日々茫然

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オススメなんですよ

2007-04-20 | 本と漫画の話
最近漫画をあまり読まなくなっているのですが、昔から好きだった漫画家さんの新刊は、買うようにしています。

特に今でも作風がほとんど変わらなくて、安心して買える漫画家さんが、遠藤淑子さんです。
絵が少々下手に見えるので敬遠される方もいるようですが、それを充分に補う(と私は思う!)ストーリーの良さが魅力です。
コメディでありながら、最後はジワッと感動させてくれる優しいストーリー(ほとんどが読みきりの短編)の名手で、コアなファンがたくさんいます。

キャラクターとか設定とかかぶっている作品も多く、ワンパターンにも思えるのですが、「それでも好きだっ!」と思わせてくれます。

作品リスト&表紙の画像 (現在手に入るもの)
全作品リスト (ファンサイトより)

作品数もかなり多いのですが、正直どれを紹介するか迷うほど、どれもいいのです。

私が個人的に好きなベスト2は、

 『マダムとミスター』

 典型的な遠藤さんの作品パターンである、男勝りの前向きな女主人公と、そんな女性の起こす騒動に振り回されつつもフォローする立場の男性主人公の連作短編集。(コミックスで全5巻、文庫で2巻?)
 同じパターンに『王室スキャンダル騒動』(エヴァンジェリン姫)シリーズ、『いつか夢の中で』シリーズ、『狼には気をつけて』シリーズなど(ほとんどじゃん!!)がありますが、私はこの『マダムとミスター』シリーズが一番好きです。
 次々とトラブルに首を突っ込む明るくタフな女主人グレースと、それに振り回される生真面目で有能な執事グラハムが主人公。グレースは「お金目当てよ!じいさまがそれでいいって言うんだもん!」と割り切って金持ちのジョンストン老人と結婚し、未亡人になった元メイド。「お金目当て」と言う言葉とは裏腹に、本当は前向きで思いやりのあるグレース。グレースと母親の確執が描かれる話などは特に泣けます。


 『ヘヴン』、『ヘヴン2』 

 この2部作は、映画にしてもいいんじゃないかと思うくらいスゴイ。遠藤さんの作品の中でも異色の、かなりシリアスなテーマの作品。と言ってもコミカルな場面は健在です。(現在コミックスのみ)
 『ヘヴン』…戦争後の荒廃した未来世界。祖母と難病の姉を養うため、職探しをしていた元軍人のマット(女)は、ひょんなことから人間型ロボット・ルークに出会う。なりゆきでルークの主人になってしまったマットは、ルークと暮らすうち、彼が「ロボット三原則」の一つ、「人を殺してはいけない」に従っていない事に気付く。躊躇無く人を殺そうとするルークに、マットは命令する。「人を殺してはいけない。人は人を殺さない。」 暴力が当たり前の世界で、それでも人を信じ、助けようとするマットと接し、ルークも変わっていく。そして、ルークが作られた本当の目的が明らかになる…
 『ヘヴン2』では、ルークが作られることになる経緯、ルークのモデルになった少年と友人(ルークの製作者)の物語が描かれます。知能指数が高い子供を集めた特殊な高校で出会った、ジョナサンとデイビー。天真爛漫なデイビーに、最初は反発していたジョナサンも、次第に心を開いていきます。無二の親友となった二人を、突然の悲劇が襲い、人生を狂わせていくジョナサン… 何度読んでも泣けます~



シリーズ物の他に、短編集である『天使ですよ』『ラッコ始めました』『心の家路』なども好きです。シリーズ物の巻末にも、名作短編が入ってたりします。

遠藤さんの作品には、動物もたくさん出てきます。
人間のエゴに振り回されるペットや野生動物たちを描いていたり、
動物を擬人化した「雷鳥さんさようなら」(『ラッコ始めました』に収録)や『スマリの森』などもあります。動物には、人間の都合でこうなった、なんてよく分からなくて、ただ生きようとしているだけ。

基本コメディなのに、家族の問題、人権問題、環境問題、など、改めてみると結構重いテーマが多く、驚かされます。
それでもほとんどの場合、最後には必ず救いや希望が描かれていて、「案外人間も捨てたものじゃない」「悪い人ばかりじゃない」と思えるのです。
主人公は、どんな逆境にも負けないで、とことん前向きです。そして、常に人を信じ、許している。そんな主人公に背中を押されるように、周りの人も変わっていきます。
頑なな心をほぐされていきます。
読んでる方も、そんな気持ち。
完全な悪人はほとんど出てこないし、悪いことをしたら必ずいつかその報いがある。
こういう作品を、「ばかばかしい」とか「ご都合主義的」だとか「甘すぎる」と思わずに、「自分もこうありたい」と思える人が増えて欲しいなと思いました。


現在手に入らない作品もあるようですが、古い作品も、文庫で徐々に復刊されているようです。
幸いというか、余程初期の作品以外は、画風がほとんど変わっていません。(上手くなってない…とも)
古いものでも新しいものから読んでも、絵の違いは気にならないはずです。
もし見かけたら、ぜひ一度読んでみてくださいね

コメント (4)    この記事についてブログを書く
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
遠藤淑子さん (kkk)
2007-04-20 16:54:55
読んだことないです。けっこう、絵で判断してしまいがちなんですが読むとすごく面白い作品ってありますよね。最近、マンガばかりなんだけど読んでみようかな。
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早速、予約しました (りま)
2007-04-21 13:58:38
図書館に「マダムとミスター」があったので予約しました

他にも「狼には気をつけて」というのがありました。
楽しみです
返信する
kkkさんへ (ひなにゃんこ)
2007-04-23 16:49:50
興味を持っていただけて嬉しいです。
絵はちょっと馴染みにくいかもしれないのですが、ストーリーはいいと思います。
ほとんどが読み切りの短編ですから、読みやすいですし、ぜひ機会があったらお試しくださいね
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りまさんへ (ひなにゃんこ)
2007-04-23 17:01:39
ありがとうございます。
気に入っていただけるといいのですが
「狼には気をつけて」も、「マダムとミスター」と同じ連作短編で、主人公がお金持ちの天才少女&探偵(兼ボディーガード)、男の方が女に振り回されるという、ほぼ同じパターンの遠藤淑子スタイルなのですが、不思議と気にならないのです。
ファンだけの心理かもしれませんが
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