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月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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アケルナル・4

2015-05-19 07:21:28 | 詩集・瑠璃の籠

白い月の子を抱き
小さなハマナスの実をあげよう
でもおまえはあんまりにやさしいので
もらったものはすぐ食べずに
だれかにあげられないかと
先にそれを考えるものだから
なかなか食べてくれないのだ

白い月の子を抱き
小さな水仙の鈴をあげよう
するとおまえはあんまりに喜んで
きれいな鈴の音を鳴らして
それをどの子にやろうかと考えて
それだけでうれしそうにするのだ

かわいいおまえに
なにをやっても
すぐにだれかにあげようとするから
なかなかおまえは
わたしの愛を食べてくれない
だれかになにかをもらったら
おまえはいつも うれしそうに言うのだ
こんなきれいな愛を
だれにあげたらいちばんよろこぶだろう

かわいい子よ かわいい子よ
おまえが眠っている間に
赤いハマナスの実を
小さな光にして
おまえのかわいいくちびるに塗ろう
愛している たまらず愛している
おまえが眠っている間に
水仙の鈴の音を 水晶の粒にして
そっと夢の中に放り込もう

おまえはいつも
だれかに愛をあげることばかり
考えているから
自分の服はいつも粗末なのだ
何もいらないから幸せなのだと
おまえは言って
かざりのないしろい服ばかり着ている
それなのに 宝石で飾ったどんな女より
美しい

白い月の子を抱き
寝息に耳を澄まし
起こさないように気を付けながら
おまえのしろい服に そっと透明な真珠をつける
真珠はすぐに溶けて
おまえの白い服を光で染めてゆく

愛している たまらず愛している



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