紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

ホロヴィッツ・プレイズ・スクリアビン

2007-07-15 23:07:16 | クラシック室内楽・器楽・オペラ・古楽
今日紹介のアルバムは、日本編集と言うか企画物ではありますが、20世紀最高のピアニスト、「ウラディミール・ホロヴィッツ」が、RCAに録音したスクリアビン作品の大半が収録されたアルバムです。
「ホロヴィッツ」と「スクリアビン」、祖国ロシアのご当曲&演奏ですので、相性は抜群です。
また、演奏テクニックについても、スクリアビンの曲は非常に難曲ですが、全盛期のホロヴィツですから、楽々弾きこなしています。

アルバムタイトル…ホロヴィッツ・プレイズ・スクリアビン

アーティスト…ウラディミール・ホロヴィッツ(p)

曲目…1.ピアノ・ソナタ第5番 作品53
  前奏曲集
   2.ハ長調 作品11の1
   3.嬰ハ短調 作品11の10
   4.ホ長調 作品11の9
   5.ト長調 作品11の3
   6.変ロ短調 作品11の16
   7.変ト長調 作品11の13
   8.変ホ短調 作品11の14
   9.嬰ヘ短調 作品15の2
  10.ロ長調 作品16の1
  11.ロ短調 作品13の6
  12.変ホ短調 作品16の4
  13.ト短調 作品27の1
  14.イ短調 作品51の2
  15.変ニ長調 作品48の3
  16.作品67の1
  17.作品59の
 ピアノ・ソナタ第3番 嬰ヘ短調 作品23
  18.ドラマティコ 嬰ヘ短調
  19.アレグレット 変ホ長調
  20.アンダンテ ロ短調
  21.プレスト・コン・フォーコ 嬰ヘ短調
  22.練習曲 変ロ短調
  23.練習曲 嬰ハ短調
  24.練習曲 嬰ニ短調

録音…1…1976年2月、2~21…1956年5月NY、22&23…1953年2月25日 カーネギーホール、24…1982年5月22日 ロンドン・ロイヤル・フェスティバル・ホール

演奏について…まず、「ホロヴィッツ」が50歳そこそこで、録音した前奏曲集だが、やはり演奏全般に若々しさや活力が漲っていて、一音一音も非常にパワフルで、正に「ヴィルトオーゾ・ピアニスト」の面目躍如の演奏です。

同様に「ピアノ・ソナタ第3番」も、前奏曲と同時期の録音だけに、起伏の激しい曲の特徴を余す所無く取らえて、劇的に且つ繊細に仕上げていて素晴らしい名演奏です。

それから、冒頭を飾る名曲、「ピアノ・ソナタ第5番」ですが、この時代は、巨匠・大家として油が乗り切った「ホロヴィッツ」だけに、知情意のバランスが最適で、細部まで良く思索されていて、録音されている同曲のベスト演奏でしょう。

3曲ある練習曲は、「変ロ短調」と「嬰ハ短調」が、このアルバムで最も若い(古い)1953年録音で、逆に「嬰ニ短調」は、最も老獪な(新しい)1982年の録音です。
若い時の2曲は、やはり相当エネルギッシュな演奏で、録音自体は古いので、音は良く無いですが、音の一粒一粒の粒子が立っていると分かるぐらい、生命力に満ち溢れています。
一方、晩年の録音「嬰ニ短調」ですが、例の歴史的事件「初来日時のひび割れた骨董演奏」よりも更に加齢している時の演奏ですが、何と若い時以上にパワフルでマッシブな演奏であることに、驚かされます。
しかし、この演奏は、燃え尽きる前の「最後のろうそくの明かり」だったのでしょう。
若い頃は無理して弾いていなくても、余裕を持って音がパワフルなのですが、晩年は持てる力を出し切って(力を振り絞って)ダイナミズムを捻出しているのです。

しかし、不世出の大ピアニストの最も得意な作曲家の貴重な演奏が録音された、とても良いアルバムです。


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