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ダンスとか。

『叫』('06、黒沢清監督)

2007-03-25 | ダンスとか
新宿武蔵野館。
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ラビア・ムルエ 『これがぜんぶエイプリルフールだったなら、とナンシーは』

2007-03-25 | ダンスとか
Rabih Mroue, How Nancy wished that everything was an April fool's joke.
西巣鴨・にしすがも創造舎特設劇場。
このレバノンのアーティストの作品を見るのは、2004年の『ビオハラフィア』東京公演に次いで二度目。四人の役者がソファに並んで座り、かわるがわるマイクで喋り続ける。地域紛争、国家間紛争に加え、党派抗争、宗派抗争などが際限なく入り乱れるレバノンで、組織の名の下に人々が殺し合って死んで行くさまがモノローグで語られるのだが、一人一人が死んでもすぐに別の集団や地域で新たな戦闘に加わってはまた死んでいき、その度ごとに「英雄」としてポスターが作られ、役者の上のスクリーンにそれが映し出される。四人が何度も何度も死んでは殺し死んでは殺し、また二回ほど政治的重要人物が死んで「全て終わりだ」と言われ、こんなことを繰り返しながら1970年代から2007年まで時代が下ってくることによって、人々の死がひたすら堆積するだけの単調で不毛な過程を、変化の少ない90分間の持続によって観客も体験する仕掛けで、一体いつまで続くんだと不安に駆られて時計を見てしまうといったような行為さえもが舞台上で語られる内容と照応し自動的にアイロニカルな「翻訳」を施されてしまう、などといったらやはり褒め過ぎであるだろう。時間の経験自体がテーマだとしても、こんな風に時間を「時間」という観念に回収してしまったら、何も言ったことにはならないんじゃないかと思う。
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