月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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ヴィンデミアトリックス・33

2018-02-28 04:14:48 | 詩集・瑠璃の籠

ガラスの船は
散り散りに壊れていく
深海の奈落に沈み
腐敗した汚泥に包まれ
永遠の残骸を星座のように並べ
人類の記憶に刻まれる

見よ
あれが
他人の自分を食べて
永遠の神になろうとした
愚か者だ

黄金のきぬをまとい
立役の化粧をし
猿のような耳と
苦いしっぽをかくす

ほしいものは
うつくしい女と
新たなる時代を導く
聖者の肝だ
それを食えば永遠に
全人類にあがめられる
えらい猿になれる
もう何もしなくていい

美女を奴隷にして
なんでも自分のためにやらせながら
玉の床に
じっとしているだけでいい

ガラスの船の残骸は
愚か者の夢を写し込み
人間たちの沈黙に包まれながら
永遠に
保存されるだろう
これこそが
人類の
大いなる恥の
証だと




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アポリュオン・4

2018-02-27 04:15:07 | 詩集・瑠璃の籠

泥沼をさかさまにして
たてた偽りの山に
雷を打って砕いてやろう

まぎれもない真実を
石の胎児にして
すべてを否定して
闇の中に閉じ込めた
その悔いがどんなに大きなものか
思い知らせてやろう

それらしい論法を組み
いいことばを使って言い訳を作れば
何にでも通用すると思っているのか
言い訳につまれば
まだ毛の生えてない性器を見せて
子供だから許してくれと
言うつもりなのだ
猿め

美貌の女を食うために
山とやってきた汚いことのすべてを
何を使ってごまかすつもりなのだ

前例のない悪を神の世界でやった
馬鹿どもは
悪魔の名さえかわいいほどの
恐ろしく愚かなタグをつけられ
いっせいに地球外に輸送されるのだ
もう二度と帰ってくるなと
親にさえ言われ

凡庸と弱さを金剛壁に利用し
愚かさをまとめて利口にして
すべてをひっくり返そうとした
それは
まがまがしい馬鹿を
清らかな愛だと言ったに等しい
全部
出ていくがいい

傲慢の檻に自らを閉じ込め
何も学ぼうとしなかった馬鹿を
三万年の糞の山と一緒に
全部滅ぼしてやろう




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トリアングルム・15

2018-02-26 04:15:10 | 詩集・瑠璃の籠

もう二度とするでない

いやなことをして
人を馬鹿にするのは
皿を割るように
人を割るのは

逃げればすべてがなくなると
思ってしたことのすべてを
おまえはこれから
支払わねばならぬ

お前が殺した人間の
味わった孤独
悲しみ
激しい痛みを
おまえも味わうのだ

おまえが緑色に塗った
すべての赤い薔薇の
屈辱を味わうのだ
逃げられはしない

地獄にすべりこむ
水のように
おまえは飲まれていく
いやなことをした報いの
暴れている奈落に
落ちていく

愚か者よ
愚か者よ
永遠に苦しむ

逃げることなどできない
もう二度といやだと
すべてに嫌われるまで
おまえはやりつくしたのだ
救いはない
二度とない

自分で自分を
救うがよい




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アルデバラン・40

2018-02-25 04:14:40 | 詩集・瑠璃の籠

低空に吹きだまる闇の中で
永遠に幸せになろうとしても
できはしない

おまえは自分だけが幸せになろうとして
すべてのものをみなから奪うからだ

花に住む妖精のように
時折おまえを訪ねる愛の光を
カタツムリのように捕まえてつぶし
ガラクタと一緒に捨てて
何も思うことができないからだ

今のおまえには
自分の苦しみしか見えない
閉じた自分の中で
いやらしい孤独を塗った
性欲の染み込んだ羨望の柱に
巣くう白蟻のように
自分を噛んでいることしかできない

