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ダンスとか。

珍しいキノコ舞踊団 『あなたの寝顔をなでてみる。』

2007-07-12 | ダンスとか
吉祥寺シアター。
ほとんど何の仕掛けもない舞台空間でダンサーの体をシンプルに見せる感じの新作。確かプレスリリースに「人間」ではなく「人間と動物に共通しているもの」に焦点をあてるとか書かれていたので(「寝顔」=無意識に触れる、というのはそういうことらしい)期待していたのだが、キノコからここまで削ぎ落としてしまうと全くもって人畜無害というか、何をどう見ていいのかわからなくなる。ちょっといつもと違うかなと思ったのは、あからさまに正面向きにショーダンス的なことをやるところだが、グループでいつもやっている「ナチュラル」の直接的な反動で、あまり展開が感じられない。ただ、デュオで、どうでもいい会話をしながら複雑な踊りを見せていく場面が面白かった。「喋りながら踊る」というアイディア自体は珍しくないように思えるが、舞踏系でよくやられるように、言葉と動きの両立不可能性(息切れ、言い間違いなど)を見せるのではなくて、両者の完全な平行、解離をかなり高いレヴェルで実現している。とりわけ喋っている内容があからさまな雑談で(この日は吉祥寺の有名なメンチカツの話題など)、なおかつ、リフトやアクロバティックな動きを含む振付にも息が乱れないので、いかにも退屈なルーティンワークを当たり前にこなしながら世間話に気を取られているかのような見かけがとても奇妙に見えた。ジャドソンで、喋りながら踊るということがやられた時も、きっとこんな感じだったのではと思った。容易くやっているように見えて、しかもその容易そうな見かけが実は相当な技術的裏付けを伴っているというアイロニーが、直感的に伝わる。こういう高精度のパフォーマンスはキノコの面目躍如たるところだと思うのだが、作品全体としてはあまりにも「毒」が薄すぎて、「かわいかった」とか「ハッピーになれる」とかで済まされてしまうだろう。歯痒い。
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