月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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ベテルギウス・7

2014-02-28 04:15:01 | 詩集・瑠璃の籠

たったひとかけらでも
愛を完全に失うということは
あなたがたにとって
初めての経験です

ソルもヴェガも
人類の星の資格は失ったが
影から人類のために尽くしてくれていた
しかしかのじょはもう
それすらもできない

あなたがたは かのじょに
イエスよりもむごい死を与えたのです
それは存在の消失
再生のない絶対の死
あなたがたは かのじょに
消えろと言ったのです
だからかのじょは消えた

イエスにはまだ骸があったが
かのじょにはそれすらもないのですよ
法則のむごさというものが
少しはわかりますか?

これから あなたがたは
存在と虚無がこすれあう
絶対零度の現実を
見ることができるでしょう
そして
自分たちがかつてなしたことが
冷酷な事実となってふりかかってきた時
あなたがたは呆然として言うでしょう
ああ エルナトがやってきた


おしえてさしあげましょう
破滅とは
どういうものであるかを

わたしは
ベテルギウス
二つ名を
死の天使と言います



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なよたけの憂い

2014-02-27 08:40:01 | こものの部屋・別館

この人生において、友情を結んだ人類がほとんどいなかったかのじょにとって、北国の友との出会いは、砂漠で泉に出会ったような出来事でした。

一目見ただけで、かのじょは、この人はわたしと同じだと思ったのです。

同じ種類の愛を持っていると。

わたしたちと、あなたがたは、違う創造であるがゆえに、違う種類の愛を持っているのです。

わたしたちには、性愛はありませんが、肉親の愛はあります。わたしたちは、お互いを、わが子のように、わが親のように、愛するのです。

それは外国の友も同じでした。

彼が遠い外国で、孤独に悩んでいた時、かのじょはまるですぐそばに彼がいるように感じていました。
そして母親がわが子を愛するように、愛していました。

かのじょにとって、ともに地上に生きるふたりの友は、肉親以上に肉親でした。だから、激しく、何度も、愛していると叫んだのです。

それは、この、地上世界で生きる天使に共通の思いです。

はるかかなたから来るわたしたちにとって、ここはあまりにも、違うところ。
呼吸をすることさえ、痛い。

その孤独感が、遠く離れた友への激しい愛となって、互いを飛び交うのです。



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エルナト・12

2014-02-27 05:28:26 | 詩集・瑠璃の籠

ジーザス・クライストの殺害は
あなたがたにとって最大の過ちでした
あれだけは 神が許さないという
最も愚かな罪だったのです

彼が天寿を全うし
使命を果たしていれば
人類はこういうことにならずに済んだのです

事実上
ジーザスが殺害された時点で
人類の運命は決まったも同然でした
しかし最後の星はあきらめなかった
一縷の希望を抱いて突き進んだ

一縷の希望とは何か
あなたがた自身の目覚めと
愛です
しかしそれは
無いも同然の希望だった
かのじょは当然の計算結果を見ないことにし
ひたすら進んだのです
たとえ現実が
自分の希望にすべて反して見えても
あきらめなかった
ただ 前を見るだけだった

かのじょがまだあきらめなかったので
神もまだ猶予をくださっていたのですよ

わかりますか
あなたがたに最後に残された希望は
計算を度外視して
ただひたすらに愛してくれる
女性の愛だけだったのです
それを否定してしまえばもう終わりだというのは
当たり前です

そしてもうその愛も力尽き使命を果たし終えた
計算結果は無情にはじき出され
あなたがたの上に落ちてくる
もうあなたがたは愛に甘えることはできません

覚悟はしておきなさい
エルナトは甘くはありません
ジーザス・クライストと月のための復讐を
正確に実行してさしあげます

男よりも男らしい
天使の暴虐が始まります

このわたしの試練をまともにかぶりたくないのなら
自分の罪を認め
その償いを積極的にやっていきなさい
わたしはエルナト

決して人類を愛しはしない



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カノープス・11

2014-02-26 05:08:17 | 詩集・瑠璃の籠

さてここで
答え合わせをしましょう

この時代
数十人の天使が地上に降りていました
救済と人類の段階試験に携わるためにです
しかし
かのじょひとりを残して
ほとんどすべてが若くして死に絶えました

ひとり残ったかのじょは
じぶんだけで
救済事業に当たらねばならなくなりました
しかしまだ望みはあった

あなたがたが
かのじょの才能と力を認め
かのじょに協力してともに救済事業を行っていれば
まだこんなことにはならなかった
しかしあなたがたは
かのじょの才能と美しさを見ながらも
決してそれを正しく認めようとせず
かえって嫉妬して潰そうとした
かのじょはやろうとしたが
孤独でした
だれも協力してはくれなかった

