ALL読みきり書き下ろしの「Story Seller」(新潮社)を買いました。表紙にある「読み応えは長篇並み、読みやすさは短篇並み」という言葉に偽りの無い、大満足の一冊でした。
執筆者のお一人である、有川浩さんがご自分の日記で、
「今この陣容を一冊に集められるのは『Story Seller』を作ったこの編集さんだけです。しかし再びの奇跡が起きるかどうかはお客様の応援にかかっております。何とぞ再びの奇跡に応援を」
と書かれておいでだったのがずっと心に残っていて、書店にあった三冊のうちの一冊を買って来ました。はい、確かに編集された新井久幸さんという方は凄い人なんだろうなぁと思わずにはいられませんでした。できれば第二弾があると良いな♪
以下、掲載作品感想
○伊坂幸太郎 「首折り男の周辺」
「よく風貌が似た男二人が、お互いに間違われ、やっかいごとに巻き込まれる」という設定は、もう伊坂さんの独壇場でしょう。きっと伊坂さんは、こういう雰囲気のお話が好きなんだろうなぁ、と読んでいてしみじみ思いました。
それと少年の(ここでは中学生)特有の心理を描かれるのが巧いんだな~。いじめを受けているヤツを知らないか?と先生に尋ねられて、知らないと答えるものの、内心では「俺だよ気付けよ」と叫んでいるあたりなんて、その意味の無い上から目線?俺がそうですと言えない弱さ?に、あるあるあるあると頷いてました(笑)
でも「大勢の怒りのガス抜き」に対しては、私はちょっと受け入れられなかったです。『長い列に並んで待つ+不愉快な言動』を見せられたら、怒りというか不愉快さが倍増しますもの。
○近藤史恵 「プロトンの中の孤独」
「サクリファス」が読みたいと思っているうちに、先に外伝を読んでしまった(汗)ま、いつもの事ですが、だからって別に平気な外道読みな私です。好きだ~こういう世界好きだ~と読んでいる最中、ずっと思ってました(笑)三浦しをんさんの「風が強く吹いている」が、スプリントに舞台を変えた感じでした。
○有川浩 「ストーリー・テラー」
白い怪鳥様がお宅で「僕は、衝撃だった。」と感想を書かれていた訳がようやく判りました。
(@怪鳥様へ。感想をもう一度拝見させて頂いて、ようやく主人公に名前がついていない事に気づきました、あほです)
「作家」を主人公にして書いた作品は、いろんな意味で名作・問題作になるものが多いように思います。日本なら筆頭は筒井康隆さん、海外ならS・キングさんなど、「これは創作だから」という前提で、非常にリアルな内面の描写やエピソードを書くのは、作家さんにしてみれば、自分の持つ力を駆使して書く、たまらなく愉快な創作なんじゃないでしょうか。
読者はフィクションのお話に、勝手に作家さんの実生活を重ねて読むことも出来ますし、ノン・フィクションじゃないの?と、うがって読むことも出来ます。ただ、外宇宙の話を書くのに、宇宙飛行士になる人は居ないし、殺人鬼の話を書くのに罪人になる必要は無い訳で、そう読者に思わせることに成功した作家さんの筆力や工夫が素晴らしいのです。
そういう作家さんの小説と向き合うのは、読者として凄く愉しい。W主人公である「彼」の、ただ作品を読みたいんだ!という前半の部分の描写が、自分の事のようにリアルにひりひりと感じられ、一番の感動ポイントでした。(ごめん、いつも深い愛の場面は一番じゃないんだな)
恩田陸さんは「小説を創造する」という部分が凄い、と作品を読むたびに思うのですが、有川さんもこの作品や「別冊 図書館戦争Ⅰ」あたりから、そちらに力を注いでいる印象が強くなって来ました。
○米澤穂信 「玉野五十鈴の誉れ」
古めかしい香りのするお話で、え?米澤さんってこんな作風だっけ?と思ってしまいました。私的には「ボトルネック」はまったくダメだったんですが「春期限定いちごタルト事件」は読みたいなと思いました。
○佐藤友哉 「333のテッペン」
唯一のれなかったお話でした(苦笑)ファンの方にはごめんなさい。
○道尾秀介 「光の箱」
読み終わって、これまた大昔のドラマ「夜明けの刑事」を思い出しました。こういう感じのお話がよくあったんですよ~、あのドラマシリーズは面白かった。なんというか、物事には、正面だけじゃなくて側面もあるし見えない面もある、という感じ。人の表情や言葉には、実はたくさんの意味が含まれているのを、じっくり書かれています。
○本多孝好 「ここじゃない場所」
随分前の事ですが、いまだに「MISSING」をベタ褒めしていた某雑誌の書評が忘れられないです。というのも、それを信じて図書館で借りて読んだのに、いまいちだったから。人がどう言おうとも、自分がどう感じるかは実際に読まなければ判らない」というのを学んだ一冊でした。
でも、いまはこのお話に登場した四人組と「アゲハ」の話を早く読んでみたくてしょうがないです。
