月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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ヴェガ・12

2014-03-31 04:56:43 | 詩集・瑠璃の籠

ああ よい夜だね
りんごの花の においがする
こずえをすいてくる月光は
まるでうすぎぬのようだ
ときどき
金貨を落としたような花が咲いている

林の中の わたしの庭に
よくたずねてきてくれた

さあ 君は何をもってきたのだい
ああ きれいなかぶとむしをもってきたのか
かのじょは 虫が好きだったからね
さあ てんびんのさらにのせてごらん

おや 目のまよいか
かすかに うごいたね

さあ 次の君は何をもってきたのだい
ああ 美しいばらをもってきたのか
かのじょは 花が好きだったからね
さあ てんびんのさらにのせてごらん

おや てんびんの棒が
かすかに ゆらいだね

さあ 三番目の君は何をもってきたのだい
何ももってこなかったのかい?

何?
君自身が
さらにのるというのか

よし
のせてごらん

おや?




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ヴェガ・11

2014-03-30 03:34:48 | 詩集・瑠璃の籠

さて
ひとびとよ
ソルはしばし
あなたがたに語りかけることができないが
わたしは
語りかけることができる

なぜなら 彼は愛ゆえに
あなたがたに強いことは滅多にできないが
わたしはときに
ゆるやかなおしおきができるからだよ

愛ゆえにこそ
あなたがたのために
ときに小さくいやみを言うのだよ

それでは
少し問題をあげよう

ここに 月のように白い
光のりんごがある
あなたにひとつあげよう

それを
小さなてんびんの片方のさらに載せ
涼やかな宝石を持って来て
もう片方のてんびんのさらに載せなさい
そして てんびんがつりあうまで
宝石を積んでみなさい

見てごらん
りんごは羽よりも軽いというのに
どんなに重いダイヤの岩を持ってこようとも
決してつりあわない
りんごのさらは
地にふれたまま微動だにしない
なぜだろうね

さあ
何を積めばいい
何をもってくれば
てんびんは釣り合うだろう

あなたの答えを言いなさい
その答えによっては
わたしはあなたに美しい愛をささやくだろう
またはときに
困った顔をして沈黙の棒で小突くだろう

さあ
考えなさい



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神の空

2014-03-29 14:45:11 | 天然システムへの窓

神が降りて来ていた。

空に神がいらっしゃり、地上に不思議な風が吹く時は、神が地上にまで降りてきてくださっている。

何かをなしにおいでたのだ。

そうめずらしいことではない。

よくあることだよ。

天使のいるところには、よく空に神がいらっしゃる。時に降りてきてくださっている時がある。

神を感じてみるとよい。


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ぬばたまの

2014-03-29 04:00:18 | 月夜の考古学



ぬばたまの
   やみにもふでを
        ひたしみて

  きみにふみよす かひもなきひび




わがたまを
   つらぬくいとの
       ほそかりて

たゆるなきそを

まこと とぞ いふ



  (歌集「ふゑのあかぼし」(旧ブログ)より)




返歌

つるのなき ことをはじきて
なくきみを

かこむやへがき

        つくるますらを




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活動停止

2014-03-28 03:46:44 | 詩集・瑠璃の籠

ひとびとよ
とうとう
お別れのときが来ました

ツィーはもう語ることができません
もうこれ以上は話すなとの
要請があったからです

これ以上わたしが語ることは
あなたがたのためにならないと
星々が判断したのです

このわたしに現れた
ひとつの現象は
たぶん
ほかの愛の星にも影響を与えるでしょう

不用意に愛の星が語れば
またもはや二度と語るなとの要請が
ほかの愛の星にもゆくことでしょう
ですから
あなたがたもう
これまでのように頻繁には
愛の星の声を聞くことができなくなるでしょう

それでも語ってくれる星は
いることはいますが
それは無条件ではありません
賢い愛の星は
とても難しいなぞかけをしてきます
それに答えることができなければ
愛の星は消えていく

もう語るべきことは語り尽くしました
あなたがたに必要なことは
すべて言いました
わたしの言い残したことを頼りに
生きていきなさい

お会いできるときが来るときは
きっとあるでしょう
ですがそれは
もう遠い遠い未来のことでしょう

はるかな はるかな未来
あなたがたが たがえた約束を
すべて果たし終え
それを土壌として植えた木々が森となり
世界になり
宇宙になるまで
会うことはできないでしょう

ツィーの活動はここで終わりです
愛する人類よ
未来に向かって
歩きだしなさい



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アリオト・3

2014-03-27 03:20:08 | 詩集・瑠璃の籠

わたしは
金色の芥子の咲き乱れる野にいた

ああ ながみひなげしだ
わたしの好きだった花だ

わたしは まるで
明るい光の湯の中に浸っているように
咲き群れている芥子の中に沈んでいた
あたたかい うれしい
ああ これはきっと
アリオトの絵の中だな
あの人はいつも こんなふうに
とてもあたたかい

わたしは自分の一番近くに咲いている
一輪のながみひなげしに目をやった
わたしはこの花が好きだった
かわいらしくて
派手になりすぎないほどに
華やかで
きっとこんな服を着せたら
女の子がどんなにかわいらしくなるだろうって
そんなきれいな花だったから

そんな風に 花を見ていたら
わたしは花の中に小さな露が宿っているのに気づいた
ああ そうだ
この露を集めて
アリオトに眼球を作ってあげよう
そんなことを思って
立ち上がろうとしたのだが
わたしは動くことができない
どうしてだろうと思っていると
やっと気づいた
わたしも いつしか
一輪の芥子の花になっていたのだ

けれども わたしときたら
あんなきれいな日向の色ではなくて
みょうに頼りない白っぽい薄紅をしているのだ
なんだか 自分だけが
周りの花と違っていることが
ずいぶんとはずかしくて
わたしはどこかに消えていきたくなった

