コンドルズ 『太陽にくちづけ007 トゥモロー・ネバー・ダイ』

与野本町・彩の国さいたま芸術劇場（大ホール）。
どうしても『HONEY』のあの研ぎ澄まされた悪意を期待してしまうのだが、やはり本公演はサーヴィスが優先になってしまうのか、いつも変わらぬコンドルズであった。とはいえあからさまに「アングラ演劇」や「ヤン・ファーブル」などに言及していたりもして、後続の世代とは明らかに異なったメタ的な意識を垣間見せるのだが、実質的には単純にベタに受容されてしまっているばかりか、笑うべきタイミングを過剰に先読みしてフライングしてしまう観客までいる。観客（消費者）に負けているというのはどう考えても問題だろうと思う。「外」に出ようとすることがかえって内輪を作ってしまうわけは、たぶんその「外」というのが既知のフレーム、すなわち「常識」という「現実」でしかないところにある。舞台に幻想を求めないことと、単なるありふれた日常を肯定することとは、別だと思う。