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ダンスとか。

黒沢輝夫・下田栄子 「まだ踊る」

2010-05-15 | ダンスとか
横浜赤レンガ倉庫1号館3階ホール、夜。
▼下田栄子 『月の砂漠』(出演/堀内翼、堀内朔良)
▼石井漠 『山を登る』(出演/黒沢輝夫、黒沢美香)
▼下田栄子 『蒔絵』(出演/米沢麻佑子)
▼黒沢美香 『薔薇ノ花瓣ニ放火シテ』(出演/小林美沙緒)
▼下田栄子 『闇に歌声』(出演/幅田彩加)
▼米沢麻佑子 『breath』(出演/望月崇博、米沢麻佑子)
▼黒沢美香&ダンサーズ 『ダンス☆ショーA』(『passion』『娘たち(『膝の火』より)』『mode'n dance』)
▼下田栄子 『兄妹(ブラート)』(出演/堀内翼、堀内朔良)
▼黒沢美香&ダンサーズ 『ダンス☆ショーB』(『ゲーシャ(『接吻』より)』『ウィーン』『24000回のキッス』『OSAKA』)
▼下田栄子 『銀色にのす女』
▼黒沢美香 『喜びも悲しみも幾歳月』
▼黒沢輝夫 『金色に踊れる男-やすらぎ-』

黒沢美香のソロが良くて嬉しかった。ここ数年楽しめないことが多くて、完全武装の『薔薇の人』でさえもヒット感を得られなかったのだけど、久しぶりに大きい空間を使った黒沢美香の踊りのスケールの大きさを味わった。動き自体が大きいわけではないにも関わらず、視線や、動きのヴェクトルの振り幅や変化の速度の変化などといったものを通して、物理的には満たされていない空の空間がその拡がりを(潜在的なものとして)主張しているように感じられてくる。黒沢美香の動きは、物理的に顕在化した量だけではなく、潜在的な量を浮上させる。いいかえるなら、単に「見せる」ばかりではない「暗示」が絶え間なく仕掛けられるために、見る人の想像力を無意識のうちに駆り出し、場の生成に関与させてしまうのだろう。ゆっくり時間が流れる部分はもとより、むしろ急いでアクロバティックに動いているさなかに、キュビズムのごとく、踊る体からいくつもの空間の切り子面が畳み掛けるように生まれてきて圧巻だった。ところでおそらく初めて舞台で見る下田栄子作品の振付には、意外なほど黒沢美香と共通するものがあった。とりわけ突発的で大胆な動きの展開がアクセントになっている点などは顕著で、しかし若いダンサーの瞬発的な力みは決して笑いを誘わない。現代舞踊的なヴォキャブラリーを、形はそのままで、効果だけをズラしたのが黒沢美香の振りなのだろうか。石井漠の『山を登る』でも、まるでバイエルからその旨味を最大限に引き出そうとするかのような極度に丹念な踊りっぷりは、素朴さの感動と同時に、妙なおかしさがあった。アイロニーをもって過去を遇するのは誰にでもできるが、リスペクトも失われてはいないがゆえに、こうも複雑な美しさになるのだろう。
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甦るラインダンス GHQが撮った宝塚歌劇『春のをどり』(一九四六・総天然色)

2010-05-15 | ダンスとか
表参道・東京ウィメンズ・プラザ ホール。
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