ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

医師不足打開へ本腰 信大病院が独自の取り組み

2007年02月05日 | 地域周産期医療

コメント(私見):

産科、小児科に対しては、社会的ニーズもあり、多くの人材が必要とされているのに、現在この分野の医師数は圧倒的に不足していますし、これから新規に参入しようとする医学生や研修医の数も少ないのが現実です。

今後この分野への新規参入者を増やすには、まず最初の第1歩として、できるだけ多くの医学生や研修医がこの分野に興味を持ってくれることが肝要で、そのために各大学でいろいろと努力していることと思いますが、信州大学で、新しい独自の取り組みが始まったようです。

****** 中日新聞、2007年2月5日

医師不足打開へ本腰 信大病院が独自の取り組み

 深刻化する医師不足を打開するため、信州大病院(松本市)は、医学生と医師を対象とした独自の取り組みをスタートさせた。同病院に開設した「地域医療人育成センター」が核となり、診療科偏重が問題視されている産科、小児科への学生の呼び込み、離職率が高い女性医師への支援などを行うという。県内唯一の大学病院の挑戦を追った。

 本年度、文部科学省が公募した「地域医療等社会的ニーズに対応した質の高い医療人養成推進プログラム」で、医師の診療科偏重を解消するための取り組みが採択された。同省の予算を受け、昨年10月にセンターを開設。毎年約2000万-3000万円の補助金を3年間、受けられる。

 福嶋義光副センター長は「医師不足が深刻なのは、小児科、産科、麻酔科、救急部門の4科。県内だけでなく、全国的に深刻」と指摘。飯田下伊那地方など、相次いで産婦人科を廃止する動きが出てきていることなども踏まえ、昨年秋から、小児科と産科で、医学生を対象に継続的な実習を始めた。現在、医学部の1、2年生29人が実習に取り組んでいる。

 産科では「生命誕生の喜び体験実習」として、今年1月から妊婦に協力してもらい、学生が毎月の検診に付き添う。受胎の喜びから生命の誕生まで、胎児成長の過程を見守り、妊婦とともに不安や成長の喜びなどを分かち合いながら、8カ月を過ごす。

 小児科の「子育て体験・乳児発達観察実習」では、同院の医師が園医を務める松本赤十字乳児院(同市岡田松岡)で、乳幼児の発達を見る。毎月一度、同院を訪問し学生1人が2-3人の乳幼児を担当。抱っこや授乳、おむつ替えなどの世話をする。核家族化が進む中、実際に成長の過程を見ることで、子どもの健康を守る医師としての意義を見いだしてもらうのが狙いだ。

(以下略)

(中日新聞、2007年2月5日)