ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

旭川日赤の産婦人科医3人 旭医大が派遣打ち切りへ (北海道新聞)

2007年02月15日 | 地域周産期医療

コメント(私見):

事情はよくわかりませんが、医師引き揚げの通告から実際の引き揚げ開始までにたった2ヶ月間しかなければ、産科継続のために秘策を練ることも非常に難しいかもしれません。

産科休止が報道されている事例は非常に多いですが、報道されている事例は全体の中のほんのごく一部だけだと思います。

今、地域を代表する大病院の産婦人科が、相次いで、分娩取り扱い中止に追い込まれています。一つの病院が分娩の取り扱いを中止すれば、その周辺の残された病院には、さらに患者が集中し、それらの病院の助産師や産婦人科医の勤務状況がますます悪化して、ドミノ倒し式に、産科空白地域が加速度を増して広がりつつあります。

産婦人科医が去った後、病院に大勢の助産師達が取り残されて看護師として働く事例が非常に多いようですが、彼女達がせっかくの貴重な技能を発揮できないのは、その地域にとって非常に大きな損失だと思います。

医師は医局人事で病院間を移動しますが、助産師は病院に固定されて病院間の移動が難しいのが実情です。いくら医師だけを集約しても、集約先の病院では、分娩が集中して極端な助産師不足に陥ることになってしまう事例も少なくないと思います。医師と助産師の病院間の移動を連動させる必要があると思われます。

****** 北海道新聞、2007年2月14日

旭川日赤の産婦人科医3人 旭医大が派遣打ち切りへ

 【旭川】旭医大は、旭川赤十字病院(後藤聡院長、七百六十五床)産婦人科への常勤医派遣を早ければ五月末で打ち切ることを決め、同病院に通告した。旭川赤十字病院は「最悪の場合、産婦人科の一時休診もありうる」としている。

 同科には十三日現在、三人の常勤医がいるが、いずれも旭医大からの派遣で、三人のうち二人は三月末で、残る一人もその二-四カ月後に引き揚げる。旭医大から病院に通告があったのは今月一日。引き揚げ開始まで二カ月しかない中、同病院は診療継続に向けて独自に医師を探す一方、四月以降の救急患者の診療体制見直しを進めている。

(北海道新聞、2007年2月14日)