2020年12月19日、明石原人に関する展示を兵庫県立考古博物館で観覧しました。
その内容を紹介すると共に明石市立文化博物館の展示や現地への訪問記も含めて
纏めてみました。
兵庫県立考古博物館の展示
明石原人の腰骨は昭和6年(1931)4月18日病気療養で明石に滞在していた
故直良信夫(なおらのぶお)博士(元早稲田大学教授)が屏風ヶ浦海岸で発見したが、
東京大空襲で喪失してしまいました。ただ石膏で作った複製品のみが残った。
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当時の考古学の世界で日本には旧石器時代(5万年~12万年前)はなかったという説が
常識であったが「骨に青い土が付着していることから「西八木層」=中期更新世と判断した」
この発見によりくつがえされた大きな発見でした。
昭和23年(1948)長谷部言人(はせべことんど)博士(元東京大学教授)はニッポン
ナントロプス=アカシエンスの名を与え明石原人と呼ばれるようになった。
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昭和57年(1982)になって石膏の複製品と世界各地から発掘された寛骨(かんこつ)化石
や畿内現在人と比較し、統計学的に検討 現代人的~超現代人的とする。
研究担当者は遠藤萬里(東大)・馬場悠男(独協医科大)。遠藤・馬場による明石腰骨の
形態解析は完璧に近く、明石人は現代人とする考えが支配的となる。(原人や旧人説は否定)
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参考のために猿人、旧人、原人、新人の存在年代の展示を添付(下の写真)
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新人は約20万年前にアフリカで生まれました。私達の直接の祖先です。
ナウマン象ハンターも縄文人も弥生人も、みんな新人です。
昭和57年(1982)、明石原人の骨に関する研究成果で縄文時代の腰骨であったと
結論づけられました。
現在の教科書などには明石人となっている。
また縄文時代(0.3万年前~1.3万年前)の人骨(上述)とする説でほぼ確定しています。
旧人の骨としては愛知県豊橋市牛川町で発掘された牛川人が日本で唯一の旧人と
されています。
昭和60年(1985)3月1日~21日まで国立民俗博物館春成秀爾(はるなりひでじ)助教授を中心
とする調査団は、これまで西八木海岸とよばれてきた明石市大久保町八木字宮西509番地の発掘
を行った。その結果は、「国立民俗学博物館研究報告」第13集 「明石市西八木海岸の発掘調査」
(昭和62年=1985)にくわしく述べられている。人骨化石は発見できなかったが5~6万年前の
人工品と推定されるハリグワの木片や碧玉の石器を確認。明石原人との関係は判らないがこの地に
非常に古い時代に人類が存在していたことは間違いないと思うと2019年9月7日、明石市で開かれた
講演会で春成氏は述べられました。
明石原人の研究経過については下記のサイトが詳しい
明石原人の歩み (biglobe.ne.jp)
参考展示(新人の移動経路)
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教科書にも掲載された明石原人(下の写真)
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明石市立文化博物館の展示
昭和60年(1985)3月1日~21日まで国立民俗博物館春成秀爾(はるなりひでじ)
助教授を中心とする調査の結果を中心に展示されています。
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上の写真は西八木海岸の再発掘調査のパネル
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/23/e63827e2627965450496bb7f2fdc3ea2.jpg)
上の写真は発掘調査風景
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上の3枚の写真は調査区の地層に関する展示
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/88/b48f157bc8af986fafcfb7294e465142.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/b9/00fe946afcd226996ff485450a839600.jpg)
上の2枚の写真は出土した木器の展示
現地訪問記
現地への訪問記(2009-9-9)は小生も下記ブログを書いています。
明石原人の腰骨の発見地 : 散策とグルメの記録 (exblog.jp)