小児科医を長くやっていると、
ワクチンが開発される度に、
赤ちゃんの病気が減り、命が守られていることを実感します。
ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンで乳児の命を脅かす細菌性髄膜炎が激減しました。
勤務医時代(20年以上前)、冬になると入院病棟に、
「ロタウイルス部屋」と「RSウイルス部屋」ができたものですが、
ロタウイルスワクチンの登場により脱水症で入院する乳幼児が激減し、
ロタウイルス部屋は今はなくなっているはず。
そして最後に残ったのが「RSウイルス」です。
今でも赤ちゃんが風邪を引いてゼーゼーするとRSウイルスが陽性になることが多く、
ヒヤヒヤ物です。
そしてようやく、RSVワクチンが登場しました。
特徴は、
「生まれてくる赤ちゃんのために、お母さん(妊婦さん)がワクチンを接種する」
こと。具体的には、
「妊娠24~36週の妊婦に、1回0.5mLを筋肉内に接種」
つまり、お母さんに免疫をつくって、
それを胎盤を通して胎児に移行するのを期待するワクチン。
画期的ですね。
RSV気管支炎で入院するのは、生後3か月未満の赤ちゃんがほとんどで、
生まれてから接種するのでは遅いのです。
いち小児科医として、ぜひ普及して欲しいワクチンです。
■ RSウイルス母子免疫ワクチン「アブリスボ」接種開始
(2024/06/03:日経メディカル)より抜粋;
妊婦にワクチンを接種することで、生まれてくる子を出生時から守る──。2024年5月31日、国内初の母子免疫を利用したRSウイルスワクチン「アブリスボ筋注用」が発売された。同日に接種を開始した、福田病院(熊本市中央区)病院長の河上祥一氏は「母子免疫ワクチンは、母親から子への最初のプレゼント。これから周知を進めていきたい」と語る。
アブリスボは2024年1月18日に「妊婦への能動免疫による新生児及び乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防」を効能・効果として国内製造販売承認を取得した(関連記事:RSウイルスの母子免疫ワクチン、国内初の製造販売承認を取得)※。妊娠24~36週の妊婦に、1回0.5mLを筋肉内に接種する。これを受け、日本小児科学会は「RSウイルス母子免疫ワクチンに関する考え方」を発表。「基礎疾患のない乳児に対するRSウイルス感染症の予防に寄与することが期待される」としている。製造販売元のファイザーによれば、接種を希望する施設に順次供給予定。
※3月26日には「60歳以上の者におけるRSウイルスによる感染症の予防」に対する適応追加の承認を取得(関連記事:60歳以上へのRSVワクチンに新たな選択肢)
アブリスボは2024年1月18日に「妊婦への能動免疫による新生児及び乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防」を効能・効果として国内製造販売承認を取得した(関連記事:RSウイルスの母子免疫ワクチン、国内初の製造販売承認を取得)※。妊娠24~36週の妊婦に、1回0.5mLを筋肉内に接種する。これを受け、日本小児科学会は「RSウイルス母子免疫ワクチンに関する考え方」を発表。「基礎疾患のない乳児に対するRSウイルス感染症の予防に寄与することが期待される」としている。製造販売元のファイザーによれば、接種を希望する施設に順次供給予定。
※3月26日には「60歳以上の者におけるRSウイルスによる感染症の予防」に対する適応追加の承認を取得(関連記事:60歳以上へのRSVワクチンに新たな選択肢)
・・・
アブリスボの接種にかかる費用は全額自己負担であり、福田病院の場合は約3万円と決して安価ではない。河上氏は「接種率を上げるには、自治体などによる補助が必要だろう。費用対効果に関するデータの蓄積も待たれる」と話す。
「赤ちゃんが生まれたときから守られていることが、母子免疫ワクチンの最大の特長」(河上氏)。・・・
アブリスボの接種にかかる費用は全額自己負担であり、福田病院の場合は約3万円と決して安価ではない。河上氏は「接種率を上げるには、自治体などによる補助が必要だろう。費用対効果に関するデータの蓄積も待たれる」と話す。
「赤ちゃんが生まれたときから守られていることが、母子免疫ワクチンの最大の特長」(河上氏)。・・・