本当の自分を捨て
大仰なものになりたいなどという
心は捨てなさい
心の明るい女の真似を
しつこいほどやっても
おまえは明るい心になれはしない
馬鹿なことをしている自分が
自分に落とす影が
いつもおまえの痛いところを
刺激し続ける
しびれる心で
明るい笑いを真似しても
悲しみが広がるだけだ
おまえの中にある
苦しい矛盾の痛みが
波紋のように世界に広がり
おまえはそこにいるだけで
世間に苦悩を投げていることになる
（ああまだやっている
もうだれにでもわかることなのに
まだやっている）
もうやめなさい
嘘をつくのは
自分にも世間にも嘘をついて
本当の自分にしたい自分を
演じるのは
長いことやっていれば
おまえはついに
本当の自分を投げて
たとえようもないおかしなものになってしまう
苦い馬鹿になる前に
もう帰ってきなさい
なりたい自分などという
愚かなかぶりものを捨てて
真裸の自分に戻りなさい
そのほうが
ずっとお前は美しいのだ
