What A Wonderful World

毎日の暮らしの中で、心惹かれたことを語ります。

夏川草介 『神様のカルテ』 

2010年03月01日 08時38分29秒 | 図書館で借りた本
★特設サイト→小学館:神様のカルテ

 う~ん、これは”ファンタジー”でしょう。決して、作者さんはファンタジーとして書かれている訳じゃない(と思う)のですが、「心身ともに疲れて擦り切れた心が、こうあったら好いなと求めるままを書きました」という印象です。

お話の中に、主人公に大きな影響を与えるおばあさんが登場するのですが、その人に対する治療について、胸に刺さる部分がありました。

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>外出は許可せず部屋に閉じ込め安静を守ってもらう。カステラはもとより一切の経口摂取を中止し、絶飲食を継続する、急変すれば輸血から心臓マッサージまでフルコースで行う。もしかしたら予後は一週間くらいは延びたかもしれない。だが・・・、

・・・・そんなものに意味はない!

>胆のう癌は痛みやら腹水やらで苦しむことの多い病気だ。それがぽっくりと逝けた。良かったじゃねえか。

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そのとうり、うちのおばあさんは体がカチカチになるくらい腹水が溜まって、肺がおしつぶされて呼吸が出来なくなって、苦しんで力を使い果たして亡くなりました。

私は、亡くなってもうすぐ一年が過ぎるいまでも、あんなに食べるのが大好きだったおばあさんに、2ヶ月ちかくも水さえ飲ませずに逝かせてしまったのは、あんまりにも可哀相だったと思っています。

みなが思っていたよりも早く逝ってしまったのでチャンスはありませんでしたが、もう回復の見込みが無いと先生に言われたら、お願いしてジュースでもお茶でも、何でも良いから口から飲ませてあげようと思っていました。朦朧となって家族の顔も判らないほどになっていましたが、それでもなにか口にさせたかったんです。

>だが、その考えですらエゴでないと誰が言い切れるであろうか。

もしも、私がそうしていたら、それは残される者のエゴだったんでしょうか?自己満足に過ぎなかったんでしょうか?

この作品を”ヒューマンドラマ”として宣伝しているのは、何だか引っかかります。”ファンタジー”として売ってくれたら、和めたのになぁ。



 そうそう、「2010年本屋さん大賞」のノミネート作品を読破した中で、『1Q84』を除外してつけてるランキングにこの作品を加えると、

『天地明察』>『猫を抱いて象と泳ぐ』>>>>『植物図鑑』、『神去なあなあ日常』、『神様のカルテ』

となります。これでノミネート作品10作のうち半分を読破しました、ひゅ~(笑)あと読みたいのは『船に乗れ!』と『新参者』で図書館に予約中です。が!4月の結果発表に間に合うかが怪しいのと、残りの作品はやっぱり食指が動かないので、公平な(全作読破して)予想は無理みたいです。

書店員さんが「売りたい本」かぁ・・・複雑ですよねぇ。あれだけ売れても、やっぱり『1Q84』は鉄板なのかなぁ。この間お話した「書店員が選んだお勧めコミック2010」のスタンスの方が、なんだか好い感じになってきました。

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