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月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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メンケント・5

2015-05-28 06:50:09 | 詩集・瑠璃の籠

わたしの選んだ子宮は
やわらかな丸い木の実のようだった
贅沢はできないが
そう貧しくもない家の
小さな体をした女性の中から
わたしはこの世に生まれてきた

わたしを生んだ母は
いつも悲しそうな顔をしている
自分は何もしないのに
いつもみんなにいじめられるからだ
でも それが
遠い昔 自分がみんなをいじめたからなのだと
そういうことは今 母にはわからない

赤子のわたしを大事に育ててくれるが
あまりにもみんなに意地悪をされるので
時々 部屋の隅で
声もなく 泣いている

おなかがすいた わたしが泣くと
母は涙をふいて
すぐにわたしのところにきて
抱き上げてくれる
ああ やさしい手だ
やわらかな 胸だ
女の人というのは あたたかい

甘い乳を吸いながら
わたしはこの母を心から愛していると思う
大きくなったら あなたを助けてあげよう
あなたに いろいろなことを教えてあげよう
あなたは人生の勉強を一生懸命にやって
いじめられても 憎まないで
みんなのために
清らかな いいことをするんだよ
そうしたら 幸せだからと
教えてあげよう

そうして 勉強が終わって
死んで元の世界に戻ったら
みんなにおわびをするんだよ
いじめられたらどんなにつらいかよくわかったと
もう二度としません ごめんなさいと
素直にみんなに謝るんだよ
そうすると みんなは
もう一度 友だちになってくれる

わたしが大人になったら
きっとあなたに教えてあげよう
耐えていくことが 大切な勉強なのだと

愛しているよ



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