世界は今、新しい中世

2008-08-22 01:54:04 | Weblog
溜池通信

の中の文章を抜粋させていただきました。日本がいくつもの企業国家に別れていて日本という国家としてのあり方が希薄に思えていましたが、その実感をうまく解説してくださっています。

そして日本は日本のようなタイプの民主国家ではなく、まったく別次元の状態の国家に囲まれているのを視覚的にわからせてもらえました。

Democratic Peace の中にある日本には戦争なんて考えられませんが、今やっと19世紀国家となったロシアや中国、ならずもの国家や失敗国家にはそれは通用しないことは知っていたほういいかもしれません。

この新中世の時代に、先進国の繁栄は今後も続くのでしょうか・・
それとも下克上のように倒されてしまうのでしょうか・・
盛者必衰の人類の歴史の中で
唯一ひとつの系統で皇室を2000年継続させてきた日本ですが、
安閑としていられるとは思えないです。

<田中明彦先生の『新しい中世』(1996 年)という本に、「現代の世界は中世に似てきた」
という指摘がありました。中世の社会は国家の権力が弱く、教会や荘園領主や都市など、
いくつもの権力主体が分かれていました。今日の世界においても国家の存在感は薄まり、
多国籍企業やNGO、あるいは国際機関などが重要な役割を担いつつある。その中で人々は、
以前に比べて多様なアイデンティティを持つようになりました。こうなると、民主主義国
同士は戦争をしない、いわゆるDemocratic Peace という状態が成立します。
しかしそれはごく一部の先進国だけの話であって、新中世圏の外側には「今頃になって
やっと19 世紀式の国民国家になった」という近代圏の国々が広がっています。中国やロシ
アが、時代遅れの領土拡大策や富国強兵路線を取り、資源の確保に血道をあげ、ときには
謀略まがいの情報戦を仕掛けてくる。こうなると、そんなことはもう卒業したつもりの新
中世圏にとってはいい迷惑ということになります。
そして近代圏の外側には混沌圏とも言うべき世界が広がっていて、Rogue States(ならず
者国家)やFailed States(失敗国家)がある。その中にはテロリストのネットワークなどが
巣食っていて、これもまた先進国の繁栄を狙っていたりする。
実はこれと同じ構造が、「経済・金融」の面でも出来上がっているわけです。つまりG7
やOECD といった先進国は、かつては貿易や投資、知財などの国際的なルールを自分たち
が中心になって作っていたわけですが、最近は新興国や産油国に気兼ねをしなければなら
なくなってきた。実際、サブプライム問題が発生したときに、米欧の金融機関が真っ先に
行ったのは、産油国や中国のSovereign Wealth Funds に出資を仰ぐことでした。>


ところで、ドバイの砂上の楼閣群をテレビで見ていると、バベルの塔のように思えてならないです。働かずして豊かな人々のための地でもありますしねえ。

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