今日は、私の大好きなアルバムを紹介しましょう。
ジャズ・ピアノとフラメンコ・ギターの出会いに、何を思うでしょう。
何を聴くでしょう。
とにかく、素晴らしいんです。
ラテン好き、ジャズ好き、どちらかのジャンルが好きな方には、間違い無くお薦めできるアルバムです。
私にとっては、ど真中のストライク、所謂、ホームラン・ボール、絶好球です。
アルバムタイトル…スペイン
パーソネル…ミシェル・カミロ(p)
トマティート(flamenco guitar)
曲目…1.スペイン・イントロ、2.スペイン、3.ベサメ・ムーチョ、4.わが息子ホセへ、5.「あなたに逢いたくて」より愛のテーマ、6.トロイとサルガンのために、7.ラ・ヴァシローナ、8.タンゴのムード
1999年8月 スタンフォード・キャリッジ・ハウス・スタジオにて録音
原盤…Verve 発売…ビクターエンターテインメント
CD番号…POCJ-1487
演奏について…まず、全部の曲が聴き応え充分であり、一つとて駄演は無い。
カリブの生んだ超絶技巧ピアニスト「ミシェル・カミロ」と、同じくフラメンコ・ギターの名人「トマティート」の奏でる音楽だけに、テクニックは言うに及ばず、情感、表現力も寸分の隙が無い。
ラテンの血が滾り、心も、演奏するお互いの運指も、全てが燃え上がっています。
まず、オープニング曲「スペイン・イントロ」は、言うなれば「アランフェス協奏曲」のメロディ演であり、この二人にとっては、正しくお手の物。
スペインの郷愁が、見事に表現されています。
ギター「トマティート」は、クラシックのスタンダードの様に弾き、オーケストラ・パートの部分を「カミロ」が華麗に、煌びやかに演奏するんです。
2曲目、タイトル曲の「スペイン」…「チック・コリア」の作品だが、見事にこの二人の掌中に曲が有ります。
高速調のリズムで曲は進むが、二人の高い演奏技術が、完璧なデュオ演奏として表裏一体の様に重なり合い、全く隙が有りません。
「カミロ」のペダルを随所に効果的に活かした音の広がりに、「トマティート」の締った、フラメンコ・ギターがペルシャ・ジュータンの様に紡がれます。
二人のアドリブ演奏、カデンツァのすごさに驚嘆します。
知情意全てのバランスも良い、超名演ですね。
3曲目「ベサメ・ムーチョ」…良いねぇ。
まず、序奏はラテン・メロディ、リズムながら、とても女性的だ。
まぁ、作曲者「ベラスケス」は女性なので、当然と言えば当然かもしれないが、ここで「トマティート」は、泣きのギター・ソロを展開し、「カミロ」は鍵盤の上から下まで全部使用したみたいに、ピアノの出せる音域を使いきって、泣きのギターを劇的に盛り上げる。
中間から、「カミロ」のアドリブに入るが、ここも女性的な可憐なピアノ・ソロで、この曲が愛らしさを、目一杯表現している。
最後の「トマティート」のギター・フレーズも、ごくスタンダードな解釈で、全く奇をてらってはいないが、そこがとても品が良く、聴かせ所になっています。
また、一つ「ベサメ・ムーチョ」の名演が完成したね。
4曲目「わが息子ホセへ」…ラテンの土着性を見事に演じきって、二人のパッションが燃える。
ギターのボディーを敲きながら、「トマティート」が、フラメンコ・ギターの真髄を見せれば、「カミロ」は割と低音重視の重厚な伴奏に務めて威厳を見せつける様に返す。
その後、「カミロ」が高音を華麗にさばき始めると、「トマティート」もギターを更にかき鳴らし、二人のバトルの様に、火花が散り演奏が進んでいく。
闘牛士の様な、熱い1曲です。
5曲目「あなたに逢いたくて~」…今までと一転して、静かな静かな1曲。
例の有名ドラマ「冬ソナ」に出て来そうな、透明感が有って、どちらかと言うと白いイメージの曲なんですが、ラテンなので寒々しくは無く、ほんのり温かい印象を持ちます。
