紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

最高のノリ、最高にファンキーな1枚…ザ・ケープ・ヴァーデン・ブルース~ホレス・シルヴァー

2007-10-29 23:51:24 | ジャズ・ピアノ・コンボ
今宵はお疲れの諸氏に飛切りファンキーで、元気が出るアルバムを紹介しましょう。
タイトル曲から、「ホレス節」全開で突っ走る、ノリノリのファンキー・チューンに元気溌剌しちゃって下さい。

アルバムタイトル…ザ・ケープ・ヴァーデン・ブルース

パーソネル…リーダー;ホレス・シルヴァー(p)
      J.J.ジョンソン(tb)
      ジョー・ヘンダーソン(ts)
      ウディ・ショウ(tp)
      ボブ・クランショウ(b)
      ロジャー・ハンフリーズ(ds)

曲目…1.ザ・ケープ・ヴァーデン・ブルース、2.ジ・アフリカン・クィーン、3.プリティ・アイズ、4.ナットヴィル、5.ボニータ、6.モー・ジョー

1965年10月1日、22日録音

原盤…BLUE NOTE 84220  発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-6619

演奏について…タイトル曲「ザ・ケープ~」では、のっけからエンジン全開で、「ホレス」が、カッ飛びゾーンのリミッター振り切りで、ガンガン行きます。
とにかくラテン・リズムが最高。
「クランショウ」と「ハンフリーズ」が皆を完璧にドライヴィングして行きます。
「ホレス」はラテン・タッチのブロック・コードと魅惑的なシングルトーンを上手く絡めて、聴いていて一気に「ホレス」の世界にタイム・トリップしますよ。
とにかく、メロディはマイナー・チューンでメロディアスながら、演奏を聴くだけで、元気が出てくるスタミナ・ミュージックです。
中間では「ヘンダーソン」が、エキゾチックに吹き切って……「ヘンダーソン」はラテン・ナンバーの演奏…まじに上手いね。
見事に壷を得てます。
私は大好きで、とにかく一押しの一曲で、アルバム・ベスト・ワンですよ。

2曲目「ジ・アフリカン~」は、オープニング曲は良くも悪くもコマーシャリズムに染まった一曲なのですが、(私はあえてその俗的な所にも魅力を感じている軽薄短小人間なんです。)この曲は、この時代に即したモード・ナンバーでセンス抜群です。
「ヘンダーソン」「ショウ」も自分のカラーを十二分に発揮しています。
特に「ヘンダーソン」のアドリブ・ソロは立派で、メロディアスな部分と、アヴァンギャルド&アグレッシヴな部分のバランスが見事で、とても魅惑溢れるソロですね。
「ショウ」は明るめの音色の「マイルス」に変身した様な、モード演奏の極地ですね。
しかし、それ以上に聴き物は、アフリカン・ポリリズムで、演奏空間を見事に演出する「ハンフリーズ」のドラムス演奏が、第一のお薦めポジションです。
「ホレス」はサイドメン的に、モード演奏をアシストしているのが良いのですが、中間時のソロが、とても思索的で、チラリとファンキーイズムもちらつかせますが、「ホレス」らしからぬ哲学的なピアノも別の魅力が発見できます。

3曲目「プリティ・アイズ」…ワルツ・リズムのモード・ナンバーです。
渋くリズムを決めるベースの「クランショウ」と、シンバルで皆を煽る「ハンフリーズ」がピシッと芯を決めると、「ヘンダーソン」「ショウ」が次々と、ハイ・センスなアドリブ・フレーズを連発して、聴いているこちらも、高揚して来ます。
その後で「ホレス」が、珍しくモード調で弾き続けてくれるのですが、所々にファンキー・テイストが散りばめられていて、思わず納得ですね。
最後は、2管で吹かれるユニゾン・テーマは、やはりブルーノートの十八番です。

4曲目「ナットヴィル」…ジス・イズ・ホレシーズ・ワールドです。
「JJ」が加わって3管になった物の、ラテン・リズムがガンガン響き、ファンキーで、皆、箱乗り状態で行っちゃってます。
「JJ」ってこんなに、陽気なトロンボーンを吹いたかなぁ?
「ショウ」は完璧に飛翔を始めて、宇宙へと飛んで行ってる。
「ヘンダーソン」…適度に遊びを持たせて、趣深いアドリブ・ソロですね。
渾然一体となった、「シルヴァー・セクステット」を「ハンフリーズ」がとにかくラテン・リズムで煽り捲る。
「ホレス」のピアノはもう、言うこと無しですね。
この演奏で、全員のノリは最高潮になりますよ。

5曲目「ボニータ」…この変速リズム…良いねぇ。
私の好きな世界です。
この演奏はベース「クランショウ」が単調ながら、渋く野太い音を構築する所が基礎になっている。
ホーンは3管でのユニゾンがメインだが、「ホレス」はシングルトーンで、プチ・ファンキーなアドリブをかまして、それがまたセンチメンタルなアドリブで、心を打つんです。
後半のブロックトーンもgoodな良い仕事をしています。
「ハンフリーズ」の実直なドラムも、やっぱり乙ですね。

ラストの「モー・ジョー」は、3管全員がユニゾンで、都会的なショウマン的な演奏をする。
この曲は「ヘンダーソン」の曲なんですね。
まず、「JJ」が走る。
ベテランらしからぬ、とても若々しいソロですね。
次いで「ヘンダーソン」が、渋めに決めながら続き、すぐさまカデンツァに入ります。
そして3走目に「ショウ」が走ります。
とても流麗なソロで、この曲のアーバナイズされた、カッコイイ部分を丸見せしてくれます。
「ホレス」はファンキー節全開で、このアルバムの〆に向かって、びんびんに突き進む。
「クランショウ」のソロ・ベースもカッコイイですよ。