平穏な生活だけを望んで
魂の成長を志さないものは
人生のぬすとである
ただしい人は 生命の続く限り
感性の触角を伸ばし
金の代わりに
美しい教養をため込んで
自分を常に新しく塗り変えてゆく
あほうは
成長しない
今の自分で安定していれば
それだけでよいと考え
人から盗んだ人生の上にあぐらをかき
いつも自分の幸福のことだけ考えている
だれも相手にしてくれなくなるまで
自分が恐ろしく愚かなことをしていることに
まるで気づかない
人まねばかりして
よい人間のふりをしていれば
大過なく人生を切り抜けられると
ほざくな うつけ者よ
おまえがかつて影を捨てて来た
遠い砂漠の方から
かすかな風が 骨の音を運んでくる
暗闇に沈んだ記憶の中に埋めた芋が
忍び声で歌いながら 小さな芽を伸ばし始める
悪いことをしたんじゃない
人間なんてみな馬鹿だから
こんなことくらいしたって
何でもないのだ と
誰に教えてもらったのだね
人類よ
あなたがたを常に見ていた
美しい神の目に
悲哀の代わりに憎悪が燃え始める
もう遅い
青い絹を重ねて作った
美しい成層火山が
ため息のような虹を吐き
まるで花々の演奏会を開くように
透明な噴火活動を始める
おのれの真実を知ろうとする者は
全身を包む虚偽をアルコールで洗い流し
一枚の麻の衣と 一足のサンダルを履いて
神の庭に向かいなさい
今までに見たこともないような死が
歯根の腐った歯のように
自らの心臓の奥でうずくだろう
あきれるほどの馬鹿をやった人間の屑よ
おまえには 決して帰ってはならない故郷がある
二度とは会うことのできない
愛がある
渾身の力でこじ開けようとしても
決して開かない扉がある
法則を甘く見るな
真実はおまえの背骨を貫き
虚無の風の吹く岸辺へとおまえを導くだろう
二度と帰って来てはならぬ
二度と帰って来てはならぬ