しかし、何て優しいメロディに、優しい演奏なんでしょう。
このデュオ…激しいラテン気質丸出しの脳天気野郎達じゃないね。
こんな高貴なイマージの曲も、完全に自分達の物にしているんです。
6曲目「トロイとサルガンのために」…序奏は高速のボサ・ノヴァで始まり、その後、タンゴ風のリズムになると、「トマティート」、「カミロ」とも跳ねる様に、敲く様にパワフルに奏でる。
そして最後は、「トマティート」の哀愁タップリのソロに、重厚な「カミロ」の伴奏を絡ませながら、フィニッシュとなる。
緩急自在の「トマティート」のフラメンコ・ギターのバカテクに圧倒される事に異論は有りません。
7曲目「ラ・ヴァシローナ」…かなり早めのリズムに乗って、二人の紡ぐ音楽が目くるめく様に重なり合い、スーパー・デュオ演奏が形成される。
ここでは「カミロ」が、いつになくアグレッシブなピアノアドリブを決めてくる。
受ける「トマティート」は正しく、フラメンコ・ギターの王道的なソロを華麗に決め返します。
二人が洪水の様に、次々と魅惑的なアドリブを出してきて、ここでの音の絵巻は、本当にすごいんです。
演奏テクニックだけで言えば、いやスピリットを加味して、このアルバム屈指の名演と言えるでしょう。
8曲目「タンゴのムード」は、寛ぎ…うぅーん、どちらかと言うと哀愁のラテンかな?
「トマティート」のギター、「カミロ」のピアノとも、慈愛に溢れていて、聴いているだけで、うるうると来てしまう。
悲しいの?それとも優しいの?いや、両方なんだな。
優しすぎて、悲しくなる時ってあるよね?
幸せ過ぎて怖いって言うのも、ある意味同義語かなぁ?
曲の緩急の付け方、つまり劇的な表現が、嫌味にならないギリギリの線で演奏されていて、この辺りセンスと感性が抜群に良いんです。
ラストに相応しい演奏です。
ジャズ・ピアノとフラメンコ・ギターの出会いに、何を思うでしょう。
何を聴くでしょう。
とにかく、素晴らしいんです。
ラテン好き、ジャズ好き、どちらかのジャンルが好きな方には、間違い無くお薦めできるアルバムです。
私にとっては、ど真中のストライク、所謂、ホームラン・ボール、絶好球です。
アルバムタイトル…スペイン
パーソネル…ミシェル・カミロ(p)
トマティート(flamenco guitar)
曲目…1.スペイン・イントロ、2.スペイン、3.ベサメ・ムーチョ、4.わが息子ホセへ、5.「あなたに逢いたくて」より愛のテーマ、6.トロイとサルガンのために、7.ラ・ヴァシローナ、8.タンゴのムード
1999年8月 スタンフォード・キャリッジ・ハウス・スタジオにて録音
原盤…Verve 発売…ビクターエンターテインメント
CD番号…POCJ-1487
演奏について…まず、全部の曲が聴き応え充分であり、一つとて駄演は無い。
カリブの生んだ超絶技巧ピアニスト「ミシェル・カミロ」と、同じくフラメンコ・ギターの名人「トマティート」の奏でる音楽だけに、テクニックは言うに及ばず、情感、表現力も寸分の隙が無い。
ラテンの血が滾り、心も、演奏するお互いの運指も、全てが燃え上がっています。
まず、オープニング曲「スペイン・イントロ」は、言うなれば「アランフェス協奏曲」のメロディ演であり、この二人にとっては、正しくお手の物。
スペインの郷愁が、見事に表現されています。
ギター「トマティート」は、クラシックのスタンダードの様に弾き、オーケストラ・パートの部分を「カミロ」が華麗に、煌びやかに演奏するんです。
2曲目、タイトル曲の「スペイン」…「チック・コリア」の作品だが、見事にこの二人の掌中に曲が有ります。
