2017年7月25日付けの神戸新聞で「しんかい2000」等7件が2017年度機械遺産に
選定されこれまでに認定された機械遺産は2007年発足以来90件となったとの報道が
あった。
機械学会より7月25日に発表され機械の日の8月7日に正式に認定されるとのこと。
初めて機械遺産があることを知った。
そこで90件の機械遺産がどんなものであるのかを調べて見ました。
Wikipediaによれば
機械遺産は2007年6月、日本機械学会の設立110周年を記念して設けられた制度である。
国内の機械の中でも特に我々の生活に大きな影響を与えた機械・機器、関連システム、
工場、設計仕様書、教科書などを記念物として認定するものである。
「機械遺産」の選定基準は社会発展に貢献した機械であること、現存していて実際に動かせる
状態であることである。認定後は企業などが所有を継続できなくなった場合に国立科学博物館や
地方公共団体への移管の仲介を行い、遺産の処分や散逸を防ぐとしている。
90件のリストは一般社団法人機械学会のHPやWikipediaに記載されていますので
リンクさせていただきました。
機械遺産のリスト(機械学会)
機械遺産のリスト(Wikipedia)
Wikipediaによれば機械遺産は下記の4つの区分があるそうです。
Site(機械遺産のある歴史的な風景)
Landmark(機械を含む象徴的な建造物・構造物)
Collection(保存・収集された機械)
Documents(記録に残る機械関連文書類)
このブログでは2017年度に選定された7件の機械遺産と兵庫県関連の機械遺産に絞り
記載していきます。
1.2017年度に選定された7件の機械遺産
Site
84 勝鬨橋(跳開部の機械設備)(東京都)
上の写真は開閉していた時代の勝鬨橋(かちどきばし)
昭和15年(1940)6月開通の築地と月島を結ぶ隅田川に架かる可動橋
昭和45年(1970)11月29日に開橋を停止
かちどき 橋の資料館の予約制の橋脚内見学ツアーにより公開
85 奥田トンネルのジェットファン縦流換気システム(福岡県)
ジェットファンによる縦流機械換気方式が日本で初めて採用されたのは北九州有料道路の
奥田トンネル(昭和33年(1958)開通)である。
一方通行化により強制換気が不要となり昭和50年(1975)にジェットファン8台を撤去
原則非公開であるが西日本高速道路株式会社 茨木技術研修センター(6月1日開設)に移設
(撤去保存中のジェットファン2台を2017年度中に移設)
Collection
86 国産初の地下鉄車両「モハ1000形1001号」(東京都)
昭和2年(1927)12月に東京の上野~浅草間で開業した、わが国初の本格的地下鉄である
東京地下鉄道(現在の銀座線)で、最初に使用された電動客車10両(モハ1000形)のうちの
第一号車(1001)である。
現在東京メトロ東西線葛西駅の近くにある
地下鉄博物館で展示
87 有人潜水調査船「しんかい2000」(神奈川県)
日本初の有人深海調査船「しんかい」の後継機として三菱重工神戸造船所で製作、1981年に完成し、
2002年11月まで運航された。現在では新江ノ島水族館で動態保存・展示されている。
しんかい2000の後継機は「しんかい6500」で同じく三菱重工神戸造船所で製作
1989年に完成しました、日本近海に限らず、太平洋、大西洋、インド洋等で、海底の地形や地質、
深海生物などの調査を行っています。 2016年10月8日(土)に神戸港中突堤に母船
「よこすか」と共に寄港し一般向けに公開され見学しており見学記も書いていますのでリンクします。
http://blog.livedoor.jp/seiyo39/archives/49495791.html
上の写真は「しんかい2000」 出典:Wikipediaより
88 鋳造用砂型の造型機械「C-11型生型造型機」(愛知県)
本機は、昭和2年(1927)に登場した国産初の生型(砂型)造型機である。
この造型機で、450mm×300mm×高さ200mmの鋳型を製造できた。
名古屋市の久保田鋳造所(現 新東工業(株))の久保田長太郎により製作された。
現在、新東工業株式会社 豊川製作所ショールームに保管されています。
89 組合せ計量機(ACW-M-1)(滋賀県)
石田衡器製作所(現イシダ)の組合せ計量機「ACW-M-1」。
サイズが異なるピーマンを組み合わせ、1袋の重さが同じになるように仕分けする。
テレビで紹介されているのを観たことがあります。
90 全自動手袋編機(角型)(和歌山県)
本機は、昭和39年(1964)に(株)島精機製作所が開発した全自動手袋編機で、指先の編み始め
から各指のつなぎ、手の平、手首までを一体化して編むという全自動の手袋編機である
2.兵庫県関連の機械遺産
87 有人潜水調査船「しんかい2000」(神奈川県)
2017年度にCollection(保存・収集された機械)で認定
2017年度に選定されたNo.87「しんかい2000」は三菱重工業株式会社神戸造船所で
製作されたということで兵庫県関連の機械遺産です。
現在の保管地は神奈川県新江ノ島水族館
73 国産初の硬貨計数機 (兵庫県)
2015年度にCollection(保存・収集された機械)で認定
本機は大正7年(1918)創業の国栄機械製作所(現グローリー(株))が昭和24年(1949)に
造幣局の依頼を受けて開発し、その翌年2月に納入がなされた硬貨計数機である。
GLORY NEXT GALLERYで公開(完全事前予約)
グローリー株式会社は姫路市に本社を置く元気企業である。
グローリー株式会社の本社が姫路市ということで兵庫県関連の機械遺産とした
11 東海道新幹線0系電動客車(大阪府)
2007年度にCollection(保存・収集された機械)で認定
昭和39年(1964)10月1日、東海道新幹線が開通した
製造を担当した川崎重工業株式会社車輛部は神戸市にあるので兵庫県関連の機械遺産とした。
京都鉄道博物館の他に上述の川崎重工業の車輛工場でも2009年8月26日から0系新幹線車両
が展示されています。
川崎重工業の他に汽車製造、近畿車輛、日立製作所、東急車輛製造、日本車両製造でも製造
20 バックトン万能試験機(兵庫県)
2007年度にCollection(保存・収集された機械)で認定
バックトン万能試験機は、1908(明治41)年に三菱合資会社 神戸造船所(創立明治38年)の
化学分析係(三菱重工業株式会社高砂研究所の前身)に設置されたもので、負荷能力は30英tである
バックトン万能試験機は英国のリーズ市にあったJ.バックトン社(Joshua Buckton & Co.)
によって製造されたものである。日本に最初に輸入設置されたのは明治29年(1896)に
東京高等工業学校(現在の東工大)であり負荷能力は50英tであった
現存するバックトン万能試験機は上記の三菱重工業株式会社高砂研究所の他に九州工大にもある
三菱重工業株式会社の神戸造船所に設置されていたということで兵庫県関連の機械遺産とした