What A Wonderful World

毎日の暮らしの中で、心惹かれたことを語ります。

中島 さなえ 『いちにち8ミリの。』 (双葉社)

2010年10月04日 13時57分58秒 | 図書館で借りた本
○中島 さなえ 『いちにち8ミリの。』 

 後味の悪い表題作のせいで、その他の短編二作はもう読まないでおこうかなぁと、いったん思ったんですが、短気はいかんと思い直して読んだら・・・やっぱりその二作も後味悪かったです(苦笑)

同じ素材をもっと心理ホラーにするとか、純文学にするとか、青春小説にしていたら、良かったんじゃないかなという、どっちつかずな文章が不快。それが作者さんの意図だとしたら成功でしょうねぇ・・・これがデビュー作なので、まだどう判断すればいいのかワカラナイ作家さんです。

このお話、雑誌「ダ・ヴィンチ」9月号に紹介されていました。(故・中島らもさんの娘さんという事は、私が中島らもさんの文章を、記憶に残るぐらい読んでいないので、まったく意識しませんでした。)そのインタビューの中で、

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 出てくる人も猿も忍者も、狭い世界で決まったことしか知らなくて、ただそれを貫いて生きている。でも結局、いくらインターネットで情報収集したり会話しても、自分がリアルに感じられるのは自分の周りのごく一部の人で、その限られた世界でしか生きていないじゃないですか。私はそれでいいと思ってて。世界を旅している人とか苦手です。目的もなく旅すれば自分が変るんじゃないかっていう考え方をする人が苦手なんだと思う。

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>自分がリアルに感じられるのは自分の周りのごく一部の人

そんなこと無いでしょ。

私が中島さなえさんの文章を読んで後味悪いと感じるのは、この「狭さ」が嫌なのかな。表題作の『いちにち8ミリの。』で、飼い主に愛情を抱いて、人間同士の様になりたいと切に願う様が綴られても、その行動は猿そのものでしかなくて、どうにも気持ち悪い。どうせなら、いっそ突き抜けた世界を書いた方が良いんじゃないかな~。



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