What A Wonderful World

毎日の暮らしの中で、心惹かれたことを語ります。

市川拓司 いま、会いにゆきます

2006年09月05日 13時52分46秒 | 
 巧さんの持つ障害の名前は、お話の中では書かれませんが、モノの名前が覚えられなかったり、乗り物に乗れなかったり、何時も何か起きるんじゃないかと不安を感じたりなど、症状がたびたび出てきます。奥さんになる澪さんと出会って、でも別れなければと考えるのも、一時期症状が悪化するからです。

 それを、どんな風に克服して、社会人として父として、夫として生きているかの描写が、凄く胸に迫りました。


 以下、何故そんなに共感したかと言う、私の病歴(?)の少々長い説明ですので、面倒な方は飛ばして下さい。

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 私は子どもの頃から「乗り物酔い」と「貧血」と付き合って来ました。身体や心の病をお持ちの方から見れば、なんだそんなものと笑われると思いますが、病名のつく程でもない、かといって健康でもない宙ぶらりんで、やっかいなモノなんです。
  両親は、乗り物に酔うのはしょうがない、程度でしか考えていなかったのと、子どもには薬を飲ませるのは(特に痛み止めや酔い止め)良くないと、硬く思っていて、とにかくどこかへ出かける時は、吐いたり具合が悪くてぐったりしているかでした。小さい頃は、何故具合が悪くなるのかが判らなくて、突然来る吐き気を大人に知らせる勇気も無くて、ただ苦しい時間の過ぎるのを待つばかりでした。

 貧血も、病院で増血剤や鉄剤を処方されて服用する様になったのは、20代からです。それ以前は、二次成長の為に身体が変化するのと共に、眩暈や立ちくらみなどとの戦いでした。女性の方には判って頂きやすいんですが、毎月、痛みよりも起き上がれない事の方がが困りモノでした。

 いい加減、歳を重ねて行くうちに「こうなったらああなる」という経験も重ねて、動けなくなる前に薬を飲んだり、勿論乗り物に乗る時は、必ず酔い止めを飲むようになって、随分ラクになりました。

 貧血のパターンは判っているので、耳鳴りがしてお星様がちかちか飛び始めたら、後は出来るだけ横になるか、それに近い姿勢になって、収まるのを待つしかないんです。が、うっかり仕事中や、移動中だったりすると、そのタイミングがずれて、トイレまで間に合わなかったりするんですよ(トイレの個室に入れれば、あとはうずくまってやり過ごせるのです)これがねぇ・・・他人から見たら、顔面蒼白(本当に白くなるらしいです)で、あまつさえ気を失って倒れたりされたら、びっくりしますよね?私としては、そのまま横にしてて貰えれば良いのにな~と思うんですが・・・ご親切に救急車を呼んで下さった人もおられました。あれは恥ずかしかったです・・・なんせ、ストレッチャーに乗せられた時点で、意識は戻ってるし、貧血も収まっていて、病院で説明に困ってしまって。

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 そんな、特に重い病気でもなく、かと言って愉快でもない体を抱えてでさえ、色々言われたり誤解されたりするんです。巧さんの障害を抱えて生きる困難さが、でも、それと向き合う姿勢が、哀しくてそして素晴らしいと思いました。


 最後の澪さんの手紙で、澪さんの秘密と揺るぎない決意を私たち読者は知る事になりますが、それは巧さんと祐司君と出会わなければ、生まれないものでした。人と人とが出会って生み出すエネルギーの素晴らしさを感じられて、本当にこのお話を読めて良かった、と思いました。

 なんだか、感想よりも私の説明が長い文でごめんなさい(笑)このお話が伝えたい事の一つ「人が懸命に生きて行く姿は、何よりも心を打つ」という事に共感した、そんな説明でした。

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