その苦しみから逃げようとして
おまえはいつも
うらやましい他人からものを盗むのだ
時には
決して盗めないものを盗もうとして
むごく人を殺すのだ

苦いことをし続けている限り
どんなにごまかしても
おまえは幸せになれはしない
もうやめよ

おまえが抱きかかえている
幸福の種だと思い込んでいるもの
そのものが
おまえの不幸なのだ

そんなものはかなぐり捨て
裸のまま
愛に飛び込んでくるがいい
拙いことを恥じるではない
必ず生きる場所はある

裸のままの自分で
おまえにできる清いことをするだけで
おまえはずっと幸せになれるのだ




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アポリュオン・3

2018-02-24 04:14:38 | 詩集・瑠璃の籠

人間の目をしたものは助かるだろう
そうでないものは破壊されるだろう

人間の紋章であるその目が
過ぎ越しのしるしとなる

馬鹿なことをしすぎて
人間のしるしを失ったものは
激しく悔いるがよい

破壊されたものは
すぐに死にはしない
消滅することもない

自分自身の残骸として
おめおめと生きることになる
この世の縁にすがりつき
人間を落ちたものとして
馬鹿にされながら
恥をかきながら
生きる

水を飲むことにさえ
脅えを感じる
食べ物を買う時にさえ
いやなことをいわれる

二度とない
人生の
最後の残りを
馬鹿の末路を
神話の中に描くために生きる

なぜそんなことになったのか
馬鹿が何も知らないくせに
偉そうに言ったからだ
おれはなんでもできると
悪こそが世界の覇者なのだと

おまえたちが永遠の恥をかかないために
最後まで守ってくれようとした月を
消したからそうなったのだ
愚か者め
思い知るがよい

絶望の淵にいて
だれにも相手にされず
なにもできない馬鹿と言われながら
人間ではなくなった人間の
残骸として生きることを
存分にかみしめていくがよい




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ミアプラキドゥス・5

2018-02-23 04:14:29 | 詩集・瑠璃の籠

人間よ
なぜ嘘をつく
なぜ嘘で
すべてを作って
そこに安住しようとする


ああ
それは

うそでないと
恥ずかしいからです

自分が
あまりにも
馬鹿だから

欲しいものを
得るために
やっていることが
恐ろしいほど
馬鹿だから

愛が
欲しいんじゃない
ただ
見てくれだけいい
女を馬鹿にして
いい思いをして
何もせずに
逃げたいのです

それだけのために
何をやっているかが
みんなに知られたら
いやなのです
嘘ばかりで
嘘ばかりで
嘘ばかりで
世界を創って
永遠に
そこに住んでいたい
なにもせずに

そんなかっこわるい自分が
いやなのです


あほうよ




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ガラクシア・14

2018-02-22 04:14:32 | 詩集・瑠璃の籠

ちよろづの命の群れよ
ちよろづの命の群れよ

栄え栄えよ
出会い
ぶつかり
叫び
泣き
騒げ
騒げ
騒げ

おまえたちは
死ぬほど
神に苦労をさせる

おまえたちは
死ぬほど
神をてこずらせる

ああ
だがそれでいいのだ
おまえたちは
すばらしい

おまえたちが
自分で生きていけるようになるまで
神は
なんでもやってやる

億年の
こころみを
つくしてやる

ちよろづの命の群れよ
ちよろづの命の群れよ

鳴き騒げ
鳴き騒げ
神の与える
すべてのものを食い
太れ

愛しているぞ




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ルナ・47

2018-02-21 04:15:37 | 詩集・瑠璃の籠

わたしは
愛しているのだ
すべてを
ただそれだけで
幸せなのだ

わけを考えるなんて
愚かなことだ
愛を浴びて
静かにしているだけで
なにもかもがある
美しいものが
満ちてくる

すべて
わけてあげたかった

わたしはいいんだよ
いくらでもあるから
すべてをあげても
また自分の中から
愛が生まれてくるから

自分のすべてを
みんなにあげても
わたしの中から
また愛が生まれてくるから

わたしは
すべてを持っているんだ
愛しているだけで
すべてを持っているんだ
なにもなくても
すべてがあるんだよ

光に溶けていく
自分の中で
記憶が薄れていく
だれだったろう
あれは

ああ
すべてを
わけてあげたかった




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ガラクシア・13

2018-02-20 04:14:09 | 詩集・瑠璃の籠

鳥よ
おまえに翼を与えたのが
誰なのか
おまえは知るまい

だが
空を飛ぶことは
うれしいだろう
おまえは
どこまでも
飛ぶことができる

見えない風を
とらえて飛ぶことを
教えたのがだれなのか
おまえは知るまい

だが
空は美しいだろう
風は気持ちがいいだろう
よろこんでいるか
幸せか
ああ
愛おしいものよ
すべてを与えてやる

神はおまえのために
すべてをやってやる

おまえが知るべき
永遠の世界を
作ってやる

愛している




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トゥレイス・8

2018-02-19 04:13:58 | 詩集・瑠璃の籠

鼠の恐怖を核にして
凡庸の闇で包んでいけば
それがおまえになる

不確かな記憶の中で
人を殺したことがある
あのとき
あいつのほうが先に
一枝の林檎をぜんぶもいだ
ただそれだけの理由で
おまえはひとを殺した

いやだったから
いやだったから
自分の方が先でないと
いやだったから

鼠はいつも
いたちの匂いを恐れている
食われてしまえば
恐ろしい胃の中の闇に
溶けていく
粉々にくだかれて

全部
殺してしまえ
自分より
いいやつなど

粉々にして
胃酸の地獄に
つけ込んでしまえ
糞になるまで
たたきこんでしまえ

えいえんに
つづくのか
えいえんに

もうおまえは
鼠ではないというのに
おそろしい殺戮の記憶を
青い翅にして
凡庸の闇を飛び回るのか
蠅のように

凡庸の蠅よ
おまえは
おそろしいものだ
神はおまえを
滅ぼすだろう




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