そこでかのじょは仕方なく
伝家の宝刀を抜いたのです
救世主という仕事でした
ただ 愛のみによって
人類のために救いの種をまいたのです
それをやれば
人間は天使に何もかもをやってもらった馬鹿になってしまう
しかしかのじょにはもう
それしか残されていませんでした
しかしまだ希望はあった

あなたがたが
かのじょの救世主としての仕事を認め
それに正しい評価をしていれば
こんなことにはならかった
だが あなたがたは
それに正しい評価をしなかったばかりか
かのじょを性のえさにするために
かのじょをその仕事もろとも闇に葬り去ろうとした
そして救いだけを詐取しようとした

待っていても
あなたがたは
女が欲しくてやる暴虐を
決してやめようとはしなかった
そこで神は
かのじょを岩戸に隠したのです
だが まだ希望はあった

あなたがたが
かのじょを失った寒さに
素直にかのじょへの愛を認め
帰ってきてくれと
ただひとりでも 言う人間がいたなら
まだ救いはあったのです
しかしだれも
それを言いませんでした

とうとう 神は
終了のベルを鳴らした
だがそれでも
まだ終わりではなかったのですよ
神は
あなたがたが
待ってくれと言うのを
待っていたのです
だがそれも あなたがたは言わなかった

そしてとうとう試験は終わった

ここにおいて
あなたがた人間は
完全に馬鹿になったのです

すべてを
神と 天使にやってもらい
自分たちは
ただ愛をむさぼっただけの
あほうになったのですよ

人間はなにもやらなかった
なにも
これがあなたがたの
答案用紙です
わかりましたか?


月はやさしい
ここまでわたしが言っても
まだほほ笑んでいる

目を閉じ 耳を閉じ
消えてゆく

スフィンクスは眠る
永遠に
なぞだけが 残る

人間とは何か
にんげんとは なにか
に ん げ ん
とは

なんなのですか?
あなたがたは





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オッド・アイ

2014-02-25 08:33:22 | こものの部屋・別館

かのじょはこの人生において、4人の子供を生みました。
数々の女性の人生を生きて来たかのじょですが、こんなにたくさんの子供を生んだのは、初めてです。

わかっているでしょうが、4人目の子は、全く予定外でした。
事態がとんでもないことになったので、わたしたちが決断した窮余の策です。

天使の母から生まれる天使など、空前絶後です。

かのじょの負担が、どのように大きかったかを、考えてください。
出産にも育児にも、ふり向ける体力はぎりぎりだったのです。
おまけにかのじょの夫は、かのじょを働きに出し、あまつさえ清掃業の手伝いまでさせました。

