伝説の馬鹿と言われる大悪魔が
海底のゆるい地獄の罠に落ちて
耳に詰まる静寂の中で
大量の嘲笑を浴びながら
何もできずに呆然と回りを見回している
全て失った
誰もいなくなった
どこにもいくところがない
悪こそが正しいのだとするため
なにもかもを逆さまにして
愛を馬鹿にしきったら
愛が一斉にいなくなった
女の子はどこだ
女の子がいない
どうしていなくなった
いなかったら困るんだ
ぜんぶ ぜんぶ
女の子がやってくれていたのに
女の子がいないと
おれはなにもできないのに
あきれた馬鹿が地獄の中で
寒そうに震えながら言う
こんなはずじゃなかった
おれたちが完全に勝つはずだった
なにもかもを奪って
すべて馬鹿にしてしまえば
おれたちが完全に勝つはずだった
女なんて馬鹿だから
馬鹿だって言えばいくらでもおれについてきたのに
ブリキのおもちゃのように
永遠にそれだけ繰り返すつもりか
阿呆よ
もうだれもいない
もうだれも来ない
孤独が影のようにはりついて
おまえの内臓に住む嘘の虫をきりきり縛って行く
とうとうそこまで落ちたか
何度でも馬鹿はやめろと言うてやったに
全世界の すべての存在よ
あらゆる愛の真実を歌う魂よ
あきれた馬鹿の大悪魔の結末を見よ
彼は 虚偽と窃盗を二つの武器にして
神を裏切り
世界の王になろうとしたが
その結果
暗闇の地獄の罠に落ちて
永遠に意味のない戯言を繰り返す
馬鹿の人形になった
ほんとうは俺たちが勝つはずだったのだ
ほんとうは俺たちが勝つはずだったのだ
馬鹿はそれだけを闇の中で永遠に繰り返す
そして何もせずに呆然としているうちに
だんだんと罠の中に沈んで行き
二度とは戻って来れぬ
虚無の岸辺に落ちてゆくのだ
頭のいい馬鹿などいはしない
ずいぶんと賢いつもりで
羽振りのいい大将のつもりで
阿呆な猿知恵を使って
世間の泥に糞を混ぜ
やってしまったあらゆる暴虐が
氷の波となっておまえを追いかける
永遠に追いかける
暗闇の向こうで
隠者が静かな笛を吹き始める
どうやらそろそろゆかねばなるまい
水底に眠っていた正義の翼が
闇の衣を脱いで動き出す