高速調のリズムで曲は進むが、二人の高い演奏技術が、完璧なデュオ演奏として表裏一体の様に重なり合い、全く隙が有りません。
「カミロ」のペダルを随所に効果的に活かした音の広がりに、「トマティート」の締った、フラメンコ・ギターがペルシャ・ジュータンの様に紡がれます。
二人のアドリブ演奏、カデンツァのすごさに驚嘆します。
知情意全てのバランスも良い、超名演ですね。
3曲目「ベサメ・ムーチョ」…良いねぇ。
まず、序奏はラテン・メロディ、リズムながら、とても女性的だ。
まぁ、作曲者「ベラスケス」は女性なので、当然と言えば当然かもしれないが、ここで「トマティート」は、泣きのギター・ソロを展開し、「カミロ」は鍵盤の上から下まで全部使用したみたいに、ピアノの出せる音域を使いきって、泣きのギターを劇的に盛り上げる。
中間から、「カミロ」のアドリブに入るが、ここも女性的な可憐なピアノ・ソロで、この曲が愛らしさを、目一杯表現している。
最後の「トマティート」のギター・フレーズも、ごくスタンダードな解釈で、全く奇をてらってはいないが、そこがとても品が良く、聴かせ所になっています。
また、一つ「ベサメ・ムーチョ」の名演が完成したね。
4曲目「わが息子ホセへ」…ラテンの土着性を見事に演じきって、二人のパッションが燃える。
ギターのボディーを敲きながら、「トマティート」が、フラメンコ・ギターの真髄を見せれば、「カミロ」は割と低音重視の重厚な伴奏に務めて威厳を見せつける様に返す。
その後、「カミロ」が高音を華麗にさばき始めると、「トマティート」もギターを更にかき鳴らし、二人のバトルの様に、火花が散り演奏が進んでいく。
闘牛士の様な、熱い1曲です。
5曲目「あなたに逢いたくて~」…今までと一転して、静かな静かな1曲。
例の有名ドラマ「冬ソナ」に出て来そうな、透明感が有って、どちらかと言うと白いイメージの曲なんですが、ラテンなので寒々しくは無く、ほんのり温かい印象を持ちます。
しかし、何て優しいメロディに、優しい演奏なんでしょう。
このデュオ…激しいラテン気質丸出しの脳天気野郎達じゃないね。
こんな高貴なイマージの曲も、完全に自分達の物にしているんです。
6曲目「トロイとサルガンのために」…序奏は高速のボサ・ノヴァで始まり、その後、タンゴ風のリズムになると、「トマティート」、「カミロ」とも跳ねる様に、敲く様にパワフルに奏でる。
そして最後は、「トマティート」の哀愁タップリのソロに、重厚な「カミロ」の伴奏を絡ませながら、フィニッシュとなる。
緩急自在の「トマティート」のフラメンコ・ギターのバカテクに圧倒される事に異論は有りません。
7曲目「ラ・ヴァシローナ」…かなり早めのリズムに乗って、二人の紡ぐ音楽が目くるめく様に重なり合い、スーパー・デュオ演奏が形成される。
ここでは「カミロ」が、いつになくアグレッシブなピアノアドリブを決めてくる。
受ける「トマティート」は正しく、フラメンコ・ギターの王道的なソロを華麗に決め返します。
二人が洪水の様に、次々と魅惑的なアドリブを出してきて、ここでの音の絵巻は、本当にすごいんです。
演奏テクニックだけで言えば、いやスピリットを加味して、このアルバム屈指の名演と言えるでしょう。
8曲目「タンゴのムード」は、寛ぎ…うぅーん、どちらかと言うと哀愁のラテンかな?
「トマティート」のギター、「カミロ」のピアノとも、慈愛に溢れていて、聴いているだけで、うるうると来てしまう。
悲しいの?それとも優しいの?いや、両方なんだな。
優しすぎて、悲しくなる時ってあるよね?
幸せ過ぎて怖いって言うのも、ある意味同義語かなぁ?
曲の緩急の付け方、つまり劇的な表現が、嫌味にならないギリギリの線で演奏されていて、この辺りセンスと感性が抜群に良いんです。
ラストに相応しい演奏です。