夢中人

sura@cosmic_a

花魁道中

2009年02月03日 | Weblog
下関で地域情報誌をいただきました。
これがフリーペーパーなのかと思うような内容ばかり。
いろいろ気になる記事が載っていたのですが、その中に「先帝祭」のことがありました。
先帝祭というのは、今から820年前、源平合戦で敗れた平家とともに、
8歳で壇之浦の海に沈んだ安徳天皇の霊を慰めるために、生き残った平家の女官達が
幼い幼帝の命日に正装して参拝したという悲話に因んでいるということです。
。。。8歳ですか。今でいうならば小学校2年生か3年生くらいですね。
その幼帝の御霊を祀られているのが関門海峡を望む小高い丘に建つ赤間神社だそうです。
その赤間神社が先帝祭の舞台となるみたいなんですが、その先帝祭の見せ場であるのが上臈参拝だとか。

この上臈参拝なんですが、載っている写真を観てみると、花魁道中のようです。
豪華絢爛な衣装を身に纏い、髪飾りもこれ以上はつけられないくらいの量のかんざしを挿し、
そして、あの厚底の下駄を履かれているんです。
。。。どうみても花魁道中。花魁といえば遊女。なんでなんだろうと思ったら、
「一説には、生き残った平家の女官達が遊女として命をつないだのが郭(くるわ)の起源だとも
言われている」とありました。
。。。そうなんですね。生き残るためにだったんですね。

下関にはかつて大きな遊郭街があったそうなんですが、昭和20年の下関空襲で全てを焼失してしまったそうです。
下関にそんな歴史があるなんて知りませんでした。
ある意味、ちょっぴり悲しいけれど女性の歴史が残っているところでもあるのかなぁと思いました。
花魁といったら悲しいお話ですよね。
数々の女優さん達が演じてくれたのを観てきましたがどれもこれも悲しいものばかり。。。
でも、その中でも悲しい場面とはうらはらに花魁道中の場面は豪華絢爛で華々しいです。
でもかえってそれが物悲しかったりする。。。
花魁道中を演じてきた女優さんたちがそれぞれに言われていたんですが、
かつらと衣装でだいたい25キロになるそうなんですが、あの格好で歩くのは無理に近いと言われていました。
。。。そうですよね、そんな感じですもんねぇ。しかもあの下駄。さらにあの歩き方。
とても一人じゃあるけないみたいですよ。
当時の花魁達もさすがにきっついなぁ。。。と思っていたんじゃないかな。
でも花魁達はやったんですね。あの花魁道中ができるのは、運よくスポンサーがついた場合にできたようですね。
私は、あの花魁道中ってなんなんだろうと思うんですよ。
多くの花魁たちの中でも花形である証でもあるんだろうけど、それだけじゃないような気がするんです。

確か、歴史上で花魁の個人名は残っていなんじゃないかな。
そんなこと花魁たちはわかっていたんですよね。そんなどうしようもない状況から身動きができなかったんです。
でも、このままじゃだめだ。。。そう思っていたに違いないんです。
ただ自分達は、自分達という存在がいたということを忘れさせてはいけない。
そんな気持ちが花魁道中をつくり上げたんじゃないかなと思うんです。
花魁個人の力では後世に遠い昔の悲しい話だけと残るだけで、実際に目に見える形では残らない。
(花魁の日記でもあればなぁと思うんですけど、それもできない状況だったんじゃないかな。。。)
そこで花魁達は、豪華絢爛な衣装や髪飾り達に力を借りたんでしょうね。
必要以上に豪華な物を身につけ、人目をひくような歩き方で訴えていたんです。
「あたしたちがいたことをを忘れないでくださいねぇ」って。
あの花魁道中の花魁は遊女達の思いをもしょっていたんでしょうね。

戦時中のお話で、たまに兵隊さん達が、「後世の為に戦う。きっと後世は平和になっているに違いない」みたいな
台詞を言われているのを聴いたりするが、この花魁たちももしかしたら
そう思っていたかもしれないなと思ったりもするんです。

沢山の遊女の中で、その遊郭を無事に出て行けたのは、ほんの一握りだけだったとか。
亡くなっていかれる方達が多かったとききました。亡くなっても裏門からひっそりと出されたそうです。
そんな悲しい時代が日本にもあったんです。そんな時代の形を残してくれた女性達がいるんです。
だから今の女性達がいる。
情報誌の最後では、「上臈参拝はただ進化をとげたのではなく、女性達の心から心へ
受け継がれてゆくなかで真価を纏ったのだと感じた」とありました。
本当にそうだと思いました。
花魁道中の花魁は、今でも女性達の思いをしょって歩いているのかもしれませんね。
いつかこの幼帝祭の上臈参拝を実際に観たいと思います。
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