ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

産科勤務医の減少

2007年12月29日 | 地域周産期医療

コメント(私見):

地域の病院の産科勤務医数は予想をはるかに超えるスピードで減少しています。多くの地域基幹病院が相次いで産科部門の閉鎖を余儀なくされています。

各医療圏では、何とかしてこの危機的状況を打開しようと、それぞれ、地域としての対応策を必死になって協議しています。しかし、協議をするたびに次から次へと新たな難問に直面し、頻繁に対応策の全面的練り直しを迫られているような状況です。

個々の医療圏や県レベルの自助努力には限界があり、このままではこの先、各医療圏の産科医療体制がどこまで持ちこたえられるか全くわかりません。

現在の産科医療の危機的状況を打開してゆくためには、根本的には、国レベルの有効な施策による後押しが絶対に必要だと思われます。

****** 信濃毎日新聞、2007年12月28日

産科医、麻酔医の派遣、信大に要請 上田地域広域連合

 国立病院機構長野病院(上田市)の産科医引き揚げ問題で、上田地域広域連合の母袋創一連合長(上田市長)は27日、信大病院(松本市)に産科医、麻酔科医の派遣を要望した。母袋連合長によると、信大病院の勝山努院長は「すぐに派遣するのは困難」と回答した。

 要望に対し勝山院長は、上田小県地域にとって長野病院の産科医、常勤麻酔科医の確保が重要な課題になっているとの認識を示した。その上で、産科医について、全国的に不足している現状では、上田市内の市産院や民間病院の医師が出産の取り扱いを続けやすい状況をつくることがまず重要とした。医師確保のため、開業医に比べ給与水準が低い国立病院系の医師に対し、地元自治体が財政的支援を検討することも必要との提案もあったという。

 長野病院は、産科医の4人全員を派遣している昭和大(東京)が引き揚げ方針を示し、今月3日から新たな出産の受け付けを休止。麻酔科医は、全国的な医師不足を背景に信大が引き揚げ、昨年4月から常勤医がいない状態が続いている。

(信濃毎日新聞、2007年12月28日)

****** 毎日新聞、長野、2007年12月27日

国立長野病院:産科医引き揚げ問題 市長ら知事に協力要請 産科医療崩壊指摘

 ◇地域の産科医療崩壊指摘

 国立病院機構長野病院(上田市)で産科医の引き揚げが求められている問題で、上田地域5市町村でつくる上田広域連合の関係者らが26日、県庁を訪問。連合長の母袋創一上田市長が村井仁知事に、医師確保への協力を求める要望書を提出した。村井知事は「国立病院でさえこうなってしまう事態は深刻。努力させていただく」と述べた。

 要望書では「同病院の産科・婦人科が閉鎖されれば、地域の産科医療態勢の崩壊が避けられない」と指摘。「県がリーダーシップを発揮し、長野病院の医師確保に尽力いただきたい」とした。

 母袋市長は「何としても悪い流れを食い止めるため県にも協力いただきたい」と話した。【神崎修一】

(毎日新聞、長野、2007年12月27日)

****** SBCニュース、2007年12月26日

国立長野病院の産科医引き揚げ問題で母袋市長が知事に要望

 上田市の国立長野病院の産婦人科医師引き揚げ問題で、地元の市町村が、県に医師確保への協力を求めました。

 きょうは県庁で、上田地域広域連合の連合長を務める母袋上田市長が、村井知事に要望書を手渡しました。

 上田市の国立長野病院では、産婦人科の医師4人を派遣している昭和大学が、全員を引き揚げる方針を示しています。

 要望で母袋市長は、「リスクの高い出産を受け入れる地域でただ一つの基幹病院で、閉鎖されると、地域の医療体制は崩壊する」と訴え、医師確保に向けて県の協力を求めました。

 これに対し村井知事は、「本当に参っている、努力するとしか言いようがない」と述べるに留まりました。

 広域連合では、国立病院としての責任を果たすよう、国にも要望を行なうことにしています。

(SBCニュース、2007年12月26日)