紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

ギターの異邦人の最高傑作、ガボール・ザボ~スペルバインダー

2007-07-09 22:15:18 | ジャズ・ギター
このアルバムは、チコ・ハミルトン・クインテットのギタリストであった「ガボール・ザボ」の最高傑作であり、ジャズ・ギター・アルバムとしてだけでなく、ギター・トリオ+パーカッションと言う編成から、ラテン・インストゥルメント・アルバムとしても第一級の名盤である。

アルバムタイトル…スペルバインダー

パーソネル…リーダー;ガボール・ザボ(g)
      ロン・カーター(b)
      チコ・ハミルトン(ds)
      ヴィクター・パントーヤ(perc)
      ウィリー・ボボ(perc)

曲目…1.スペルバインダー、2.ウィッチ・クラフト、3.イット・ウォズ・ア・ヴェリー・グッド・イヤー、4.ジプシー・クイーン、5.バン・バン、6.チーター、7.マイ・フーリッシュ・ハート、8.ヤーニング、9.枯葉~スピーク・トゥ・ミー・オブ・ラヴ

1966年5月6日録音

演奏について…時々書いている時がありますが、このメンバーを見て皆様も思う事があるはずです。
そうです、失礼ながら、リーダー「ガボール・ザボ」が一番地味で無名ですね。
しかしながら、ラテン・ロックの元祖的なミュージシャンとして、またギター・プレイヤーとして、技術も非常に優れており、他の一流所に全く引けをとっていない処か、逆にリーダーとして全員を強烈に引っ張っています。

特にお薦め曲について書きますが、個人的には貴重な「ザボ」のヴォーカルも聴けて、哀愁のメロディにKO寸前の、5曲目「バン・バン」なんか最高ですね。
曲調は、ジャズ界の「ダンシング・オール・ナイト」ですね。

タイトル曲「スペルバインダー」は、序奏から、二人のパーカッショニストの激しいリズムに導かれて、「ザボ」の力強いアドリブソロが展開して、ギター・トリオにパーカッションが加わった編成の演奏として、正しく王道を突き進むような曲となっており、オープニングを飾るのに相応しい。

7曲目「マイ・フーリッシュ・ハート」…一言で言えば「泣ける…」
このアルバム随一の聴き物「ラテン・ラヴ・バラード」であり、「ザボ」のフレーズの一つ一つのロマンティシズム&センチメンタリズムは最高だし、演奏的に言えばエフェクターの使い方が抜群に上手いんです。
バックメンバーの中では、ここでは特に「ロン・カーター」が、ハードな指捌きと、ボウイングで随所に見せます。

4曲目「ジプシー・クイーン」は、各人の演奏技術とバランス感覚は、本アルバム中ナンバー1であろう。
「チコ」のお上品なシンバルワーク、「カーター」のズシンとくるベース、「ボボ」達の廻りを激しく煽るパーカッションと掛け声に乗って、「ザボ」が超絶技巧のギターをぶいぶい弾き廻す。
余談だが、幼い頃の「カルロス・サンタナ」が、自身のアイドルだったと言う「ガボール・ザボ」がここに居るのだ。

8曲目「枯葉」は、私の(聴く)ライフワークとして、代表的な曲ですが、ここでは、「ザボ」はまず非常に原曲に忠実に導入部分のメロディを奏でて、ここから一気にパーカッションの二人のリズムに乗って、「スピーク~」へと曲を変える。
「ガボ」は太目の音色でアドリブを展開して終焉となる。

ライトな演奏のボサノヴァ、2曲目「ウィッチクラフト」は、寛ぎ系のサウンドで、「ザボ」とパーカッションの演奏は勿論素晴らしいのだが、特にブラシ&シンバル演奏に徹している「ハミルトン」が、目立たないが影のMVP級の活躍を見せる。

3曲目「イット~」は、「カーター」のベースがグイグイとドライヴィングして、パーカッションとドラムスとのトライアングル・リズム・サポートが完璧に機能して「ザボ」を援護する。


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