・ 妊娠に子宮筋腫が合併する頻度: 0.5~2%程度。妊婦の高齢化に伴いその合併率は上昇している。
・ 妊娠経過に伴って増大傾向を示す筋腫は約半数、20~40%が不変、一部は縮小する。
・ 筋腫核が硝子様変性を起こし、壊死に陥り、筋腫部位に一致した自発痛や圧痛、発熱を伴うことが12~28%にある。
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子宮筋腫合併妊娠の管理
1.保存的に治療する。 妊娠中は原則的に筋腫核出術は行わない。
※妊娠中の手術適応:
①筋腫が変性し、疼痛著明な場合
②有茎筋腫の茎捻転
2.産道通過障害となる場合は帝王切開分娩。
3.筋腫核出術既往のあるものは、(子宮破裂の危険があるため)選択的帝王切開。
4.原則として帝王切開時も筋腫核出術は行わない。
(妊娠中および帝王切開時の筋腫核出術の利益・不利益についてはまだ十分検討されていない。 )
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産婦人科診療ガイドライン産科編2008、p133-134
妊婦から子宮筋腫合併妊娠の予後等について問われた時の説明は?
以下の事項を話す
1.妊娠予後は比較的良好であるが、妊娠中は切迫流産、妊娠末期の胎位異常、前置胎盤、常位胎盤早期剥離、羊水量の異常、妊娠高血圧症候群、前期破水の頻度が増加する。(B)
2.約20%の妊婦が筋腫部位に一致した疼痛を一過性(1~2週間)に経験する。(B)
3.分娩時には陣痛異常、異常出血、帝王切開の頻度が増加する。(B)
4.妊娠中および帝王切開時の筋腫核出術の利益・不利益についてはまだ十分検討されていない。(C)
5.産褥に、筋腫変性、高度感染により子宮全摘術を行う可能性がある。(C)