ちあの散歩道

輝いてアラカンヌ☆ありがとうの言葉を添えて暮らしのドアをそっと開けると今日も豊かな感動と新しい気づきが待っています。

三嶋大社の金木犀

2009年09月21日 | 
ずっとずっと一度は訪ねてみたいと思っていた「三嶋大社」の金木犀の咲くころ。
花が咲き、香る日々は短く、昨年も、1昨年も時期を外してしまいました。

 

三嶋大社」はJR東海道線三島駅から歩いて10分ほどのところにあります。
大鳥居をくぐって中に進むと、ご門のところに「三嶋大社の金木犀満開」と立札がかけられていました。
この金木犀は国の天然記念物に指定され、樹齢1200年とも伝えられている日本一の金木犀です。その芳香は周辺2里にも及ぶと言われています。





どんなにか強く匂っていることかと楽しみに参りましたが、私の鼻孔には微香しか届いて来ません。
香りの強い花をつける梅や金木犀などは、その咲き初めに強く匂うと聞き知っています。
私が訪ねた日は、満開とはいえ、ぎりぎりセーフの花の最後に近く、そばまで行き周辺をぐるりと廻ってみると、日当たりの悪い裏手の辺りからかすかに匂ってきました。しっかり花が開く満開時には、匂いはほとんどしなくなるのですね。

社務所に行き、匂いのことを訊ねると、「昔は駅まで匂ったそうですが、今は建物も多く建ち、匂いも遮られているようです」とのこと。
「今日の匂いはどうですか?」と伺うと、「今日は少し匂いが落ちたようです。昨日はもっと匂っていました。ピーク時は神社の外の家々にも匂いが届き、町の人から、金木犀が今年も匂ってきましたよとお知らせがあるほど匂うのですが……」と、私の問いに答えて下さいました。





この金木犀の花の色は薄黄色で、巷で見かける橙色の金木犀とは種類がちがうのでしょうか。むしろ銀木犀に近いのかもしれません。
花そのものはとても地味で、香りが無ければ花を見過ごしてしまうほどです。
目立たない花であるがゆえに、創造の神様は、この花に強い香りを与えられたのでしょうか……。



しばらく神社を散策した後、駅に向かって引き返しましたが、その途中、面白い骨董屋さんがあり、中を覘きました。
2~3人のお客さまがテーブルを囲んでいたので、中はカフェになっているのかと思い、様子を伺っていると、店主の方が、「どうぞ、おかけ下さい。うちはカフェではありませんが、お茶を一服差し上げますよ。もちろんタダですよ~」と声を掛けて下さいました。
お手製の水羊羹とお抹茶。そしてお茶碗は何とあの「イチロー」選手が焼いたものだそうです。どうやらご亭主は備前焼きの陶芸家でもあり、銀座の松屋で個展を何度も行っていたそうです。
歩き疲れた身体に一椀のお茶は本当に美味しかったです。

私がお茶をいただきながら、「三嶋大社の金木犀、満開でしたが匂いのピークは過ぎていてちょっと残念でした」と話すと、店主の方が、「では、伽羅のお香を特別に焚きましょう。お茶の世界では伽羅は最高の匂いですよ」と、伽羅の香木を削った香りを聞くことに。こちらも最高でした。
しばし、よい時が流れ、小さな旅の満足度が増したひとときを過ごしました。