夏の思い出、といえば、
先日
ひと夏の、みじかい・出会いと別れが ありました
クリン家に この夏
「みにくいアヒルの子」が
やって来たのです
この夏、
チットとお母さんの間では
「アンデルセン童話」が ブームでした
<立原えりか著 「アンデルセンへの旅」>
アンデルセンにくわしい、どうわ(童話)作家の・エッセーに
はまり
デンマークの 古いお話の世界に
あそんでいました
アンデルセン、と言えば
だれもが知ってる
・おやゆび姫
・人魚姫
・醜いアヒルの子
・マッチ売りの少女 など、
かなしくも、うつくしい・ゆめ(夢)に ひたれる
ストーリーで知られる、
有名人
そのお話の、
ロマンのかたちを、パンにこね、
やいて・売ってる「アンデルセン」では、
月がわりで、
「童話パン」と「童話クッキー」が
ひっそり・ていきょう(提供)されています
<8月の缶入りクッキーは、「人魚姫の初恋」(2415円でした)
>
そして、8月のどうわパンが、
「醜いアヒルの子」
小さい時、
かわいくなくて いじめられました
大丈夫だよ
クリンは、いじめないし、守るから
やくそくする、クリンでした
ところが、
よく朝のこと
アヒルの子のすがたが
見当たらなくなっていました
「私たち、もう済んじゃったから、
クリンも早く、パン食べちゃいな。」(チット)
・・・・・
一体、
どこに行って しまったんだろう?
アヒルの子が しんぱいで、
いても・立ってもいられなくなった、
クリン。
お外に さがしに行きました
いないな・・
近所のこった川ぞいを さがしまわりましたが、
ヨウとして
ゆくえは 知れませんでした
・・・・・
クリンが がっくり・かたをおとしていると
仲良しのスズメが
声をかけてきました
「クリン、どうしたの?」
すると、
「・・・・見てないけど、
白鳥なら、
こんな暑い日本には いられないはずだから、
すずしい・よそへ 行っちゃったんじゃ、ないのかなあ。
朝からいないなら、
今ごろはもう
多摩川あたりに出ているんじゃないのかね。」
と
スズメは おしえてくれました。
・・・・・
そうだったんだ・・
ごめん、アヒルの子。
先日、チットが
「この季節になると思い出す映画がある」
と言い、
「外科室」という えいが(映画)をかりてきました
はくしゃく夫人と
年下外科医が
ひとめぼれから9年間、
気もちをだれにも 打ちあけぬまま
死によって むすばれるという
おはなしです。
・原作:泉鏡花
・監督:坂東玉三郎
と
いうだけあって、
うつくしさ、きわめつき
そしてその はいやく(配役)は
「貴船伯爵夫人」に、
よしながさゆり(かんじ:吉永小百合)
「高峰医師」は、なんと
あの、でんせつ(伝説)の びなんし(美男子)、
今もなお、生けるでんせつ・まさやですが、
20年くらい前の うつくしさには
・・・・・
クリン、ことばをうしないます
「本当に、このころの雅也はすごいな。
男でも、
女が惚れてしまう気もちがわかるかっこよさ。
さすがは
おにいちゃんが、ライバルと認めた男。」
と
おにいちゃんが言いました。
・・・・・・
・・・・
ふざけんなふざけんな
!
映画は、
二人のかわすことばも少なく
見つめあいのシーンが主な
50分かんけつ(完結)ですが、
二人が出会う・ブタイに咲く
つつじの花が
もうひとつの主役
・・・・・
つつじっていえば、5月の花
今、咲いてるよね!
つつじの咲くところを あるいていれば、
まさやに会えるかもしれないな
クリン、出かけます。
まさやをさがしに
まさや~~!
まさやぁ~~!!
クリンはさけびました
しかし・・
おいかけて来たチットがひと言、
「クリン!
高峰と夫人が出逢うのは、
小石川植物園だよ。
それに
あの映画に出てくるのは、ツツジだよ!
