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読み物としておススメします ”現代ビジネス 「人間対コンピュータ将棋」頂上決戦の真実” 

2013年05月17日 09時29分39秒 | 日常
 先日開催された将棋の「第二回 電王戦」(人間対コンピュータ)は、最高に面白かったと、まったくの将棋素人な私ですが思いました。

頭悪いので、相手の先を読む、過去の対戦を記憶している等々、「将棋」というゲームのプロの方々を心から尊敬しています。人間の知恵の最先端の駆け引きに、これまた最先端の技術の結晶であるコンピューターソフトが戦いを挑むという事自体に、まずワクワクする気持ちが抑えられないです。結果として、今回は将棋ソフトの勝利となったのですが、じっくりとその戦いを解説された文章を読んでいたら、試合を追いかけて観ていた時の感動が、更に倍増しました。

小説が現実に負けてるのを体感するのは、人として気持ちいいですね(苦笑)


★「現代ビジネス 賢者の知恵 / 「人間対コンピュータ将棋」頂上決戦の真実 」
( http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35657 )より引用

>前編・6

 ごく大雑把にいえば、プロ棋士が強いのは、手を「読める」からではなく「読まない」からだ。長年の鍛錬によって、「読まなくてよい手」を直感的に捨てられるから、「読むべき手」に全力を注ぐことができる。

 ところが、いま将棋界を襲っているエイリアンたちは、片っ端から手を読む。それに耐えうる「脳」の馬力がある。そして将棋とは、人間が捨ててしまう手のなかに、例外的に「正解」がまぎれこんでいることもあるゲームなのだ。


 さらに、第3局に敗れた船江五段はこう話す。

「正直にいえば、勝ったと思ったときがありました。ところが、コンピュータはそこからの粘りがものすごいんです。

 人間ならば気持ちが切れて、自分から負けに行ってしまうかもしれませんが、コンピュータは最後まで、心が折れるということがない。どんなに形勢が悪くても、その局面で最も粘れる手を見つけ出してくる。将棋に勝つというのは、本当に大変なことなんだと学びました」

「心」というものを持たないコンピュータこそは、勝負師の「理想の姿」なのだろう。


>前編・8

 将棋界というところに、一般の世界とは違う閉鎖的な面があることは否定できない。だが、将棋界の人たちは、おおむね「外界」からの訪問者には親切だ。

 控え室に押し寄せている報道陣の中には、将棋の知識がまったくない人も多く、かなり「斬新」な質問をしてくる記者もいたが、棋士たちはそのひとつひとつに意を尽くして答えていた。この業界を何とか盛り上げてほしい、というのは彼らの共通の願いなのだ。今回の電王戦に出場した5人の「戦う動機」も、言ってしまえばそこにしかないのではないかと思う。

 控え室のモニターに、この対局の大盤解説会が催されている「六本木ニコファーレ」の場内が映し出された。客席の最前列に若い女性が何人も座っているのが見える。これまでの将棋ファンとはまるで違うこの客層こそ、出場した棋士たちが流した血の確かな代償と言えるだろう。


>後編・4(第一局で勝利した阿部光瑠四段へのインタビュー)

---実際に戦ってみて、コンピュータの実力をどう感じましたか?

「強かったです。人間は、自分が不利になりそうな変化は怖くて、読みたくないから、もっと安全な道を行こうとしますよね。でも、コンピュータは怖がらずにちゃんと読んで、踏み込んでくる。強いはずですよ。

 怖がらない、疲れない、勝ちたいと思わない、ボコボコにされても最後まであきらめない。これはみんな、本当は人間の棋士にとって必要なことなのだとわかりました。

 僕は習甦のおかげで強くなれたと思っています。コンピュータのおかげで人間が進歩すれば、またコンピュータも進歩する。そんな関係でいいんじゃないでしょうか」


>後編・8 (第3局で船江恒平五段を破ったツツカナの開発者、一丸貴則さんへのインタビュー)

---一丸さんにとって、この電王戦にはどのような意味がありましたか?

「私自身は、棋力はアマチュア初段くらいしかないので、ツツカナが指す手の意味も、いい手なのかどうかもわからないんです。船江さんとツツカナにしかわからない世界です。

 でも、これだけの舞台で戦えたことで、あとでいろんな方からツツカナの手の意味を教えられたり、誉めていただいたりしました。それがとてもうれしく、ありがたかったです」

 竹内さんの話にも通じるが、開発者の多くは将棋が特別に強いわけではないため、自分のソフトが指す手を正しく評価することが難しい。プロ棋士に正面からぶつかってもらって、手塩にかけた「わが子」の長所や短所を炙り出し、本当の実力を教えてほしいというのは、彼らの多くに共通する願いなのだ。電王戦は彼らにとって、そのための貴重な場なのである。

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コメント
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