執筆者のお一人である、有川浩さんがご自分の日記で、
「今この陣容を一冊に集められるのは『Story Seller』を作ったこの編集さんだけです。しかし再びの奇跡が起きるかどうかはお客様の応援にかかっております。何とぞ再びの奇跡に応援を」
と書かれておいでだったのがずっと心に残っていて、書店にあった三冊のうちの一冊を買って来ました。はい、確かに編集された新井久幸さんという方は凄い人なんだろうなぁと思わずにはいられませんでした。できれば第二弾があると良いな♪
以下、掲載作品感想
○伊坂幸太郎 「首折り男の周辺」
「よく風貌が似た男二人が、お互いに間違われ、やっかいごとに巻き込まれる」という設定は、もう伊坂さんの独壇場でしょう。きっと伊坂さんは、こういう雰囲気のお話が好きなんだろうなぁ、と読んでいてしみじみ思いました。
それと少年の(ここでは中学生)特有の心理を描かれるのが巧いんだな~。いじめを受けているヤツを知らないか?と先生に尋ねられて、知らないと答えるものの、内心では「俺だよ気付けよ」と叫んでいるあたりなんて、その意味の無い上から目線?俺がそうですと言えない弱さ?に、あるあるあるあると頷いてました(笑)
でも「大勢の怒りのガス抜き」に対しては、私はちょっと受け入れられなかったです。『長い列に並んで待つ+不愉快な言動』を見せられたら、怒りというか不愉快さが倍増しますもの。
○近藤史恵 「プロトンの中の孤独」
「サクリファス」が読みたいと思っているうちに、先に外伝を読んでしまった(汗)ま、いつもの事ですが、だからって別に平気な外道読みな私です。好きだ~こういう世界好きだ~と読んでいる最中、ずっと思ってました(笑)三浦しをんさんの「風が強く吹いている」が、スプリントに舞台を変えた感じでした。
○有川浩 「ストーリー・テラー」
白い怪鳥様がお宅で「僕は、衝撃だった。」と感想を書かれていた訳がようやく判りました。
(@怪鳥様へ。感想をもう一度拝見させて頂いて、ようやく主人公に名前がついていない事に気づきました、あほです)
「作家」を主人公にして書いた作品は、いろんな意味で名作・問題作になるものが多いように思います。日本なら筆頭は筒井康隆さん、海外ならS・キングさんなど、「これは創作だから」という前提で、非常にリアルな内面の描写やエピソードを書くのは、作家さんにしてみれば、自分の持つ力を駆使して書く、たまらなく愉快な創作なんじゃないでしょうか。
読者はフィクションのお話に、勝手に作家さんの実生活を重ねて読むことも出来ますし、ノン・フィクションじゃないの?と、うがって読むことも出来ます。ただ、外宇宙の話を書くのに、宇宙飛行士になる人は居ないし、殺人鬼の話を書くのに罪人になる必要は無い訳で、そう読者に思わせることに成功した作家さんの筆力や工夫が素晴らしいのです。
そういう作家さんの小説と向き合うのは、読者として凄く愉しい。W主人公である「彼」の、ただ作品を読みたいんだ!という前半の部分の描写が、自分の事のようにリアルにひりひりと感じられ、一番の感動ポイントでした。(ごめん、いつも深い愛の場面は一番じゃないんだな)
恩田陸さんは「小説を創造する」という部分が凄い、と作品を読むたびに思うのですが、有川さんもこの作品や「別冊 図書館戦争Ⅰ」あたりから、そちらに力を注いでいる印象が強くなって来ました。
○米澤穂信 「玉野五十鈴の誉れ」
古めかしい香りのするお話で、え?米澤さんってこんな作風だっけ?と思ってしまいました。私的には「ボトルネック」はまったくダメだったんですが「春期限定いちごタルト事件」は読みたいなと思いました。
○佐藤友哉 「333のテッペン」
唯一のれなかったお話でした(苦笑)ファンの方にはごめんなさい。
○道尾秀介 「光の箱」
読み終わって、これまた大昔のドラマ「夜明けの刑事」を思い出しました。こういう感じのお話がよくあったんですよ~、あのドラマシリーズは面白かった。なんというか、物事には、正面だけじゃなくて側面もあるし見えない面もある、という感じ。人の表情や言葉には、実はたくさんの意味が含まれているのを、じっくり書かれています。
○本多孝好 「ここじゃない場所」
随分前の事ですが、いまだに「MISSING」をベタ褒めしていた某雑誌の書評が忘れられないです。というのも、それを信じて図書館で借りて読んだのに、いまいちだったから。人がどう言おうとも、自分がどう感じるかは実際に読まなければ判らない」というのを学んだ一冊でした。
でも、いまはこのお話に登場した四人組と「アゲハ」の話を早く読んでみたくてしょうがないです。
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