ツツジのシーズンは おわっちゃったでしょ?
今咲き始めているのは さつきだよ・・」
・・・・え?
それに、
クリン家はみな、「餅菓子」が好きです
なかでも
「お煎餅」と「柿の種」は、じょうび(常備)して、
せっせ・せっせと食べています
ふだん、かたいの・バリバリ食べますが、
時に、
「ぬれ煎餅」も かってきます。
やわらかもの好きのチットが
ジブン用に
こっそり かいおきしてるのです
ところが
この冬のある日、
出しっぱなしにされていた ぬれせんべいを、
おにいちゃんが見つけてしまいました
「はじめは、なんでチットは、湿気った煎餅食べてんだって思ったもんだけど、偏見だったな。 おいちー
」
(・・お、おにいちゃんが、ぬれせんべいのこと、すごく気に入ってる・・)
「チットが買ってくるものは美味しいなあ。何年も食べないで、損した。あ~とまらない」 (・・・・・)
おにいちゃんをとられて
さびしくなっちゃった
クリンです。。
「電気敷き毛布」につぐ、あらたなる ライバルしゅつげん(出現)。
こんどのは、
水もしたたる、じゃなくて
しょうゆもしたたる、イイおもち
<浴室前>
よしとくたいこう(かんじ:吉徳大光)、
(かおが命のとこだな・・)
つまりそれは、
みんな・イケメンってことです
<品定め中>
このさいムシして、
「五人囃子」からいきます。
(しぶ好み・クリン)
このくらい 大人でないと、
クリン
ときめきません
ただ、
やっぱり、シコウ(至高)のそんざいを知ってしまうと、
にんげん
それをえらばずには いられない。
(・・・なんと、ごりっぱな。。)
でも
このお方の つまのざ(かんじ:妻の座)を
つかむためには
一つ、大きな「障害」がある
ということに、
すぐ気がつきました
・・・・・・。
ホッ
これでイイ
(ガチャガチャ)
「ただいま~」(おにいちゃんの声)
「あっ!グリン、何してんの!?
ダメだよ、こっちにおいで!」
テーブルの上に、見なれないものが おいてありました。
手あみです。
3色のまあるい毛糸かざり。
この大きさからすると、
クリンのものじゃ ないかしら
ヘッドドレスです
王室の方や、
ファーストレディーが
こういう小さいぼうしを あたまにのせているのを、
見たことがあります
きっと
クリンのために
チットがようい(用意)してくれたんだ。
と、その時、
チットがキッチンから出てきました
「クリン、たわし頭に乗っけて、
なに遊んでんの?
早く返して。」
「エコたわし、
かわいいでしょ♪
これ、すっごく汚れ落ちいいんだよ。
納豆のヌルヌルもすっきりとれるの」
・・・・・
ナットウ。。
クリンのヘッドドレスがーー
このじき(時期)、お外をあるいていると、
冬の木って、おもしろい形・してるんだな
ってことに
気づきます
こんなにさむいのに、
はっぱがおちて、はだかの木たち
でも、
よく見ると、
そんなに辛そうな ようすもみせず、
「乾布摩擦」にはげむ・おじいさんのように
枯れて、なおカクシャク!
と、してらして
いさぎよい・おすがた。
日が当たっていると、
ほがらかにさえ
かんじる、枝の木は、
いがい(意外)に
冬におけるジブンたちのこと、
「そんなにヒサンじゃないよ!」って
言いたいのかも、しれないな。
白いお花が咲いたりするし
所かわって、中央こうえん。
時々
こうして
きょうちょうせい(かんじ:協調性)のない、
「常緑樹軍団」に
お目にかかることも、ありますが、
かれらにきいたら、
「さむいの、どうしてもダメだから・・」
って、
申しわけなさそうに、話してくれました。
でも、
東京の「都木」である イチョウ兄いが、
白くかがやく・ハダをさらして、
「てやんでえ、この腑抜けのドテラ野郎どもめ
てめえら、冬でも江戸っ子は
着流しの下は ふんどし一丁ってしらねえのか!
