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クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

雪の日に読む小説・15(『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』辺見じゅん)

2021-02-01 | 本と雑誌

 樺太まで行ったついでに、「シベリアを舞台とした傑作」

を 

取り上げます

ラーゲリ(収容所)から来た遺書』(辺見じゅん)

です。


お気づきの通り

シベリア抑留」が テーマの小説です。ゴォォ…(大宅賞受賞作)


 第二次世界大戦後、ソ連のホリョ(捕虜)になって

シベリアに 連れていかれた人・・

 

それは、60万人もいた

と ききますが、

彼らが、向こうでどんな目にあっていたのか 

を 

教えてくれるのが、この本・・


 内容的には、ズバリ・ひさん(悲惨)で

ちょう(超)寒い・・

何しろ、

9月から 雪がちらつきはじめる

「シベリア」が ぶたい(舞台)

おまけに「毛布一枚でがまんしろ」という、

収容所の年月

描かれているのです・・

 強制連行、強制収容

強制労働

スターリン式矯正教育

空腹と絶望

黒パン一個をめぐる・いさかい

同胞の裏切り

そして、死、、

 



お話は、

「抑留」から かいほう(解放)された日本人が

帰国の途につくところから

始まりますが、

そんなにかんたんに 帰れるわけがない 

引きもどされる人も いたりして、、

 (なんたる、この世の地獄か・・)

と、

かなしくなること・必定です。。

 しかし この作品が「戦争ノンフィクション」

に とどまらないのは、

辛いからといって・読者に読むのをやめさせない

作者(辺見じゅんさん)の、

「構成力」

と、

ラーゲリの日本人に見える、「知的欲望の光」のため・・



 小説の主人公は、
もともと・学問のある人

で、

収容所でも「精神」を 殺さないため

仲間に、

勉強会や句会を 呼びかけます

 

もちろん

ソ連のかんし(監視)を くぐり抜けての 集会ですし

体は ヘトヘトに つかれてて

1分でも ねていたい・・

 

それでも

なつかしい・日本語を 思い出したくて、

みんな、ここに来ます。


 句会に来れば、
昔の「階級」も

今の現実も 

しばし・どけて、

気持ちを 大切にすることができる、、

 

収容者の心は うるおったのでした。


 そんな、アムール句会の人びとは、

果たして

「ダモイ(帰国)」できたのか


そこが キモなので、

それは、

読んで たしかめてください


 クリンは、彼らの俳句を いくつか・
ご紹介して、

この話を 終えます。

 

独房の秋を得たるは 蠅の友

小さきをば子供と思ふ 軒氷柱(のきつらら)

生くことは 悦びといふ木の芽見て

普請場に 燕大きく来りけり


おすすめ度:いっぱい

 

 

(次回「雪の日に読む小説」は、松本清張の『ゼロの焦点』を とりあげます

 

 


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24 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ユミ)
2021-02-01 17:15:32
毛布一枚でがまんしろ!
というのは、きついですね。
ものすごく寒くて、痛そう。
でも、どんなに辛い状況の中でも、
こんな俳句を作れるの、すごいですね。
どれも希望を感じます。
私なら、世を嘆いた句しか作れないと思います。
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Unknown (cforever1)
2021-02-01 17:21:50
ユミさんへ✨✨

シベリアで亡くなった日本人、何万人もいるんだって、、
みんなガリガリにやせて、どんどん死んでしまったらしい。。
でも中には何人か心ある人たちがいて、仲間に「白樺の肥やしになってはダメだ❗生きてる限り希望をすてるな」って声がけしていたみたいだよ✊

にんげんのうんめいって、わからないね。。

クリンより🐻🍀
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Unknown (ぼくぺん)
2021-02-01 17:32:13
クリンさまこんにちは。

シベリア抑留は企画展を観たことがありますが、本当に地獄のようでしたね💦
パンが固そうで…でもそれもなかなかもらえないんでしたっけ。
そんな状況で句会を開くとか素晴らしいですよね✨
無事に帰れたのか気になります。
シベリアですね😆
私にはちょっと甘すぎるかな。風立ちぬの後よく見かけましたが、まだ売られているんですね。
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Unknown (cforever1)
2021-02-01 17:40:48
ぼくぺんさまへ🍀🍀🍀

戦争が終わって何年もたつのに、てき(敵国の兵)としてとめおかれた人たち、むねんすぎますよね‼️
実はラストに、さらなるむねんとかんどうが待ちかまえている小説なのです📖✨✨