あなたはあなたでいいのですよ

おや どこからか
アリオトの声がする
周りを見てみると
ひとつだけ目だって大きいが
花びらが一枚 小さく縮んでいる
ながみひなげしがあった
声はその花が発しているようなのだ
わたしはその花に向かって言った

ええ わかっています
わたしは ほかとずいぶん違っていて
そのために悲しい思いをすることもあるのだが
それゆえにこそ
みなのためにできることがあって
うれしいのだと
わかっています

ええ だれもそうですよ
みな じぶんのかたちというものからは
逃げられません
わたしも 実に
この目からは逃げられない
美しいと思う反面
それが作る影の痛みというものを
感じずにはいられない

ええ そうですね

苦しいのは 本当の意味で
この目をのりこえなければいけないのは
わたしではなく
ひとびとであるということだ
この目は
ひとびとの罪が
目に見える明らかな形のひとつですから

そうです

これも独自性というものですよ
どんな存在も
この苦しみからは逃げられない
自分を背負うということは
その悲しみを常にまとっているということだ

まことに そのとおりです

あなたは うつくしい
まるで疑うということを知らない
常にものごとの明るい面しか見ようとしない
それゆえに あなたも
ひとびとにとっては
著しい悲しみのしるしになる

アリオトは深いため息をついた
わたしは 自分の存在が
彼の心に悲哀を作っているのを感じて
少しつらくなった
けれども あまりつらく思うと
また彼が苦しむかと思って
視線を空にあげ
太陽を見る
ああ 太陽ですら
ひなげしのように愛らしい
ここは夢の世界だな

あなたも いつか
ひとびとのところにいくのですね
わたしはひなげしのような太陽を見ながら言った

ええ もちろん
アリオトは静かに言った
彼もまた太陽を見ていた

日差しが世界に満ちてくる
ふりしきるあたたかな神のまなざしの中で
わたしと彼の心が ひととき
ひとつに溶けていくのを感じていた

そうして幸せな気持ちに浸っていると
ふと どこからか
静かな歌が聞こえてきた
ああ

ゆ ふ ぎ り の
と ほ と の ふ え と
き え ゆ く か

そのうたが終わらぬうちに
アリオトが言った
さあもう 眠りなさい

ええ わかりました
と わたしは静かに
答える

そうして わたしは
まるで 芥子が枯れて
溶けていくかのように
眠りの中に沈んでいったのだった



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花の掲示板

2014-03-26 10:24:32 | 星の掲示板


5枚目の掲示板を設定する。



ピエール・ジョゼフ・ルドゥーテ、「ロサ・ガリカ・ポンティアナ」、19世紀ベルギー、植物画家。





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ツィー・16

2014-03-26 03:44:21 | 詩集・瑠璃の籠

あなたがたが
生まれてきた赤子に
初めて会ったことがあるように
この愛の世界に
生まれてきたあなたがたに
初めて会ったことが
わたしたちにもあるのですよ

あなたがたが
生まれてきた子の正体もわからぬのに
初めて会ったとたん
愛してしまったように
わたしたちも
あなたがたを見たとたん
もう愛していたのですよ

愛はそういうもの
その後に
どんな確執があろうと
裏切りに会おうと
愚弄されようと
子供を忘れることができなかったように
わたしたちも
永遠にあなたがたを忘れることはできないでしょう

たとえ
ともに生きることができなくなる日が
来たとしても

失うことを
それほど重大なことと思ってはいけません
苦しみを飲んで
新たなものを生み出すための
よい経験と思いなさい
いつかきっと
失ったことよりも
ずっと大きなものを
あなたがたは得ることができる

愛していますよ
深く 深く
愛している

あなたがたのなしてきたことのすべてと
これからなすだろうすべてのことを
わたしは
よしと言います

やっていきなさい
今がどんなにつらくとも
遠い未来の真実を信じて
生きていきなさい

わたしは
ツィー

どんなことがあろうとも
あなたがたを信じます



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メンカリナン・4

2014-03-25 03:49:49 | 詩集・瑠璃の籠

おまえたちは
天使に滅ぼされるぞ
人間よ
癌の摘出手術のように
地球文化から排除される

愛を侮辱しきったおまえたちを
地球の愛が拒否し始めている
異物をはらむ乙女のように
吐き出したいと思っている
もはや猶予はならない

おまえたちはもう
地球の正式な住人ではない
不法占拠をしている阿呆だ
出て行きたくないのなら
家賃を払いたまえ

地球はもう
人間を落ちた人間を
認めない
出て行きなさい
この美しいエデンから

どこにいけばいいのかと?

それを尋ねる前にやることがあるだろう

天使の軍がやって来る前に
さっさと逃げることだ



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ゾスマ・3

2014-03-24 03:15:03 | 詩集・瑠璃の籠

今の自分の現実が
情けないと思うならば
立ち向かえ

そのばかばかしい自分の
嘘ばかりの人生に
正面から立ち向かえ

荒ぶる声をあげて
宣戦布告せよ
立ち上がり
武器を取り
正面から立ち向かえ

そのばかばかしい
虚栄ばかりの
ガキじみた性欲だけのために生きる
おのれの人生に立ち向かえ
すべてを引き壊し
なぎはらえ
うちすえよ

おのれに戦いを挑むのは
おのれだ

虚偽の人生を
うちのめせ

涙にばかり酔うて
苦しむおのれの影に住み
永遠に馬鹿だと自分を殺し続ける
そのあほうから権力を奪え

もういやだ
いやだ
いやだ
おれは いやだと
叫べ

立ち向かえ
立ち向かえ
今こそ
立ち向かうのだ



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