くろにゃんこの読書日記

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コニー・ウィリス中短編集

2009年09月24日 | SF 海外
奇想コレクションが発刊されたあたりから、ぱっと目を引くイラストや明るいパステル調の色合いの装丁が多くなってきているような気がします。
装丁につられてついつい手にとってしまう私は、出版社の策略にまんまとひっかっているわけですね。

小難しい小説は、いまちょっと避けたい気分なので、続けてコニーウィリスの短編集を読むことにしました。
『マーブル・アーチの風』はハヤカワのプラチナファンタジーの一冊。
ロンドンの地下鉄の路線図は東京の路線図と似ているので利用しやすいということは聞いていましたが、装丁に書かれている路線図を見てみると、確かに似ていますね。
地下鉄を舞台にした「マーブル・アーチの風」は、さすがに年齢的に身につまされます。
「インサイダー疑惑」は、にっちもさっちもいかない状況(例:ギリシア悲劇なら機械仕掛けの神が登場するところ、もしくはバーディがジーヴスに泣きつくところ)を作り出す手腕とその解決が結婚に結びついちゃうというラブロマンスの作り手としての手腕に脱帽する一作です。
「インサイダー疑惑」というタイトルがなにを意味しているのかを考えるのも面白いし、なんといってもメンケンがとても魅力的な人物なのです。
ついつい図書館の蔵書検索をしてしまいました。
あったのはたった一冊、アメリカ古典文庫20のなかの「アメリカ人であることについて」でした。
今度借りてみようかな。
『マーブル・アーチの風』にはクリスマス関連の短編が2編含まれているので、そのころに読むのがオススメかも。



奇想コレクション『最後のウィネベーゴ』の「女王様でも」は、女流作家ならでは。
女性数人が集まれば、必ずではないけれどかなりな確立でこの話題は出ますよね。
旅行の日に必ずなっちゃうとか、そうそうと思うことがいっぱい。
私の症状は脳みそを締め付けられるような頭痛と冷えでバファリンを愛用してます。
ああ、<解放>されたい。
「スパイス・ポグロム」って、なんておかしなタイトルだろうと思うわけだけど、本編を読んでいればその意味に気づきます。
日本の代名詞ってのはやはりソニーなのねぇ。
でもって、ウサギ小屋と称される住宅事情、満員電車、日本のイメージってこんななんだなぁ。
どれだけデットスペースを活用できるかという雑誌の特集記事を思い出しちゃいます。
表題作「最後のウィネベーゴ」は2冊読んだなかで秀逸な作品。
主人公の視点で読み進めるトリックにまんまと引っかかり、やられた感たっぷりで気持ちよくだまされました。
いくつもの要素をからませ、けっして長くないページ数でここまでできるかという短編の醍醐味が味わえます。

最後のウィネベーゴ (奇想コレクション)
マーブル・アーチの風 (プラチナ・ファンタジイ)


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2 コメント

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初コニー・ウィリス (迷跡)
2009-09-25 21:35:37
『マーブル・アーチの風』は未読ですが『最後のウィネベーゴ』は初コニー・ウィリスでした。
そして短編集は順に読んでいくので、「女王様でも」が初めて読んだ作品なのです。
テーマとテクニックに圧倒されました。わいわいガヤガヤの軽いドタバタの中でストーリーを展開する手際は見事ですね。
『ドゥームズデイ・ブック』も、前半の、こちらの時代はそんな調子だったので、楽しい話を期待したのですが…
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私の場合は (くろにゃんこ)
2009-09-26 08:03:23
最初に読んだのは「航路」だったか「ドゥームズデイブック」だったか。
とにかく長くて泣ける小説だったので、コミカルなイメージのほうが薄かったです。

「女王様でも」は面白かったですね。
ああいう会話って、女性同士だとわりとするんですよ。
どれだけ自分が悲惨な状況に陥るのかとか。
自分も家族会議に参加している気分で楽しく読みました。
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