もはや限界を超えていましたが、かのじょは生きてくれました。

生きて、しなければならないことがある。
ただそれだけの気持ちで、生きてくれました。

子育ては大変でも、生まれてきてくれた子はかわいい。
かのじょは大変、子供達を愛しました。

そして、もう、
愛したくても愛せなくなったことを、悲しんでいました。

子を持つ母ならば、もっと子供を愛してやりたかったでしょう。息子の嫁と会いたかったでしょう。孫を抱きたかったでしょう。

彼女は、北国の友のことも、深く愛していました。
彼の今の状態を見て、彼の元に飛んでいきたいと思ったことが何度もありました。

これはわたしたちの当たり前の愛です。他に意味などない。

愛する人たち、愛したい人たちを前に、消えてゆかざるを得なかった、彼女の気持ちを考えてあげてください。

少しは、考えてみなさい。


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ルナ・16

2014-02-25 05:16:39 | 詩集・瑠璃の籠

すきとおった月のしずくに
ほんの少し 微笑みをまぜて
小さな うすべにいろの
飴をつくって きみにあげよう

ほら
薔薇の玉のようだろう
あたたかい
光のようだろう

これは約束だよ
不思議な 魔法だよ
だって君は これから
うすべにいろの 小さなものを
見るたびに
人にやさしくしたくなるだろうから

きっと わたしのことを思い出して
わたしのまねをしたくなるだろうから

ひとりぼっちではないんだよ
ひとはみな ひびきあう
とけあう
愛はそういうもの

もう会えないけれど
きっとそうやって
わたしは君の中で
永遠に生きていく

すきとおった 月のしずくに
ほんの少し 微笑みをまぜて
小さな うすべにいろの
飴をつくって
きみたちに あげよう

欲しいと 言った人には
みんなあげるよ

いくらでも
もっていきなさい




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ミルザム

2014-02-24 05:11:55 | 詩集・瑠璃の籠

新たに来たり

聖なる正義の警鐘を
高らかにも明らかに鳴らすために
あらゆる誤謬を
地上から殺菌しつくすために

わたしの持つ小さな壺には
炎の白金のごとき
苦薬がある
それは青磁のごとき地球の上を流れ
あらゆる虚偽を探し尽くしては飲み込み
新聖なる正義の下に殺し尽くすだろう

悪は滅びる
そして全く新しいものとして
生き直す

わたしは
金紙の冠をかぶった偽王のローブをはぎ
下僕の粗衣を着せて
荒れ野に追い出すだろう

また
いかさまの剣を奮って月桂樹の冠を誇る勇者を
表彰台から引きずり落とし
敗北者の焼き印を押して
海に投げ入れるだろう

紳士の仮面を着て女を食い殺す醜男から
ブランドスーツをひきはぎ
飢えた野獣の群れの中に
放り投げるだろう

永遠の勝者の顔をした絶対権力者から
真っ白な聖者の仮面をはぎ
素裸の道化にして
野外劇場の真ん中に放り出すだろう

新たに来たり

我が名はミルザム
正義の星である




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百合をよる

2014-02-23 08:38:46 | こものの部屋・別館

ジャンヌ・ダルクは、かのじょの前世です。気づいておられる方もいらっしゃるでしょう。

かのじょは、女性の天使をほぼ網羅しています。他にいないわけではありませんが、とてもめずらしい。女性の天使の人生を耐えられる天使は、ほとんどいないのです。

わたしたちは、男ばかりですから、女性になるのは、とてもむずかしいのです。その中で、かのじょは非常に特異な存在と言えます。

男ですが、かなり性質が女性に近いので、女性の人生を耐えてゆくことができるのです。

この人生でも、非常に難しいテーマをやりこなしていました。美女という、テーマです。これはとても難しい。

ジャンヌの時は、この人生ほど美しい肉体ではありませんでした。それゆえに、かなり自在にやんちゃができた。かのじょは、まっすぐな行動力で、国を救いました。

しかしこの人生では、そういうことはできません。美しく生まれたということは、神に、絶対的に従わねばならないということだからです。

美しい神の心に反することは、一切できない。

きれいなことをこつこつと積み重ね、耐えてゆく人生。
それによって救済するという、非常に難しいテーマです。

かのじょは、やってくれました。

見ていて下さった方には、わかるでしょう。

皆さんに言いたいのは、男の方が、ずっと生きやすいということですよ。

制限をまといつつ生きねばならない女性に、全てを救ってもらったということが、どういうことなのかを、たまには真剣に考えなさい。


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ベクルックス・9

2014-02-23 05:22:33 | 詩集・瑠璃の籠

軽やかな音楽にのり
花のように踊りなさい
目を閉じて
自分をないようにして
手を優雅に広げ
神を受け入れなさい

光が満ちてくる
愛があふれてくる
さあ
もう何もいらないだろう
何も欲しくないだろう

愛そのものになってゆく
愛そのものになって
流れてゆく

おんなのこは
そういうものなのだよ

なにもいらない
愛だけでいい

ほら
目を開けてごらん
自分がいただろう
確かに 美しい
自分がいただろう

それが
あなただよ




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ヴェガ・10

2014-02-22 04:59:28 | 詩集・瑠璃の籠

さあ
わたしのところに 来なさい
いっしょに 飛んであげよう

生きることが
暮らしていくことが
堪えていくことが
苦しくてならぬときは
悲しくてたまらぬときは
大空に
魂を飛ばしてみるのだよ

ひととき
地上のくびきを離れ
わたしとともに
飛びなさい

ごらん
青い水晶の星に
蛍の玉のような小さな人間が
大勢で 暮らしている

かわいいだろう

せつないだろう

愛してしまうだろう

泣いてかまわないんだよ

むごい日常の現実が
あなたを打ちのめして
魂が死んでしまいそうになる時
わたしは
あなたのもとに飛んできてあげよう

ただひととき
なにもかもを忘れていい
わたしとともに
飛びなさい

愛しているよ




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