキもすごく体が震えていてビックリした。衣装の重さがないから? 勅使川原三郎は三味線も箏も盲目の奏者を指定したようだったが、三味線のハネるリズムに乗って体の動きが日本舞踊みたいになる瞬間が何度もあった。間の取り方(事後的にはおぼろげにしか思い出せない…)だけでなく、手の所作なんかが、女形みたいなジェスチャーとなって泳ぐ。下半身というか重心を激しく動かさない代わりに、普段とは違うジャンルの動きが侵入してきて体も意識も引き裂かれているみたいに見えた。実験的ではあるが、何らかの意味生産につながっている感じでもなく、観客としては「変わったものを見た」という以上の感想がない。何であれ、やれば実験くらいにはなるだろうけど、これはいったい何の実験なんだろう。どうして能舞台なのか? どうして地歌なのか?
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