シベリアは、クリンの地元ではよく見かけます💡←うちの市「高齢化」がものすごいので、スーパーやコンビニの商品ラインナップがシブイんです👴👵💮💮
写真のシベリアは100円ローソンで買いました🔔「えっ👀⁉️これ100円⁉️安い✨」と思ってレジに持っていったら300円近くで、、🐻⤵️

美味しかったです⤴️🎶🎶

クリンより🌼
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Unknown (けいこ)
2021-02-01 18:43:46
クリンさん、こんばんは☆
今回もご紹介ありがとうございます。

私 日本人の精神力 耐えぬく力は抜きん出ていると思っております。

若い頃ですが 私の兄がモスクワ駐在してまして、、シベリア鉄道の話を熱く語ってました。当時の私はふーーんと聞いてただけでした(・・;) また機会を得て聞きたいと思いました。
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Unknown (cforever1)
2021-02-01 18:54:22
けいこさまへ🍀✨✨

けいこさまぁ~💮💮🐻✨✨🌼🌼🌼
モスクワちゅう在のお兄さま⁉️✨✨
それは、きちょうなごけいけんの宝庫のようなお方だと、うちのチットもきょうみしんしんです💎✨
ぜひとも、けいこさまのブログでいつか、お兄さまのお話をおききしたいものです🐻🍀✨✨

「遥かなる昔に見たる小春かな」っていう俳句も、ふつうならさらりとよみ流してしまいますが、シベリアにいさせられた方の句だと思うと、深い気持ちに打たれます⚡
生きてかえりたい故郷のある人の句かな、、ってクリン思いました。

クリンより🌼
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Unknown (zooey)
2021-02-01 19:23:36
ロシアを旅行した際に、シベリア抑留についての本を何冊か読んだのですが
この本は抜けていました。
今更ですが、読まなくっちゃ!
でも、悲惨過ぎて腹が立つんですよね。
韓国の慰安婦問題のニュースを目にする度に
日本は戦争が終わってからシベリアに連れて行かれてこんな悲惨な目に遭ったのに!と怒りに震えます。
返信する
Unknown (cforever1)
2021-02-01 19:45:10
zooeyさまへ💮✨✨

zooey さまっ⤴️ うちのチットも今回再読なのです✨でも今回また読んでもドラマティカルでドキドキした、と言っていました👩
以前読んだ時は、かなり心ゆさぶられて、その後かづきやすお(香月泰男)の〈シベリア・シリーズ〉を見にてんらん会にも出かけたりしてましたが、、←シベリア抑留経験のある画家です🖼️
とはいえ、うちのチット、歴女の本領ハッキでロシアに出かけた時は、ロマノフ王朝とサンクトペテルブルクの美しさにすっかりやられてしまって、、かえって来てからも、「ラスプーチンがどうたら、、」ばかり言ってました⚠️
ミーハーなんですよね・・

クリンより🐻🍀
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Unknown (知青)
2021-02-01 20:05:40
佳いご本の紹介ありがとうございます。

戦場での句会は知っていましたが
シベリア抑留者らの句会は知りませんでした。

蠅をも友とし、
氷柱に我が子を思い
木の芽や燕に、
生き抜くことを
鼓舞されておられたんでしょうかね。

シベリアがどんなに過酷な土地かなど
私には想像すらできませんが

俳句や短歌や絵など、
表現方法をもっていた方は幸いなり

どんな時代が来ようと
どんな境遇にあろうと
「精神を殺さない」ようにとは
噛みしめたい言葉です。

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Unknown (cforever1)
2021-02-01 20:15:43
知青さまへ🌼✨✨

お気にとめていただけて、光栄に存じます🐻✨
他の句も本の中にいくつも紹介されているのですが、アムール句会のレベルはかなり高いですよ💎⤴️
句会の発起人である「山本幡男」さんという方が、この本のいわば主人公なのですが、
「戦前は関東軍の特務機関に勤めていて、ロシア語に堪能だから通訳をしていたのだけど、それが仇となって抑留中ひどい目にあう」って、うちのチットが言っていました⚠️
なかなかひさんな話です。。

でも、何度か死のふちまで追いつめられてもご立派に生き抜かれて、こういう人がいたんだなあ、と、クリンかんどういたしました🐻⤴️✨✨✨✨

クリンより🌼
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