味噌汁で顔洗って、
とっとと出直してきやがれ」
こわいから、
松のおやぶん(親分)に
「上納金」つんで、
とりなして もらっているそうです。
たま・中央こうえん内にも
いろいろ・もめごと
あるみたいですが、
そのサイドのレンガ坂の
ゆりの並木たちは
なかまで固まって、おだやかにすごしているようです
レンガ坂をのぼると、
「桜美林大学」の
しせつがありますが、
そこの「ゆりの樹」は
冬だろうと、
しょうばい(商売) で
成功をおさめる木もある
すごいな~
こった川のさくら並木を、
クリンはイエジ(家路)に つきました
ふと 上を見ると、
家にあった本で見た、
フジシロセイジ(かんじ:藤城清治)
って
画家の、
昨夜、チットの部屋に
おしごと・バッグと、おしごと・コートが
ジュンビ(準備)されていたのを見て、
クリンは気がつきました。
・・・・・もう、冬休み おわったんだね。
おにいちゃんも
いつもどおり、朝からおしごと行ってしまいました。
<しあわせ回想>
また
ひとりの日じょう(常)が もどってきてしまう
さびしいな。
つまんないし。
みんな
こういう気もち、どうしているのかな・・
そこで
クリンはしらべました
人生のセンダツ(かんじ:先達)たちは、
こどくについて
なんていってるのか?って いうことを
わかんないことは
けっこう すぐしらべる
クリンです
<孤独の格言>
というほーむぺーじを ひらいてみました。
するとそこには
シサ(かんじ:示唆)にとんだ おことばのかずかずが・・
「生き物はすべて孤独である。
そして、人間は自らが孤独であることを
最もよく知る者である。(E・アラン)
いわずもがな
クリンも、にんげんですから
さらに
ショウペンハウエルというお方は、
クリンの甘い
にんげん・かんかく(人間感覚)に
カツ(かんじ:喝)
を 入れてくださいました。
「孤独は優れた精神の持ち主の 運命である」
・・・・・
すぐれたせいしんの。
なるほどォ
今夜、
クリンの身の上に
イヘン(異変)がおこりました
(そろそろ
ネンネの時間
おにいちゃんたちのとこ・行~こう♪)
と、
いつものようにベッドのお部屋に向かったら、
どうやらおにいちゃん、
さっきよこになったっきり、
つかれてそのまま
ネンネしちゃってたみたいなのです
・・・・・
いつもなら
さむいこの季せつ。
ぜったいおにいちゃんは
クリンをだきしめてねないと・ダメなはずなのに・・
今日はよばれませんでした。
一体どうしたのかしら?
おにいちゃんを見てみると、
このさむいのに、
おフトンを 半分・けとばしてねています。
おかしい・・
ハッ
しばらくかんがえて、クリン気がつきました。
あいつだ・・・
あいつがまたやってきたんだ・・
やって来たというのは
「北風小僧の寒太郎」ではなく、
「電気敷き毛布」です。
おフトンや毛布をかさねても、
明け方 うすらさむい
ここ・たま(多摩)は、
あったかグッズがないと
目がさめてしまうことがあり
12月に入ると、
チットはやにわに「電気敷き毛布」を
出してきます
おにいちゃんも、
この しき毛布がお気に入りで
「文明の利器とはこのこと」
と
よろこんでいるのです。(←しっと)
それどころか前に
「チットが来てくれて、
グリンとは仲良くなれたし、
電気敷き毛布なんていうものも知ったし、
いいことばっか云々・・」
って言ってました。
・・・・・
クリンは
しき毛布と
どうれつ(同列)にあつかわれたのでしょうか
何年も前のことですが
いまだにわだかまる
クリンです
・・・・・
切ってやろ。